巻きついた時には手遅れになることがあります
今朝ネットで悲しいニュースを見つけました。
7日、水戸市にある建設資材を製造する作業所で、79歳の女性が倒れているのが見つかり、病院で死亡が確認されました。作業で使うドリルにマフラーが絡まり、首を絞められた状態になったと見られています。
ニュースによるとこの女性は建設資材を製造する作業所で「塩ビパイプに穴を開ける」作業をしていたとのこと、現場が寒かったのかマフラーをしていてドリルに巻き付いてしまい窒息して亡くなられたそうです。とりあえず気づいたらすぐブクマしました。
女性死亡、ドリルにマフラー絡まり首絞められたか(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース
安全への意識が低かったのか、気の緩みか。車のボンネット内を見る時などは絶対にネクタイは外すかカッターシャツのボタンの隙間からねじ込んでおく等も鉄則。そもそも仕事中に工場内でマフラーは絶対駄目
2017/01/08 10:12
作業機械を始め回転している機械に近づく時は「首からぶらさがっているようなもの」は絶対に外してから近寄らないといけません。
- マフラー
- ネクタイ
- IDネックストラップ
こういうものはカッターシャツを着ているならボタンの隙間から完全に中に押し込んでしまうか完全に外してしまうことです。こういう「力が加わった時は首から外れるネックストラップ」もありますが完璧ではありません。分離する部分が噛み込まれた場合は防ぎようがありません。
職場で教えられたこと
大学を出て新卒で入社した会社はトヨタ系のディーラーでした。座学の研修が終わったらメンテナンス等の講習があるのですが、まず第一に言われたのが安全第一。
「ネクタイは外すこと。外さないならボタンの隙間から完全にねじ込むこと、もしくはどんなに暑くてもジャンパーを羽織りファスナーをきっちり締めること、胸ポケットに入れるだけでは絶対にいけない」
例えばボンネットを開けてオイルをチェックしたりバッテリー上がりの時はケーブルを繋いだりすることがあります。ボンネット内を覗き込んでいる時はエンジンがかかっていなくても、誰かがキーを回した瞬間にエンジンがかかるかもしれません。
車のエンジン周りというのはタイミングベルトなどのベルト類が回っていて、そこにネクタイが挟まるというのは首の骨折、窒息死などの危険が非常に高いのです。
これは徹底的に言われたので退職してからも守っています。逆に首から何かを下げたまま機械に近づくことがどれほど怖いかもいまだに忘れていません。これはこの記事を読んだ方全てに覚えておいてほしいです。とっさの時、ネクタイを引きちぎれるほどの怪力の男性はそれほど多くありません。あっという間に体を引っ張り込まれるでしょう。
ドリルの危険性
今回の事件は「ドリルにマフラーが絡まった」とありました。どのようなドリルだったかはわかりませんが、通常穴を開けるためのドリルは布や髪の毛、紐などをあっという間に絡めてしまう大変危険なものです。安全のためにカバーを付けている職場も多いです。
工場の職場などによって安全管理の考え方が違うので一概には言えませんが、基本的にドリルを扱う作業者は素手で作業するように指示されることが多いです。通常工場では軍手をはめて作業することも多いと思いますが、軍手の繊維がドリルの刃に触れた場合巻き込みが発生し、ドリルに手が巻き込まれ手首を大怪我することがあります。会社によっては「軍手は駄目、革手袋なら可」というところもありますが、安全衛生上はあまりよくないと考えます。
ましてや今回の事故は「作業所内でマフラー」を使っていたとのこと。どれだけ寒くてもマフラーを使ってはいけないことを誰も言わなかったのでしょうか。100円均一でもネックウォーマーは売っていますし、首から垂れ下がらない分安全性は高いでしょう。
一番問題なのは「○○さん、マフラーは危ないから作業所内で使ってはいけない」と使用を禁止する命令を出せなかった現場の雰囲気でしょう。今もしそういう危険な作業をしているところがあるなら、明日にでも禁止しましょう。これは本当に危ない。
ケースバイケース
さきほどドリルを扱う時に軍手は危ない、ということを書きましたが、これは作業内容によっては「軍手を推奨」するケースがあります。プレス機などは逆に軍手が挟まった瞬間に手を引っこ抜くことで「軍手だけが挟まって軍手から手を抜いて助かる」というケースがありえます。素手だと抜けなくても軍手からなら抜ける、というパターンです。
また、とび職の方などが着ているダブダブのズボンなどについてもきちんと理由があり、作業のしやすさ、危険の察知などがよく言われるところです。あれ、たしかにしゃがむ時にめちゃくちゃ楽そうなんですよね。
自分でも気をつける、他人にも注意する
工場で作業をしている人たちはよく「指差し確認」などで安全に対する取り組みを行っています。これも慢性的な行動になってしまうと「指差し確認をすることが目的」となってしまい安全衛生上の効果がなくなってしまいます。
まずは「自分の安全を自分で測ること」が大事であり、その上で「自分が気づいた他人の行動」についてもきちんと注意できる環境を作ることも大事です。そこには先輩だから言うのを遠慮する、とか後輩に言われて生意気だとかいう気持ちを持たないことも大事です。怪我をしてしまえばそれどころの問題ではすまないのですから。
亡くなられた方のご冥福を祈るとともに、二度とこういう事故が起きてほしくないなと思います。
※第二種衛生管理者の資格は所持していますが、間違っている点などがもしありましたらご指摘いただけると幸いです。