前回のエントリーでは、私が勤務していたベトナム・ホーチミンの違法企業の違反条項について、詳細を記した。その後、社長にメールを送り、1/10までにベトナムの労働法に基づく未払い賃金全額を支払うことを要求した。

登場人物

違法企業の人物

  • 社長
  • CTO

違法企業で働いていた日本人開発者

  • 北村
  • Tさん
  • Aさん
  • Sさん

違法企業で働いていたベトナム人開発者

  • Bさん:彼が何者か、私は名前以外の説明を聞いていない。最後に入った人。CTOが朝まで徹夜で追い込んで潰した。

請求内容の整理

  1. 残業代(超過勤務、深夜勤務の割増賃金): 6.2か月分(労働法 第97条)
  2. 退職金: 1.5か月分(労働法 第48条)
  3. 超過勤務代、退職金未払いに対する遅延損害金: 0.5か月分(改正労働法施行細則 政令95号 第8条)
  4. 有給休暇の未消化分: 1.2か月分(労働法 第114条)

現在までの請求根拠

  1. 労働法には、超過勤務、深夜勤務について割増賃金の支払い義務があると規定されている。
    • 返信1-2で「裁量労働制」であったと証言した。
      • 着任時点で日本人開発者は誰も聞いた記憶がないと証言を得た。
      • 契約書にも一切書いていない。(労働法違反なので書けない。)
      • 違法な労働契約は、該当する一部、または全部が無効となる。(労働法 第50条 無効な労働契約)
      • ゆえに、違法企業は次の3点の証拠を全て提示する必要がある。
        1. 裁量労働制を採用可能とする法律 -> 見つからない。反論1での回答要求が無視されている。
        2. 事前に説明した証拠 -> ない。反論1での回答要求が無視されている。
        3. 裁量労働制が記載された契約書 -> 書いてない。反論1での回答要求が無視されている。
  2. 労働法には、退職金についての支払い義務があると規定されている。
    • 返信1で支払い義務を認めた。
  3. 改正労働法施行細則には、遅延損害金についての規定されている。
    • 返信1-2で無視されている。
  4. 労働法には、未消化の有給休暇について清算できると規定されている。
    • 返信1で支払い義務を認めた?

請求根拠1に対する違法企業の主張

  • 裁量労働制を採用しており、採用面接時から説明をして、理解を得ていた。

    • 支払わないとは直接書いていないが、裁量労働制だから残業代は支払わないと主張しているように読める。
    • 日本では労働基準法第38条(の3)に規定があり、事前に労働者と取り決めを行い、みなし時間を決定した上で、採用が可能。
    • ベトナムでこれに相当する法律が見当たらない。
      • 反論1で根拠とする法律を回答を要求しているが、返信2で無視されている。
  • 返信1: 北村さん在職中の、エンジニアリングオフィスにおける職員勤務時間管理状況ですが、当社では裁量労働制を取っていたという認識です。これは当社でエンジニア採用を始めるにあたり、CTOさんから常日頃助言されていたのですが、ソフトウェアエンジニアは時間で縛らないほうがいいので、おおよその作業時間を一日8時間と決め、そこから大きく逸脱しない限りは、何時に来て何時に帰っても個人の自由にさせる、という方針が一番好ましい、という考えに基づくものです。

    • 違法企業における裁量労働制についての定義が書いてある。
  • 返信1: この趣旨については、採用面接の場でも北村さんに対して説明をした上で同意頂いた旨CTOさんから報告を受けています。

    • 虚偽の証言である。京都での採用面接では聞いていないことを反論した。(反論1)
  • 返信1: また、北村さん在職時の出社時間のバラつきや昼休みの取り方、離席状況、さらには日本一時帰国に伴うリモートワーク状況などから鑑みて、北村さんにおいても当該趣旨をご理解・ご同意頂いた上で、これに沿って業務に当たっていただいていたものと当社では認識しております。

    • 「裁量労働制」という言葉は返信1で初めて聞いた。聞いていないことには同意できない。
    • 単に指示があったから残業した。
    • 無茶なスケジュールを設定された挙句、早く終わらせろと指示を受けたので、止むを得ず長時間の作業を行った。
    • 契約時間は8時間であり、時間調整をしていたが、それでも毎月超過している状況だった。
  • 返信1: エンジニア職の裁量労働制を実現するために、当社ではメインオフィスからエンジニアのみなさん用のスペースを切り離し、専用オフィスを準備しています。エンジニアオフィスでは勤務時間を完全自由とし、何時に来て何時に帰ってもよく、昼休みも好きなだけとれるような運用をしていたことはご承知のとおりだと思います。

    • 「昼休みも好きなだけとれる」は返信1で初めて聞いた。ほとんどの日が1:00-1:30程度だった。着任時の説明は1:00で、契約書には1:30と書いてある。
    • 「勤務時間を完全自由とし、何時に来て何時に帰ってもよく」は虚偽の証言である。
      • 終わるまで帰るなと指示を受けている。
      • 2014年春頃には開発者3名に対し、10時に出社するよう社長から指示があった。
      • 帰宅前に、帰宅していいか許可を求めるよう指示があった。労働法第8条違反である。(反論1)
  • 返信2: 当社は北村さんの採用面接時から一貫して、北村さんに裁量労働制を採用していることをお伝えしていました。

    • 虚偽の証言である。
    • 着任前のメールには勤務体制について、何も書いていない。
    • 着任時の勤務体制を連絡したメールにも裁量労働制であるとは書いていない。
    • 契約書にも裁量労働制であるとは書いていない。
  • 返信2: 北村さんの在職時の勤務スタイルから鑑みて、当社エンジニアリングオフィスが裁量労働を元に活動していたこと、及び北村さんにおいてもその点を認識されていたことは明らかであると考えております。

    • 私はSさんに対し、「8時間勤務なんだから早く帰ってください」と繰り返し言っていた。Sさんは私より早く出勤し、遅く帰っていたためである。
    • 反論1: ベトナムの法体制の中で、この考えに合致し、採用可能な勤務体系はフレックスタイムだと思います。残業代を支払わないことを主張する根拠とは全くなり得ません。

法的な根拠や、開発者に対して説明をし、合意を至った証拠が何一つ示されていない。社長とCTOの間で「勝手に裁量労働制」を適用していたこと」になっていることが分かった。そういう勤務体系だった事は、今回の返信が来て初めて聞いたことである。日本人開発者4人全員が知らなかったことを確認した。

メインオフィス移籍時に、「エンジニアオフィスでは裁量労働制で働いてもらってましたが、メインオフィスでは始業、終業時刻(8:00-17:10)、昼休みの時間(12:00-13:10)を定めており、この時間内で勤務してもらうことになります。今後は超過時間に対し、残業代の支払いが発生するため、時間がかかりそうな作業に取り掛かっている場合には次の日に作業を持ち越すなどの対応をお願いします。緊急性の高い作業が発生した場合は残業を依頼することがあります。」といった説明をした上で、「勤務時間把握のため、勤怠情報を報告すること」という業務指示があるべきである。しかし、そんな説明や指示は一度もなかった。「返信1: 就業時間が当社の厳格な管理下に置かれた」という証言は根拠がない。仮に、これが正しいとすると、すでに残業代の一部受け取っているはずである。しかし、まだもらっていない。やっぱり嘘をついていることが分かる。

オフィス移籍前にCTOからskypeで受けた説明はこうである。

社長さんと相談したのですが、会社としては、北村さんにはメインオフィスの定時勤務(8AM - 5:30PM)に切り替えていただけないかと思っています。
理由は、

1)現状の北村さんの勤務時間帯が不透明であること
2)北村さんが主に担当するSymfony2周りの実装は、メインオフィス業務に係ることが多く、機能要望や不具合等でユーザの生の声に接することができる環境であること

の2点です。
了承して頂ければ、机はメインオフィスにすぐに確保できるとのことです。

その後、社長から「昼休みは12時から13時10分までです。」という補足があった。1)に関しては、「返信1: おおよその作業時間を一日8時間と決め、そこから大きく逸脱しない限りは、何時に来て何時に帰っても個人の自由にさせる、という方針が一番好ましい、という考えに基づくものです。」という証言が完全に虚偽であることの証拠となる。2)に関してはメインオフィス移籍後にも社長から同様の説明を受けている。しかしこれは裁量労働制とも残業代の支払い義務がないことの説明にもならない。

退職時面談では、「8時間勤務という契約では無かったのか」「ええ、そうです」という会話を社長としている。裁量労働制であれば、「みなし時間が8時間であって、何時間勤務するかは作業の成果次第です」という話を聞くはずである。もちろん、そんな話を聞いた事はない。入社前、入社後、退職時、つまり在籍期間3年間を通して、裁量労働制であるという説明を一度も受けていない。やっぱり嘘をついているようにしか見えない。

残業代を支払いたくないだけである。

請求根拠2に対して

  • 返信1: 私が規定を確認した所では、外国人労働者に対しても支払いの義務があると考えられるようです。
    • 外国人労働者に対し、支払っていなかったことが発覚した。違法である。
  • 返信1: 専門家と検討の上で額面などの詳細を、追ってご連絡さしあげます。
    • まだ連絡きてない。

退職手当については説明がひどい。勘違いしていたのであれば、どの法律に書かれた何という条項をどういう風に読み間違えていたのかを示すべきである。トラブル対応の説明としては最低である。つまり虚偽の証言である可能性が高い。そもそも退職手当を支払う気が無かったわけだ。

請求根拠3に対して

回答なし。無視されている。

請求根拠4に対して

  • 返信1: 有給の扱いについてですが、こちらで記録を再度精査して、正確な利用状況を返答いたします。
    • まだ連絡きてない。
  • 返信1: なお、当社としては社員旅行を有給日の消化に当てる、という運用をしていました。
    • 初めて聞いた。勝手に有給消化されていたことが発覚した。事前に有給休暇の消化スケジュールを公表しないことは、労働法 第111条に違反している。

請求メールと返信

以下メールのやり取りを載せる。個人名については伏せた。

請求1 2016年12月31日 23:34

社長さん

下記の通り、未払いの賃金を全額お支払い頂きます。
詳細と法的な根拠については、こちらに書いてあります。
https://blog.satooshi.jp/2016/12/31/quit-illegal-vietnamese-company

期限:2017年1月10日
支払先:私の日本の銀行口座
未払い賃金総額:¥x,xxx,xxx
内訳
  残業代:¥x,xxx,xxx
  退職金:¥xxx,xxx
  残業代に対する遅延損害金:¥xxx,xxx
  退職金に対する遅延損害金:¥xx,xxx
  未消化の有給休暇:¥xxx,xxx

1/1、1/2と返信がなかったので、1/3に警告メールを送った。

請求2 2017年1月3日 8:22

社長さん

本メール送信後24時間以内に「期日までに全額支払う」という返信がない場合、
支払いの意志がないと判断し、法的な手続きならびに
ベトナムの文化に則した相応の報復を取ります。

返信がない場合、明確な悪意を持って違法企業を運営していると
法廷で判断される根拠となります。

主な違反事項にかかる罰則は次の通りです。

改正労働法施行細則 政令95号

第8条 労働契約の修正・補則・解除に関する規定の違反
1. 500 万ドン~1,000 万ドンの罰金

第13条 賃金に関する規定の違反
3. 2,000 万ドン~3,000 万ドン の罰金

第14条 勤務時間、休憩時間に関する規定の違反
2. 300 万ドン~700 万ドンの 罰金
3. 2,000 万ドン~2,500 万ドンの罰金
4. 2,500 万ドン~5,000 万ドンの罰金
5. 1 ヶ月~3 ヶ月 間営業活動を停止

なお、今後この問題にかかる費用(旅費、宿泊費、生活費、ビザ、裁判費用など)はそちらで全額負担して頂きます。

警告は今回までとします。
今一度、正しい判断をご検討下さい。

支払期限:2017年1月10日
支払先:私の日本の銀行口座
未払い賃金総額:¥x,xxx,xxx
内訳
  残業代:¥x,xxx,xxx
  退職金:¥xxx,xxx
  残業代に対する遅延損害金:¥xxx,xxx
  退職金に対する遅延損害金:¥xx,xxx
  未消化の有給休暇:¥xxx,xxx

報復と書いているのは、citimartでよく見かける万引き犯の顔写真と氏名、住所のように、どこの誰がこんなことをしているか公開することである。facebookの日越交流会でも、日本企業による賃金未払いを訴えるベトナム人の投稿を見かける。非常に残念な話である。

返信1 2017年1月3日 11:45

北村さん

ご無沙汰しております。社長です。
本日から仕事始めでして、ご返信が遅くなり失礼しました。

頂いたページを読ませていただきました。ページ内で北村さんが言及している事柄について、以下で当社の認識を説明させていただきます。

* 残業時間について
北村さん在職中の、エンジニアリングオフィスにおける職員勤務時間管理状況ですが、当社では裁量労働制を取っていたという認識です。これは当社でエンジニア採用を始めるにあたり、CTOさんから常日頃助言されていたのですが、ソフトウェアエンジニアは時間で縛らないほうがいいので、おおよその作業時間を一日8時間と決め、そこから大きく逸脱しない限りは、何時に来て何時に帰っても個人の自由にさせる、という方針が一番好ましい、という考えに基づくものです。
この趣旨については、採用面接の場でも北村さんに対して説明をした上で同意頂いた旨CTOさんから報告を受けています。
また、北村さん在職時の出社時間のバラつきや昼休みの取り方、離席状況、さらには日本一時帰国に伴うリモートワーク状況などから鑑みて、北村さんにおいても当該趣旨をご理解・ご同意頂いた上で、これに沿って業務に当たっていただいていたものと当社では認識しております。

エンジニア職の裁量労働制を実現するために、当社ではメインオフィスからエンジニアのみなさん用のスペースを切り離し、専用オフィスを準備しています。エンジニアオフィスでは勤務時間を完全自由とし、何時に来て何時に帰ってもよく、昼休みも好きなだけとれるような運用をしていたことはご承知のとおりだと思います。私としては、至らない点は多々あったかもしれませんが、エンジニアのみなさん用に、こういった環境の整備に努めてきたつもりです。

また、時折業務指示として「今日までに終わらせるように」という指示が出されたことがご不満のようですが、これは事前に北村さんから伺った開発スケジュールが遅延し、終わりが見えない中、目標期限をもう一度定めることで万難を排して手立てを尽くしてもらうことが、業務遂行上重要であると判断したからです。

なお、ご承知のとおり、 2016/5/23以降の北村さんの勤務場所として、エンジニアリングオフィスではなく当社メインオフィスを指定させていただきました。これは直近の週で、北村さんの業務遂行速度が大きく落ち込んでいるように見受けられたことから、会社としてはもはや裁量労働制が適切ではなく、メインオフィスの他の社員と同様に、始業/終業時間を固定した上で、時間内でベストを尽くしていただくのが北村さんと会社の双方にとって好ましい働き方であると考えたからです。
当社としては、この日以降、北村さんの就業時間が当社の厳格な管理下に置かれたと考えています。したがって、今回北村さんが当社に請求されている残業代算出において、当社では、この日以降の請求分についてはその正当性を持ち得ると考えております。

また、ある時点から、帰宅する前に一報を入れることを会社から要請されたことについてご不満があるようですが、私の記憶では、当時は、事前に北村さんから伝えて頂いた見込み開発スケジュールが遅延する中で、いつの間にか北村さんが帰宅してしまい、状況の確認すらままならないという事が頻発していました。そういった状況で開発の現状を把握するためには、今日までにどの工程が終わり、明日は何に着手するのかを、帰宅前に私やCTOさんと共有していただく必要があると考えたからです。

* 有給の扱いについて
有給の扱いについてですが、こちらで記録を再度精査して、正確な利用状況を返答いたします。
なお、当社としては社員旅行を有給日の消化に当てる、という運用をしていました。元々社員旅行については、当社のスタッフが例年大変楽しみにしているイベントでもあり、私としても皆さんの一年の労をねぎらいたいという思いから、総務のみなさんを中心に、張り切って企画してもらっているものです。これへの参加が北村さんにとって大変苦痛であったということであれば、それは大変残念に思いますし、申し訳ないと思います。北村さんについては、社員旅行参加日を有給消化から外して、再計算をしたいと思います。

* 退職金について
詳しくはベトナムの労基専門家と検討させていただきますが、とりいそぎ私が規定を確認した所では、外国人労働者に対しても支払いの義務があると考えられるようです。これについては私の誤った認識で北村さんに大変ご迷惑をおかけしました。専門家と検討の上で額面などの詳細を、追ってご連絡さしあげます。

以上、取り急ぎ、回答とさせていただきます。

反論1 2017年1月4日 23:58

> 北村さん在職中の、エンジニアリングオフィスにおける職員勤務時間管理状況ですが、当社では裁量労働制を取っていたという認識です。これは当社でエンジニア採用を始めるにあたり、CTOさんから常日頃助言されていたのですが、ソフトウェアエンジニアは時間で縛らないほうがいいので、おおよその作業時間を一日8時間と決め、そこから大きく逸脱しない限りは、何時に来て何時に帰っても個人の自由にさせる、という方針が一番好ましい、という考えに基づくものです。
> この趣旨については、採用面接の場でも北村さんに対して説明をした上で同意頂いた旨CTOさんから報告を受けています。

京都での面接時には、「残業代は出るのか」という質問に対して、「残業代は出ないが8時間までしか勤務しない」という回答をもらっています。
裁量労働制が適用される職場であって、何時間勤務しても残業代は支払わない、という説明には聞こえません。
「有給休暇制度はない」「まだ定時ではないだろ」と言っていたCTOさんが裁量労働制の説明をしていたと考える根拠としては、
極めて信憑性が低い証言と言わざるを得ません。
ボーナスが出るという事も面接で聞いてなかった、と以前に話をした通りです。
虚偽の報告を受けているか、社長さんが嘘の証言をしているか、どちらかであると考えるのが妥当です。

また、他の開発者においても、採用面接、入社時、契約時、いずれの機会にもそんな説明を受けた記憶がない、と確認が取れました。
私が交わした労働契約書にも「裁量労働制」に関する記述は一切ありません。
どの開発者も労働契約署名時点以前に説明を受けたこともなく、契約書にも記載がなく、
雇用者との間で同意可能な機会が一度もなかったということになります。

また、2013年5月1日に施行されている労働法(No.: 10/2012/QH13)、及びその細則にも
「裁量労働制」に関する記述は見当たりません。
法的な根拠が他の法律にあるのであれば、回答願います。
こちらでも探しましたが、見当たりません。

仮にあったとして、我々開発者は裁量労働制に関して同意したことはありませんので、
同意の取れていない勤務体系を強制することは無効であって、
残業時間を算出する責任はない、およびその対価となる残業代を支払う責任はない、と主張する根拠とはなり得ません。

よって、適用される法律としては、依然として労働法(No.: 10/2012/QH13)であり、
「第97条 時間外労働、深夜労働の賃金」を根拠として、残業代の支払い義務があるということになります。

参考までに、日本における裁量労働制は、労働基準法第38条にて規定されています。
ソフトウェアエンジニアに対し裁量労働制を適用する場合、
労働基準法第38条の3にある通り、条件を満たした上で適用可能となります。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

- 労働組合、または過半数の労働者を代表する者との書面による協定を結ぶことにより、
- 2)で掲げる時間労働したとみなす

1) 厚生労働省令で定める業務であり、適用職種であること
2) 労働時間として算定される時間
3) 業務遂行手段、時間配分の決定に対し、雇用者が労働者に対して具体的な指示をしないこと
4) 労働時間の状況に応じた労働者の健康を確保するための措置を協定で定めて、対応すること
5) 労働者の苦情に対応することを労働協定で定め、対策をとること
6) 厚生労働省令で定める事項を守ること

6)に関しては、みなし時間を適用する場合、労働協定を結ぶ前に、対象となる労働者の意見を聞くことが望ましい
といった省令が施行されています。

ベトナムでこれに準ずる法令があるのであれば、回答願います。

> また、北村さん在職時の出社時間のバラつきや昼休みの取り方、離席状況、さらには日本一時帰国に伴うリモートワーク状況などから鑑みて、北村さんにおいても当該趣旨をご理解・ご同意頂いた上で、これに沿って業務に当たっていただいていたものと当社では認識しております。

まず、2014年から労働時間の記録をつけた理由は、長時間労働が続いていたため、
それにより生じる可能性のある体調不良を避けるため、それにより労働契約である1日8時間勤務を履行するためです。
しかし、記録をつけ始めてから、標準労働時間通りの勤務時間で収まっている月はほとんどありません。
マクドナルドの店長が過労死した等、長時間労働による過労死やうつ病が日本で問題になったことはご存知でしょう。

また、始業時間が一定にならないのは、長時間労働により、毎日時間通り出社できるような体調を管理するのが難しくなっていたからです。
これに対し、長時間労働を是正するような対策が講じられたとは考えられません。

着任時すぐにTさんとAさんが病気で休んだ時には、
作業が遅れているので早く作業を終わらせろと彼らが注意されているのを私は聞いています。
そういった状況で、体調が悪いから休みを取って病院に行くという選択は中々できるものではありません。
個人でできる体調管理としては、食事に気を使うこと、睡眠時間を必ず確保すること、薬を常備しておくこと、ぐらいだと思います。

始業時間を一定にできない以上、昼休みの開始時間はある程度ずれます。
しかし、2014-2015年の記録によると、昼食時の離席時間はおよそ1:00-1:30程度です。
極端に乖離している日が多いとも思えません。
2016年には急に一人だけで開発することになり、精神的に参っていたため、朝起きてから仕事ができる状態ではありませんでした。

しかし、先に書いた通り、個人でできる体調管理をやった上で、長時間労働、深夜労働をなくせば
始業時間がずれないことはメインオフィス在籍時に証明している通りですし、
出社時間が朝8:00と早い時間帯になっても、弁当を作っていったことはご存知かと思います。
労働契約通りの時刻を守れない原因は、違法な長時間労働であり、それを助長するような異常な業務指示だと考えています。

始業時間が遅くなる日が続く場合、一般的な企業であれば、作業量が多すぎていないか、勤務時間が長すぎていないか、
といった事を真っ先に検討します。
少なくとも以前在籍した会社ではそういった対応をとる事で離職者を減らし、
一人の開発者に負荷が集中しないようにして生産性を高める取り組みをしています。

それから、始業時間がずれることで、残業代を支払う必要はないということに我々開発者が同意していると考える論理は全く理解できません。
裁量労働制を可能とする法的な根拠を示してください。
その上で、開発者に書面、契約書等で合意を取っているという証拠を提示してください。

> エンジニア職の裁量労働制を実現するために、当社ではメインオフィスからエンジニアのみなさん用のスペースを切り離し、専用オフィスを準備しています。エンジニアオフィスでは勤務時間を完全自由とし、何時に来て何時に帰ってもよく、昼休みも好きなだけとれるような運用をしていたことはご承知のとおりだと思います。私としては、至らない点は多々あったかもしれませんが、エンジニアのみなさん用に、こういった環境の整備に努めてきたつもりです。

ベトナムの法体制の中で、この考えに合致し、採用可能な勤務体系はフレックスタイムだと思います。
残業代を支払わないことを主張する根拠とは全くなり得ません。

> また、時折業務指示として「今日までに終わらせるように」という指示が出されたことがご不満のようですが、これは事前に北村さんから伺った開発スケジュールが遅延し、終わりが見えない中、目標期限をもう一度定めることで万難を排して手立てを尽くしてもらうことが、業務遂行上重要であると判断したからです。

21:00-22:00になって「今日中に終わらせるように」と言われても終わる見込みはありません。
2013年末ごろには「時間がかかりすぎているから1日でやれ」とCTOさんから口頭で指示されています。
こちらで必要だと考えている時間が確保できないわけですから、仕様把握ミス、バグ等、問題を抱えることになります。
そちらからの指示でこのような作業をせざるを得ない状況を作っておいて、「残り2時間で終わらせろ」というのは極めて不自然な指示です。

スケジュールが遅れている場合、あるいは絶対的な期限があるプロジェクトの場合、
リリースまでの作業内容を見直し、必要な作業を減らした上で、現実的なリリーススケジュールを考え直す、
というのがプロジェクトマネジメントの基本的な考え方です。
「残り2時間で終わらせろ」という異常な業務指示により、
「目標期限をもう一度定めることで万難を排して手立てを尽くしてもらうこと」
という社長さんの証言にあるような目標を達成可能であるとは到底考えられません。

> なお、ご承知のとおり、 2016/5/23以降の北村さんの勤務場所として、エンジニアリングオフィスではなく当社メインオフィスを指定させていただきました。これは直近の週で、北村さんの業務遂行速度が大きく落ち込んでいるように見受けられたことから、会社としてはもはや裁量労働制が適切ではなく、メインオフィスの他の社員と同様に、始業/終業時間を固定した上で、時間内でベストを尽くしていただくのが北村さんと会社の双方にとって好ましい働き方であると考えたからです。

これにより、長時間労働・深夜労働を強制することや、作業者の出したおおよその見積もりに対して、
「時間がかかりすぎているから1日でやれ」といった指示に何ら正当性はない事が証明されました。

> 当社としては、この日以降、北村さんの就業時間が当社の厳格な管理下に置かれたと考えています。したがって、今回北村さんが当社に請求されている残業代算出において、当社では、この日以降の請求分についてはその正当性を持ち得ると考えております。

先述の通り、法令に基づく勤務体系ではなく、また契約書にも明記されておらず、どの労働者の同意も得ず、
「裁量労働制である」という主張には何の根拠もない、ということになり、
労働法(No.: 10/2012/QH13)を根拠とする残業代支払いの義務が証明されました。
期限までに全額お支払いください。

> また、ある時点から、帰宅する前に一報を入れることを会社から要請されたことについてご不満があるようですが、私の記憶では、当時は、事前に北村さんから伝えて頂いた見込み開発スケジュールが遅延する中で、いつの間にか北村さんが帰宅してしまい、状況の確認すらままならないという事が頻発していました。そういった状況で開発の現状を把握するためには、今日までにどの工程が終わり、明日は何に着手するのかを、帰宅前に私やCTOさんと共有していただく必要があると考えたからです。

そちらで指定されたフォーマットで日報を提出しています。
状況の把握ができないのであれば、日報にどのような情報を含めるべきか再考すればいいだけです。
帰る前に許可を得ることを強制する必然性は全くありません。
このような行為は、労働法(No.: 10/2012/QH13)第8条 厳禁される行為 3. 労働の強制。
により、明確に禁止されています。

労働法(No.: 10/2012/QH13)第3条 用語解釈 10.「労働の強制」とは、暴力、暴力による脅迫、またはその他の手段を使うことによって、
相手の意思に反する労働を強制することをいう。

> 有給の扱いについてですが、こちらで記録を再度精査して、正確な利用状況を返答いたします。
なお、当社としては社員旅行を有給日の消化に当てる、という運用をしていました。元々社員旅行については、当社のスタッフが例年大変楽しみにしているイベントでもあり、私としても皆さんの一年の労をねぎらいたいという思いから、総務のみなさんを中心に、張り切って企画してもらっているものです。これへの参加が北村さんにとって大変苦痛であったということであれば、それは大変残念に思いますし、申し訳ないと思います。北村さんについては、社員旅行参加日を有給消化から外して、再計算をしたいと思います。

社員旅行が有給消化に当てられていたとは知りませんでした。

労働法(No.: 10/2012/QH13)第 111 条 年次有給休暇
2. 雇用者は年次有給休暇消化のスケジュールを規定する権利を有するが、被雇用者の意見を参考にし、被雇用者に事前に通知しなければならない。

しかし、どの日が有給消化日に当てられているか、これまで一度も説明を受けたことはありません。
skypeやメールなどで「今年の有給消化日は次の通りです」と書けば良かったんじゃないでしょうか。
私が添付資料で記載しているのは、連休に当てられていた休日のうち、法定休日を除いた日を有給消化日とみなしています。
あとは私が有給休暇を使用したいと申告した日だけです。


資料の記録違いなどあれば、修正しますので、お知らせください。

返信2 2017年1月6日 8:02

北村さん

社長です。返信内容を読ませていただきました。

北村さんのご認識について、以下で当社の見解を個別に説明させていただきます。


* 当社における労務・福利厚生制度の、エンジニアリングオフィス勤務職員に対する周知手法について

> 「有給休暇制度はない」「まだ定時ではないだろ」と言っていたCTOさんが裁量労働制の説明をしていたと考える根拠としては、
> 極めて信憑性が低い証言と言わざるを得ません。
> ボーナスが出るという事も面接で聞いてなかった、と以前に話をした通りです。
> 虚偽の報告を受けているか、社長さんが嘘の証言をしているか、どちらかであると考えるのが妥当です。

CTOさんは当社でCTOを務めているわけですが、当社の福利厚生制度に明るいわけではありません。私もそれは重々承知しており、エンジニアリングオフィスで福利厚生に関する質問等があった場合は、都度メインオフィスに照会するようCTOさんに指導していますし、実際にそのように運用してもらっていたと認識しております。

例えば、北村さんが最初に挙げられた「有給制度はない」とCTOさんが言ったという点ですが、今、私がSkypeのグループチャットログを確認した所

2016-03-09 17:00:12|satooshi_jp|@CTOさん
今週金曜日の3/11は休んでもいいでしょうか。
2016-03-09 17:00:50|cto|そうですか、分かりました。振替でどこか土日で一日出てもらってもいいでしょうか。
2016-03-09 17:01:46|satooshi_jp|有給使えないんですか?
2016-03-09 17:01:55|cto|有給制度ってうちには無いと思います。
2016-03-09 17:03:09|satooshi_jp|無いんですか?
2016-03-09 17:03:34|cto|聞いたことないですね。一応社長さんに確認してみます。
2016-03-09 17:08:16|cto|北村さん、すみません、社長さんに確認した所、うちには有給制度があるそうです。
有給は年に12日あるそうです。ただ、うちではベトナムの祝日以外でも独自に休日化している日があるので、その12日がまるまる残っているわけではありません。
2016-03-09 17:09:14|cto|具体的に何日残っているかは今すぐには確認できないんですが、少なくとも何日かは残っているはずですので、見切り発車ですけれども3/11を北村さんの有給で消化する、という扱いでお願いできますか。
2016-03-09 17:09:58|satooshi_jp|はい。ありがとうございます。


このようなやり取りが見当たりましたので、このことをおっしゃっているのではないかと思います。
この時は、北村さんの質問の直後に、CTOさんから私に対し当社有給制度の確認がありましたので、私からCTOさんの認識が間違っている旨、あわてて説明を行いました。それを受けてCTOさんは10分以内に発言を訂正・謝罪しております。

また、その次に挙げられている「まだ定時ではないだろ」発言ですが、これは2016/5/25の下記発言が該当するのではないかと思います。

2016-05-25 17:10:54|satooshi_jp|帰ります
2016-05-25 17:11:30|cto|まだ定時じゃないんじゃないですか?
2016-05-25 17:12:51|cto|なにか特殊事情ですかね?
2016-05-25 17:14:01|cto|すみません、定時が17:10のようですね、失礼しました。
2016-05-26 17:12:53|satooshi_jp|帰ります

ご承知のように、これは北村さんがメインオフィスでの勤務を開始した2016/5/23の2日後であり、当社が北村さんの始業・終業時間を管理し始めた直後であります。当時、CTOさんは、メインオフィス定時が17:30であるという認識を持っていたわけですが、北村さんが「帰る」とおっしゃった後に、CTOさんから私に対して終業定時の確認があり、私の方から2016年初頭に昼休み時間帯の改変と併せて終業定時を17:30から17:10に繰り上げた旨Skypeで説明を行いました。それを受けてCTOさんは3分後に訂正と謝罪をしております。

また、「ボーナスが出るという事も面接で聞いていなかった、と以前に話をした」とおっしゃっている件ですが、これは、たしか私と北村さんのプライベートSkypeチャット上での話で、私がいついつに会社ボーナスが支給される旨お伝えした際に、北村さんから「え、ボーナスでるんですか? 知りませんでした。ありがとうございます。これでバイク買います」といった内容の反応を頂いたように記憶しておりますので、このことをおっしゃっているのではないかと思います(今私のSkypeで北村さんとのプライベートチャットの過去ログを遡ろうとしたのですが、どうも調子が悪く、該当する発言を見つけることができませんでした)。

北村さんの採用面接時に、CTOさんからボーナス支給がある旨の説明が無かったということであれば、それは申し訳なく思いますが、当社としては、CTOさんの認識如何にかかわらず、社内規定に従って粛々とお支払させていただいていることはご承知のとおりです。

上で説明させていただいたように、従業員の労務・福利厚生面については、当社ではメインオフィスが最終責任を持って運用をしております。また、当初CTOさんが北村さんに対して上記事項に関して誤った説明を行ったことについては申し訳なく思いますが、上記のような背景に基づく彼の勘違いであり、いずれもメインオフィスへの照会を通じて迅速に訂正させていただいております。


*裁量労働制の承諾について
当社は北村さんの採用面接時から一貫して、北村さんに裁量労働制を採用していることをお伝えしていました。また繰り返しになりますが、北村さんの在職時の勤務スタイルから鑑みて、当社エンジニアリングオフィスが裁量労働を元に活動していたこと、及び北村さんにおいてもその点を認識されていたことは明らかであると考えております。

当社は、北村さんがエンジニアリングオフィスに勤務していた時期の北村さんの入退室記録を持ち合わせておりませんので、北村さんが今回Excelファイルにて提示されたデータを元に述べさせていただきますが、たとえば資料1ページ目の冒頭を拝見しても、9時間24分勤務した翌日は、勤務時間が5時間、そのまた翌日は勤務時間が6時間20分であり、また13時間40分超も勤務された日の翌日は4時間42分の勤務であるなど、北村さんご自身で柔軟に調整されていたのではないかと思います。私自身、当時エンジニアリングオフィスに在室していた折に、北村さんが大変早く帰宅されるのを見ても「ああ、前日が長丁場だったのだろうな」と思っておりました。北村さんと当社で勤務体系に係る認識が乖離していたとは考えておりません。

また

> 2016年には急に一人だけで開発することになり、精神的に参っていたため、朝起きてから仕事ができる状態ではありませんでした。

これについては、Sさんが当社を退職されたことをおっしゃっているのではないかと思いますが、Sさんの主な退職理由として、北村さんからSさんに対する長期にわたる執拗なモラハラが耐えかねる旨、ご本人から当社に対して申し出が繰り返しなされていたことを申し添えておきます。Sさんから私に対しては、事前より退職理由・時期について相談があり、最終日も挨拶を受けています。その後も、社員としてではないですが今日に至るまで、当社のお仕事に継続してご尽力いただいております。Sさんからは特に北村さんに最終日の報告はしなかった、と聞いていますが、上記理由によるものだと考えております。

なお、当該時期のエンジニアリングオフィス勤務者は北村さん1人ではなく、Bさんがいたという点も指摘させて頂きます。私の認識では、Bさんはオフィス室内に長居することを好まず、主に自宅やカフェ等で業務に当たることが多かったようですが、北村さんがお一人だと思われるほどBさんがエンジニアリングオフィスにいなかったということかと思います。このことからも当社がエンジニアリングオフィスにおいて裁量労働制を敷いていることが明白であったと考えます。


* 当社のプロジェクトマネジメント手法に対するご批判について
当社としては、CTOであるCTOさんの指示の下、個人の力量を把握した適切な業務配分がなされていたと考えておりますが、北村さんが当該配分を現実的でないと捉えられていたとすれば、そのことを申し訳なく思いますし、当社において今後改善を図るべき事項であろうと考えております。


* 2016/5/23以降のメインオフィスでの勤務をお願いした経緯について

> これにより、長時間労働・深夜労働を強制することや、作業者の出したおおよその見積もりに対して、
>「時間がかかりすぎているから1日でやれ」といった指示に何ら正当性はない事が証明されました。

上記で引用させていただいた北村さんの発言について、私にはおっしゃることの意味が測りかねているのですが、当社が北村さんに対してメインオフィスでの勤務を依頼した背景については以下のとおりです。

当時、私は直近での北村さんの顕著な生産性低下についてCTOさんから報告を受け、会社として何らかの対策を取るべきだと考えていました。当社はこれまで裁量労働制を取っていたわけですが、生産性が基準に満たない期間が長期間続いた為、これを維持することは困難です。CTOさんと議論した結果、当社としては北村さんが当社の業務に意欲を失ってしまった可能性が高いと判断しました。この際、CTOさんから提起されたのは、北村さんは自分が実装を行っているプロダクトのユーザに接していないことで業務に目標や意義を感じることができなくなってしまったのではないか、この点を改善することで北村さんの業務意欲を復活させることができないだろうか、という提案です。さらなる議論の結果、1)北村さんに毎日一定時間当社業務に向かい合っていただく時間を確保する 2)北村さんに当社業務に対する意欲を持っていただく ためには、ちょうど北村さんが社内メインオフィススタッフ向け機能拡充に取り組んでいたこともあり、北村さんにメインオフィスでの勤務をお願いして始業・終業時刻を固定することで、皆と顔を合わせてもらうのがよいだろう、と判断しました。

以上、回答とさせて頂きます。

何の回答にもなっていない。

CTOが福利厚生や就業規則について熟知していたか

CTOが福利厚生や就業規則について、全然理解していないことは社長も理解していたことが分かった。これだけ分かっていないCTOが、着任前に裁量労働制の説明をしていたとは考えられない。知らなかったからこそ、説明していなかった、説明できなかったと考えるのが妥当である。だから日本人開発者は誰も裁量労働制について聞いた記憶がないのだ。

裁量労働制がベトナムにおいても合法であり、守るべき法律、契約内容がどんなものであって、開発者全員対し、着任前に適切な説明をしていたと考える根拠としては、「返信2: 従業員の労務・福利厚生面については、当社ではメインオフィスが最終責任を持って運用をしております。」という証言は何の効力も持たない。なぜなら「8時間勤務は嫌です。」または「裁量労働制は嫌です。」という話をしていないのだから、着任前・着任後問わず、会社から訂正される機会があるはずもなく、依然として裁量労働制について私が説明を受けていたことの証拠にはならないからである。

伝えていた事実が確認できない以上、「返信2: 当社は北村さんの採用面接時から一貫して、北村さんに裁量労働制を採用していることをお伝えしていました。」というのは法廷でも虚偽の証言だと見なされる可能性が非常に高いと考えている。

実際、着任時にCTOからもらっている情報は次の通りである。

来週月曜日からの勤務について、社内で検討したところ、
当面は下記の体制で感触を模索してみたいと考えているところです。

1)まずは互いをよく知りあうため、オフィス勤務を原則としたい
2)就業時間は9時から18時まで
3)昼休みは12時から13時までの1時間
4)開始時間等は目安であり、厳守しなくてもよい。また遅刻時のペナルティ等も無い
5)最初の週はCTOがオフィスに常駐する。また必要に応じて社長がオフィスを訪れ、業務指示等を行う

さしあたって、初日6月3日(月曜日)は午前9時に弊社分室に来ていただくよう、
お願いいたします。分室住所は下記になります。

xxx, xxx, xxx, Ho Chi Minh city

以上、よろしくお願いいたします。

2)から4)の通り、「反論1: 京都での面接時には、「残業代は出るのか」という質問に対して、「残業代は出ないが8時間までしか勤務しない」という回答をもらっています。」という話とも矛盾しない。だから私はこの連絡に何の質問もしなかったし、1日8時間勤務すれば良いと考えていた。働き過ぎのSさんに対しても「8時間勤務なんだから早く帰ってください」と話をしている。

しかし、裁量労働制であり超過勤務しても残業代が支払われないことについては、一切書いていない。改めてこの説明を読んでみても、フレックスタイム制である、という認識が正しく、採用面接時の説明ともベトナムの労働法とも矛盾しない。契約書の内容とも矛盾しない。

つまり勤務開始時点においても、

  1. みなし時間は8時間である
  2. 実勤務時間の長短にかかわらず、出社していれば、1日の労働時間をみなし時間(8時間)勤務したことにする
  3. みなし時間を超過して勤務しても超過勤務代は支給されない
  4. 深夜時間帯、休日の労働に対しても割増賃金は支給されない

という説明がなされていたとは思えない。

そして、残業代の支払い義務がなくなる条件を規定した法律が見当たらない。法律、合意、契約のいずれも裁量労働制である証拠がない。やはり、この違法企業には労働法を根拠とする、残業代支払い義務があることになる。

私が早く帰宅していた

2013年10月以降、火曜日にベトナム語の授業を受けていた。17:30頃にはオフィスを出て、18:00頃には授業を開始していた。この授業はCTOから勧められたことをきっかけに開始したものである。17:30頃には「ベトナム語に行ってきます」と報告している。授業を続けていた期間で、火曜日以外に勤務時間が短くなっている日はほとんどない。

つまり、「返信2: 私自身、当時エンジニアリングオフィスに在室していた折に、北村さんが大変早く帰宅されるのを見ても「ああ、前日が長丁場だったのだろうな」と思っておりました。」は虚偽の証言である。

作業時間を調整することが裁量労働制である、とはいえない。フレックスタイム制も同様に始業・終業時刻が固定されない。超過時間に対する残業代支払いがないことに同意をしていたという根拠にはならない。

Bさんの勤務場所

勤務場所が自由であると説明しているようだ。もちろん、この事実が残業代が支払われないことに彼や私が同意していたとは考えられず、裁量労働制が合法であり、残業代を支払わないことは契約違反でもない事の根拠となるもではない。

「返信2: このことからも当社がエンジニアリングオフィスにおいて裁量労働制を敷いていることが明白であったと考えます。」

明白であったと証言するのであれば、

  1. 「勤務場所が自由」だから「裁量労働制」である
  2. 「裁量労働制」だから「勤務場所が自由」である
  3. どちらも合法である
  4. 「裁量労働制」なので残業代支払い義務がないことが法律に規定されている

ことを証明する必要がある。

労働法 第 30 条 労働契約に基づく業務の履行

勤務場所 は、労働契約、或いは両当事者のその他の合意に基づく。

に規定されている通り、Bさんがオフィスではなくカフェで作業していたのは、合意があれば問題ないというだけである。つまり、社長の証言している「明白である」という1の論理は、全く成立しない。2に関しても、勤務場所を固定することも自由にすることもできるわけだから、これも成立しない。

3に関して、「勤務場所が自由」なのは、労働法第30条が根拠。裁量労働制が合法であるという法律を提示して欲しい。4に関しても該当する法律を提示して欲しい。

また、この論理がおかしいのであれば、勤務場所を変えた場合、労働者への事前説明もなく残業代を支払う義務がなくなり、裁量労働制が自動的に適用されるという法律がベトナムで施行されているということになる。あるいはBさんとそういった内容の契約をしていたという事になる。もちろん、労働法には該当する規定がなかった。

明白なのは社長が証拠の回答要求を無視し、虚偽の証言を繰り返していることだけである。

当社のプロジェクトマネジメント手法に対するご批判について

  • 時間がかかりすぎだから1日でやれ -> 私のおおよその作業見込みに対し、すべて否定して1日でやれと強制した。
  • 21:00-22:00になって、今日中に終わらせろと指示 -> 残り2-3時間でやれ、と無理な期限を強制した。
  • どれだけ長時間勤務になっても、是正措置はない -> 私の作業が遅れていると非難した。
  • 終業時は帰宅するのに許可が必要 -> 労働法第8条違反

これはプロジェクトマネジメントのあり方ではなく、モラルハラスメントの加害者が使う攻撃方法である。こういった方法をとることでうまく仕事が回せる会社の条件とはなんだろう?この「マネジメント手法」を採用している会社や、これでうまく開発できている会社があれば是非知らせて欲しい。

  • リリースまでの作業内容を見直し
  • 必要な作業を減らした上で
  • 現実的なリリーススケジュールを考え直す

これがマネジメントが取るべき基本的な方法であって、彼らの業務指示は極めて不自然であると書いた(反論1)。批判ではなく、マネジメント手法としてありえないと明確に否定している。相手を精神的に追い込んで潰す目的以外で、こんな異常行動はとれない。

私がSさんを退職に追い込んだ

これもモラハラ野郎が使う攻撃方法の一つである。証拠が一つも出せないので個人攻撃するしかなくなったようだ。

実際のSさんの退職理由は2点。

  • CTOに対して、技術的な会話がうまくできなかったのが辛かったこと
  • 私と会話しなくなったので、技術的な相談がしづらくなり、自分の作業で余計なバグを発生させるのではないかと考えると苦しくなったこと

社長に対しては退職の10か月前(2015年3月頃)から、仕事の要求レベルの高さについていけない、ということで退職を相談していた。退職3か月前(2015年9月ごろ)には技術的に追いつけなくなってきて辛い、と話している。

つまり、彼のスキル向上に対して、さらなるサポートや時間が必要だったのだ。

私は彼の着任後からずっと彼の仕事をサポートし続けているし、CTOではなく私に質問したかったと彼は証言している。具体的に何を勉強するべきか共有したり、「勉強時間を確保するためにも、夜遅くまで仕事をするべきではない」という当たり前の話もしている。しかしカンボジアに一時転勤した際に、社長から「なぜ早く帰っているんですか?Sさんは仕事ができないんだから早く帰っちゃいけないんじゃないですか?」と長時間勤務を脅迫されている。その後、私から「早く帰れ」と言われた時は、両挟みでキツかったと言っていた。Sさんが脅迫された事を聞いていたからこそ、早く帰れるように技術サポートしていたわけである。

私とSさんが会話する機会をなくすまでは、オフィスにいた全員で毎日昼食を食べに出かけていた。2015年6月ごろには、Sさんを昼食に誘ったところ、「早く終わらせないと社長に怒られるんですよ!」と声を荒げて断られた。その後2-3日は「お昼どうしますか?」と誘っていたが、返事がなかったり、「後で行きます」と断られたので、それ以降昼食には誘えなくなった。返事がなかった日には、実際には「どこに行くんですか?」と返していたらしいが、もう私がオフィスを出るところだったので聞き取れず、そのまま階段を降りてしまったというのが事実だと判明した。私はガッカリしていたし、彼は私が怒っていると思っていたし、その後、話をする機会がなくなっていった。2015年6-7月は、21:00-23:30頃の帰宅が多かったと自分の勤務記録に残っている。私が余裕のない表情をしていたかもしれない。Sさんがそれを見て怒っていると勘違いしても無理はない。

9月に大雨でオフィス一階のカフェが浸水被害にあった時に、「やばい雨ですよ」と彼に話をしている。その日に彼と私のバイクが盗まれて、警察に行った時にもたわいのない冗談を言ってみたり、最近どこで遊んでいるかを聞いたりした。私から話題を振ってみても、あまり反応が良くなかったので、長く会話を続けられなかった。

2016年1月の退職時には、ずっと会話していなかったので、話をしないのが自然だと思い、私に連絡しなかったようだ。

今回、Sさんに確認して誤解していたのが分かった。私の方から話をしてもさほど乗り気でもなく、もうあまり話をしたくないのかと思っていたので、私にできることはもうなかった。

退職理由であげられているように、彼にはサポートしてくれる人が必要だった。だからずっとサポートしていたし、会話する機会を持つためにも毎日昼食に誘っていた。彼と私が会話する機会を奪ったのは社長である。

モラルハラスメントで私がSさんを攻撃していたと報告を受けていたのであれば、それを放置したのも社長である。しかし、そんな話は返信2で初めて聞いた。

私がSさんに対してしたことで、一番辛かったことは何かと聞いても、「会話がなくなって仕事の相談ができなくなったこと」であった。しかし、会話がなくなったことの責任は私にも、彼にもある。

「返信2: 最終日も挨拶を受けています。その後も、社員としてではないですが今日に至るまで、当社のお仕事に継続してご尽力いただいております。」と証言しているが、これもSさんから聞いた事実はだいぶ印象が違う。2016年1月13日、Sさんは深夜まで作業をして、「今日で最終出社でいいですか?」と確認したことを「挨拶を受けています。」と書いているようだ。この時点で退職したにも関わらず、その後もSさんに仕事内容の問い合わせを続けた事で、断りきれずに仕事を続けている、という事だった。

予想される結果について

私と同時期に着任したTさんは、2013年6月の試用期間中に退職した。長時間労働が理由である。この際に、社長には「このまま続けると揉めることになりますよ。」と忠告していたそうだ。Tさんが退職するという話を聞いて、私からもCTOに対し、「勤務時間が長すぎるのは良くない。そりゃTさん辞めますよ。」と話をしている。にも関わらず、この時点においても裁量労働制であり、超過勤務に対する残業代の支払いがないことに何ら説明はなかった。社長・CTO、両者とも長時間労働による弊害を認識していた。少なくとも私とTさんから、そのような話を聞くことで是正するチャンスはあった。しかし、何の対策も取らなかっただけではなく、その後も労働を強制し、勝手に裁量労働制を採用していたと虚偽の証言を繰り返した上、残業代支払い義務がないことを証明する法律などの証拠を一切提示せず、こちらからの証拠回答要求を無視している。よって、極めて強い明確な悪意を持って、開発者に対して長時間労働を強制し、労働法違反を続けていたと考えて間違いないだろう。

違法企業の社長はこれまで2度の返信で、証拠を何一つ提示できず、矛盾した証言・虚偽の証言を繰り返している。退職金と有給の清算について義務を認めたのは、彼の駆け引きであると考えている。もちろん全部真っ黒なので、支払いを拒否する場合は、法廷で惨めな姿をさらしてもらった方がいいだろう。その過程も全て公開したいと思う。

これから、最後の通告を行う。当局にバレた場合、罰金+営業停止処分1-3か月となる。要求している金額通りの支払いが行われない場合、社名、個人名を公開し、ホーチミンに戻り法的な手続きに入る。渡航費用、滞在費用、訴訟にかかる経費などは全て支払ってもらう。ベトナム語でも本件は広める。すでに取材依頼も来ているので、すべての違法行為をまとめてもらう。

ベトナムの裁判所には強制力がない。私が勝訴した後であっても、支払いに応じない場合には、もう彼に対して何をしても全く問題ないという事になる。なので容赦しない。

謝罪あり、支払いあり

これが一番いい結果だと思う。しかし実現可能性は非常に低い。いい意味で裏切っていただきたい。

かつてブラック企業と噂されていた企業でも、実際は労務管理が非常に厳しく運用されている会社がある。上場に際し、ウミを出し切ったらしい。確か違反者は降格処分になったりもしていた。問題があったという事は、これから改善する機会を与えられたという事であり、「こうすればよかったんじゃないの?」という話は反論1でも書いている通り。

ベトナム滞在中には現地での生活に関して、最大限のサポートをしてもらった事には感謝している。しかし、すでに書いた通り、違法事項だらけの違法企業である。開発者は全員辞めているし、どう考えても彼らのやり方がおかしいのだ。虚偽の証言を続けるのはやめて、真っ当な方法で更生して欲しいと思う。

支払い期限が守れないのであれば、分割払いを検討してもいいが、その場合は日本での法定遅延利息である年14.6%の利息を付けて支払ってもらう。

謝罪なし、支払いあり

しぶしぶ支払いがなされるケース。なぜ違法かについて理解できないが、法廷まで行っても勝ち目がなさそうなので仕方なく支払いをする場合だと思う。これも実現可能性は低い。

謝罪あり、支払いなし

申し訳ない、と言って支払いをしない。この可能性はなさそう。

謝罪なし、支払いなし

謝罪はしないし、支払いもしない可能性がある。実現可能性はかなり高い。 裁量労働制であるという証拠が一つもない上に、証拠の回答要求も完全に無視している。 法廷で追い込むしかない。