周辺国とこうした鋭い対立を続けた場合、経済状態が悪化するのはもちろん、韓半島(朝鮮半島)の安全保障において最大の脅威となっている北朝鮮の核・ミサイルに対する協調体制にもひびが入りかねない。
だからといって中・日の圧力に押されて妥協する姿を見せることもできないところに、韓国政府の悩みがある。THAADは北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するための自衛的措置であって、少女像は慰安婦問題をめぐる韓国の国民感情と直結した問題だ。
韓国政府の消息筋は「THAAD配備と慰安婦合意、いずれも韓国国民や野党に対する説得の努力が足りなかったという問題がありはするが、今の状況でこれをひっくり返したりするのは、さらに大きな問題を引き起こしかねない」と語った。
韓半島をめぐる複合的な対立において、かつてのように米国の役割を期待するのも容易ではない。強力な自国優先主義に基づいて保護貿易主義の旗を掲げるトランプ政権が、このような対立に深く関与する可能性は高くないという分析が支配的だ。外交部が今月4日の新年業務報告で「今年は冷戦終結後、最も厳しい外交・安全保障環境が展開するだろう」という見解を示したのも、こうした流れからだ。
結局、こうした外交・安全保障の激変期を乗り切るためには、政府・政界が党派の利害関係を超え、国を挙げての合意を通して政治・外交・経済・貿易を網羅した戦略を立てなければならないと指摘されている。
金聖翰(キム・ソンハン)元外交部次官は「国内的なイデオロギー対立は国内でうまく縫合し、国際的には一致した対応を見せなければならない。党派的利益、あるいは大衆の感情に迎合するポピュリズムに基づいて外交をやることになったら、結局そのコストは韓国が全てかぶることになる」と語った。