イランのラフサンジャニ元大統領=2013年5月、田中龍士撮影
【テヘラン田中龍士】イランのラフサンジャニ元大統領が8日、死去した。国営放送が報じた。82歳だった。心臓発作とみられ、同日緊急入院していた。最高指導者ハメネイ師の長年のライバルで、1979年のイラン革命後に国交を断絶した米国との関係改善を模索した先駆者的存在。保守穏健派ロウハニ大統領の後ろ盾として政界に強い影響力を誇っていた。
34年、南東部ケルマン州生まれ。イスラム教聖地コムで神学を学び、イラン革命の父と言われる故ホメイニ師に師事した。革命後のテロ事件で負傷したハメネイ師に代わり、金曜礼拝で説教を行う礼拝導師に就いたことでホメイニ師に次ぐ地位を確立。イラン・イラク戦争(80~88年)では、ホメイニ師の停戦受け入れはラフサンジャニ氏の説得が影響したと言われる。
大統領は89年8月から2期8年間務めた。宿敵ハメネイ師がホメイニ師の死去を受けて最高指導者に就任した後最初の政権を担い、80年に国交を断絶した米国との融和路線を重視。革命直後は禁止された音楽や映画の一部自由化や女性の権利拡大を推進したが、保守派に配慮したハメネイ師との確執が表面化した。
大統領退任後は、ハタミ大統領(97~2005年)を支援。強硬派アフマディネジャド政権当時(05~13年)には、最高指導者の罷免権限を持つ「専門家会議」の議長を07年から約4年間務めた。13年の大統領選ではハタミ師と共に改革派勢力との調整を図り、ロウハニ師当選に尽力した。