地中海を航海するロシアの空母アドミラル・クズネツォフ=ロシア国防省のサイトから、AP
【モスクワ杉尾直哉】ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は6日、シリア空爆に派遣されている露軍を縮小する計画を明らかにした。ロシアが支援するシリア政府軍が昨年12月に激戦地アレッポを反体制派から奪還し、同月末にはロシアとトルコが主導する一時停戦が発効。これらを受け、シリア作戦に一区切りをつける狙いがある。
一方、プーチン政権を支持する野党・自民党のジリノフスキー党首は7日、独立系ラジオ局「モスクワのこだま」に、「シリア派遣軍の縮小は正しい決定だ。駐留を継続すれば(ロシアの)経済に損害を与える」と語った。ロシアがシリア情勢で主導権を握ったとはいえ、2015年9月に始めたシリア空爆作戦が長期化したことも、派遣軍縮小の背景にあるとみられる。また18年にはプーチン氏が任期満了を迎え、大統領選挙が行われる。今年はその準備となる重要な年となることも踏まえプーチン氏がシリア作戦の縮小を命じた可能性がある。
ロシア軍によると、派遣軍縮小の手始めとして、昨年11月初めからシリア沖の地中海に派遣されていた露北方艦隊の空母「アドミラル・クズネツォフ」を6日、母港の露北西部セベロモルスクに向け出発させた。アドミラル・クズネツォフの航空隊が実戦に投入されたのは史上初めてで、この2カ月間で420回出撃し、過激派の拠点など1252カ所を空爆したという。
一方、ロシア正教会のトップ、キリル総主教は7日、露国営テレビのインタビューに対し、「ロシアが(シリアやトルコ、イランと)反テロ連合を結成できたことは、今の国際政治におけるすばらしい現象だ」と評価した。7日はロシア正教のクリスマスに当たり、キリル総主教は「テロリズムへの勝利がまずシリアで始まり、あらゆる場所に広まることを強く希望する」と語った。