新年です。知的生産の最初の一歩を踏み出すなら、非常に良いタイミングです。
これまでまったくパブリックなアウトプットをしたことがない人がそれにチャレンジしてみたり、あるいはすでにアウトプットをしている人が、一つ大きな土俵に向かってみたりと、新しい可能性の扉はいつだって開かれています。いろいろなものが切り替わる新年は、そうした取り組みを始めるのに最適な時節だと言えるでしょう。
とは言え、最初から大きいゴールを意識しすぎると__モチベーションは高まるかもしれませんが__日々の行動は辛くなります。最初の一歩は小さくはじめ、そこから徐々にできることを増やしていくのが良いでしょう。
では、まず何から始めればよいのでしょうか。
梅棹忠夫氏による知的生産の定義はこうです。
知的生産というのは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら──情報──を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ。
だからそう、知的生産コトハジメも、これらを意識するのがよいでしょう。
頭を働かせてメモをとる
メモをとりましょう。日頃からメモをとるようにしましょう。ほとんど間違いなく、これが「知的生産」の最初の一歩です。
では、何をメモするのか。それは自分の着想です。着想が大げさならば、「思いつき」で構いません。何かふと思いついたことを、どんどんとメモしていきます。
メモすることの効用は、第一に後からそれを見返せることで、それは次のステップにつながります。第二の効用は、自分が考えていることが、自分でわかる、ということです。それがわかると、思考にメタ作用が発生します。これはあなどれない効果です。
では、何一つ思いつくものがない場合はどうすればいいのでしょうか。そういうときは、すっぱり諦めて質の良い情報をどっさり詰め込むインプットからスタートした方がよいでしょう。情報摂取するのです。その摂取の中で、何か思いつくことがあるならば、それをメモしましょう。
もしそれでも思いつくことが何一つないのなら、当面は別のことに取り組んだ方が良さそうです。
なにかあたらしいことがらをノートにかく
メモはどうしても短くなります。フレーズや文章の断片です。それだけではアウトプットとしては力不足なので、もう少しまとめる必要があります。
それをノートで行いましょう。大量の物量を扱える自信があるならば、情報カードでも構いません。逆に、テキストエディタでも構いませんし、EvernoteやUlyssesといったワンライブラリでもよいでしょう。なんであれ、メモした断片を膨らませて、ひとまとまりの文章にするのです。
しかしそこでは、「文章的正確さ」を求める必要はありません。日本語の文法的に少しおかしいことが含まれていても、文章のリズムが悪くても良いのです。単に、メモした断片を、文章の形で展開しておくのがこの段階の目的です。
ノートやカードに書き留めておくと、もちろんその後で見返せる効能がありますが、それ以上に文章化する際に、自分の頭が働くことがより大きな意義です。人は「文章を書きながら、考える」のです。フレーズの段階では曖昧だったものが、文章化される中で具体性を帯び、さらには別の着想へともつながっていくでしょう。
メモがノート化(カード化)されることで、着想に豊穣さがもたらされるのです。
ひとにわかるかたちでブログる
そうしたノートの記述(あるいはカードのストック)が一定量溜まってきたら、いよいよアウトプットに取りかかりましょう。ブログるのです(※)。
※今勝手に作った動詞です。「グラブる」と同じイントネーションで発音してください。
ノートに書いたことを利用して記事を書きましょう。そのまま転記しても良いですが、もう少し「ひとにわかる」文章を意識してリライトするのもよいでしょう。ノートの一つの記述と、別の記述をまとめて一つの記事にしてしまうこともできます。
もちろんブログでなくても構いません。フリーペーパーでもメルマガでも、セルフパブリッシングだってありです。ただし、最終的な構造物のサイズが大きければ大きいほど、メモ的蓄積・ノート的蓄積の必要量は大きくなる点には注意してください。
さいごに
知的生産を始めようと思うなら、大きなアウトプットにいきなり取り組むのではなく、まずメモから始めましょう。
そのメモをとっかかりとし、ノートに文章化して蓄積しながら豊穣さを増やし、最終的にそれらを素材としながらアウトプットを行うのです。
これは別に、ノートに本一冊分の文章を掻き集めなければ、アウトプットしてはいけない、というわけではありません。単に、本一冊分のあまたをうごかしていないと、それは書けない、というだけの話です。ブログも同様で、必要なのはネタではなく、あたまをうごかすことなのです。
だからまずは、あたまをうごかす習慣を身につけるところからスタートする必要があるでしょう。
▼今週の一冊:
手帳評論家の館神さんによる手帳の使い方の基礎解説。特定の手帳に偏らない、俯瞰的な手帳の使い方が紹介されています。今年社会人になられる方には、良い手帳入門書となるかもしれません。
Follow @rashita2
なんかこの記事を書いていて、「まずはここから。知的生産入門」という本のアイデアが浮かんできました。このように何かを書き留めるようにしておくと、アイデアというのは触発されて生まれてきます。というわけで、皆さんもLet’s Write!
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
» ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由
01月14日(土) クローズ・リストを極めるための2冊《プロジェクト編》
今回のテーマは、前回に引き続き
-クローズ・リストを極めるための2冊
ということで、以下の2冊に迫ります。
●『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』
●『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』
今回は特に「プロジェクト」の進め方について掘りさげます。
この2冊の共通点は、「クローズ・リスト」です。
クローズ・リストとは一日に取り組む仕事の量を一定の基準で制限し、それ以上の追加を許さないという文字通り「閉じたリスト」を指します。
言い換えれば、抱える仕事量を自分の処理能力の範囲内に収めることで、仕事を確実に終わらせるための方法ということになります。
クローズ・リストを身につけ、そして極めることができれば、「仕事に追われるモード」から脱却し、「仕事を追いかけるモード」に形勢を逆転することができます。
この形勢逆転を実現するための考え方とやり方を、今回の2冊の中から抽出したうえで解説します。
また、今回の2冊のうち1冊『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』は佐々木が執筆・大橋が監修を務めており、内容については誰よりも詳しくかつ分かりやすくお伝えすることができます。
さらに、もう1冊の『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』の内容についても、佐々木と大橋が8年以上にわたって折に触れてブログやセミナーの中で言及してきており、もはや専門分野といってもいいレベルです。
そんな佐々木と大橋がこの2冊の本の読み方と役立て方をお伝えします。
この2冊をまだお読みでない方はもちろん、すでに読んでみたものの、なかなか実践に移せていない、という方はぜひご参加ください。
※ご参加に際して、課題図書のどちらか1冊を当日ご持参ください(KindleでもOK)。
好評いただいている個別相談の時間もご用意していますので、知識としては理解できているとは思うものの、なかなか実践に結びつけられず苦戦している、という方は、ぜひこの機会にブースターとしてご活用ください。
現在、満席です。キャンセル待ちをご希望の方はお問い合わせください。
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