トランプ次期米大統領=米インディアナ州で2016年12月、西田進一郎撮影
【ワシントン西田進一郎】トランプ次期米大統領は6日、不法移民対策としてメキシコとの国境に壁を築くと公約したことを巡り、ツイッターに「不誠実なメディアは、巨大な壁を築くための費用はメキシコが後で支払うことを伝えない」と投稿した。一部メディアが費用について、議会や政権移行チームが米国予算に一部費用を盛り込むことを検討している、と報じたことへの批判とみられる。
ただ、一方的に築くと決めた壁の建設費用をどうメキシコに支払わせるのかには一切触れていない。また、トランプ氏は米国以外で生産を増強しようとする国内外の企業にもツイッター上で圧力をかけ続けている。今月11日に次期大統領として初めて記者会見するが、ツイッターで自分の都合のよい情報だけを発信する「トランプ流」についての説明も求められそうだ。
トランプ氏は、大統領選の当初からメキシコとの国境に巨大な壁を築くと公約。支持者集会では、「建設費用は誰が支払うんだ」と呼びかけ、支持者らに「メキシコ」と言わせるやりとりが有名だった。昨年10月22日に就任後100日の行動計画を発表した際も「我々は壁を作る。メキシコがその壁の費用を支払う」と語っていた。
これに関し、AP通信は5日、議会共和党とトランプ氏の政権移行チームが新たな法を議会で通過させることなく、公約に着手する方法を探っていると報道した。2006年のブッシュ前政権時に成立したメキシコ国境に700マイル(約1100キロ)の壁を築くとした法を適用するというもので、この法に基づけば、米国内で予算措置をし、トランプ氏が公約した壁の建設が始められる可能性があるというものだ。
しかし、トランプ氏は、米国の予算を使う形になる点が気に入らなかったようで、ツイッターで報道を批判。最終的にメキシコが支払うということを強調することで、自身の公約通りになると主張したかったようだ。