■量的緩和2年の効果・副作用
日銀が「2年でインフレ率を2%にする」と宣言して量的質的緩和策を開始してから2年が経過した。このタイミングで、本書を手に取りながら、同政策が我々の孫子の世代にもたらし得る効果と副作用を考えることは重要と思われる。
マイルドなインフレになれば成長率は高まるという今の風潮は、「人口減少や超高齢化という根源的かつ喫緊の課題から目をそらす方向に作用する」と著者は懸念している。
経済学や金融の世界になじみが薄い読者には難しい部分もあるかもしれないが、様々な逸話(トルストイの『アンナ・カレーニナ』など)や、単純化した人口問題等のシミュレーションが理解を助けてくれるだろう。
特に、邦画「新幹線大爆破」(1975年)を比喩に使った日銀国債買い入れの説明は秀逸だ。時速80キロ以下になると爆発の「スイッチ」が入る爆弾が新幹線に仕掛けられた。高速で走り続ける間は車内では「静穏な状態が続く」。終着駅(インフレ2%)に近づいたら減速が必要だ。だが、政府債務が巨大な国で国債買い入れを減額したら、財政危機の「スイッチ」オンを避けることはできるだろうか……。
日経平均2万円到達を喜ぶだけでなく、先行きのリスクも議論する必要があると言える。
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岩波書店・2484円