タイマIC「555」の使い方
「555」は従来からあるタイマICで手軽に「発振回路」、「タイマ」などに用いられます。
電子工作においても、しばしば登場しますので、あらためて「555」について解説します。
555は「NE555」がオリジナルですが、現在では各メーカーから
CMOS版も含めてセカンドソース品が販売されています。
★CとRによるタイマの原理
コンデンサCに抵抗Rを通して充放電させると図35のような特性になります。
この時のコンデンサCの端子電圧Vcの充放電に要する時間は CとRの組み合わせで決まります。


このような放電特性を利用したCRタイマの原理を図36に示します。 図36におけるスイッチSはVcの初期化と充電開始を行い、Sが閉じた状態でVcはゼロです。
この状態からSを開けば充電を開始(タイマスタート)し、Vcの値をVsの63%電圧と比較します。
Vcの値が63%に達した時点でスイッチSを閉じてタイマ終了とすれば、タイマ時間TはCRの掛け算で表わされます。

以上の動作はVcの値を63%としましたが、この値は任意でも良く、例えばVcの値をVsの2/3とすれば、

★555のブロック図
図37にブロック図とピン配置を示します。
CompAとCompBはコンパレータ(比較器)でそれぞれの端子(プラスとマイナス)の電圧比較を行い、その結果により出力が「H」または「L」になります。
基準となる電圧(Vref)は抵抗3本による電圧分割で、3本の抵抗値は同じ値です。
したがって、CompAはVccの2/3、CompBはVccの1/3です。
Flip Flop(以下、FFと略す)はコンパレータ出力を入力とした「RS-Flip Flop」で、出力「/Q」でトランジスタを介して充放電を制御します。
CompAはマイナス端子が基準電圧入力ですから、
TH > VrefA で出力「H」
CompBはプラス端子が基準電圧入力なので、
TRG < VrefB で出力「H」

図38にタイマ時の接続を示します。
電源ON後の初期状態では/Qは「H」で、これによりトランジスタがONになりDISおよびTHは「L」です。
TRG端子を「L」にすると TRG < VrefB の条件になりますので、CompB出力は「H」になり、これによりFF出力の/Qが「L」となり、トランジスタもOFFしますので充電が開始されます。
充電によりコンデンサの端子電圧(DIS,TH)が上昇していくと TH > VrefA の条件で
今度は CompA出力が「H」となって、/Qは「H」に戻り、タイマストップとなります。
このようにしてタイマ出力OUTが変化し、その時間は前述のように T = CR×1.1 です。


この時の回路を図39に示します。 電源ON後はリセット状態で、スタートスイッチを押すことによりタイマが起動し、 約11秒間LEDが点灯します。

★発振回路の接続
発振回路の場合は図40のようにコンデンサCの端子電圧をTHおよびTRGに接続します。
この場合、CompAとCompBは基準となる電圧(VrefA,VrefB)が異なりますから、それぞれの コンパレータ出力は図40のタイミングになります。
つまり、CompAは放電開始、CompBは充電開始を制御しています。
これにより充放電を繰り返しますので、これが発振です。

★発振周波数
発振モードの基本接続と、この時の発振周波数を図41に示します。

★デューティ・サイクル
デューティ・サイクルとは図42のように1周期の時間(A)に対する「L」の時間(B)の比率を 言い、⑧式で表わされます。

例えば図43のように Ra = Rb ではデューティ・サイクルは1/3になり、
「H」の期間は2/3、 「L」の期間は1/3です。
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