情報機関トップからの詳細な状況説明後に声明発表
【ワシントン会川晴之】米政府は6日、ロシアが昨年の大統領選期間中に民主党陣営をサイバー攻撃した問題に関し、米情報機関の報告書を公表した。この中で、攻撃は「プーチン露大統領が命令して実施されたと評価している」と指摘して、プーチン氏を名指しした。この日、トランプ米次期大統領は問題の攻撃に関し、詳細な状況説明を情報機関トップから受けた。トランプ氏は説明後に声明を発表し「選挙結果には影響がなかった」と主張した。また、就任後にサイバーセキュリティー対策強化に積極的に取り組む考えを示した。
情報機関の報告書は、ロシアの意図について、米国の民主的な手続きを阻害し、クリントン候補の当選を阻止することだったと分析した。
状況説明はクラッパー国家情報長官などがニューヨークのトランプタワーで約1時間にわたり行った。トランプ氏はこれまでロシアが攻撃を実施したとのオバマ政権の認定に懐疑的だった。しかし声明では、この日の会合を「建設的だった」と評価して情報機関の労をねぎらうなど、分析内容に一定の理解を示した。
クラッパー氏らは、大統領選で「投票結果の改ざんはなかった」との分析結果を示し、トランプ氏はそれを根拠に「選挙結果には影響がなかった」と主張したと見られる。ただ、サイバー攻撃対策を強化するため、特別チームを編成して就任後90日以内に報告書をまとめる考えも示した。
米政府によると、ロシアは大統領選期間中、民主党全国委員会やクリントン候補の陣営幹部のメールを大量に盗み取り、告発サイト「ウィキリークス」などで公開。クリントン陣営は、多大な不利益を被ったと主張している。
オバマ米大統領は昨年12月29日、大統領選期間中の民主党などに対するサイバー攻撃は、ロシア情報機関によるものと断定。報復措置としてロシア外交官35人の追放などに踏み切った。