20160427a20160427b日本トレイルランニング協会知識検定委員会監修『トレイルランニング知識検定3級(基礎編1)問題集』(発行人:片山成充、発行所:株式会社インテグラ、510円+税)を買ってきました。4月16日(土)に新宿の紀伊國屋書店本店のスポーツ本コーナーへ行ったら平積みで置いてありました。問屋を通していてこの部数だとすると、相当刷っていることになります。この本に関しては問題がふたつあります。あたかも検定試験があるかのように見せかけていることと、出版に隠された意図です。

「3級」とか書かれると「2級」や「1級」もあるのかと思いますよね。この本の最終ページには「(検定試験)合格者には、後日認定証が授与されます」とあるのですが、試験の有無には言及はありません。(中味は100問で、トレイルランニングの定義として「未舗装率75%以上」とか「上り勾配が9%以上」とかいう勝手な定義が含まれている他は山歩きの基礎知識程度の内容です。)

さて次に「日本トレイルランニング協会」ってなんでしょう。この団体の筆頭者は片山成允氏、「NPO野外活動(自然体験)推進事業団」の代表理事でもあります。2013年に鎌倉市長からの依頼で開催が中止となった「鎌倉アルプストレイルラン大会」、地元自治体には無届けで開催しコースとして住宅地まで利用していると悪名の高い「三浦半島縦断トレイルラン大会」の開催者です。

「日本+競技名+協会」というのは典型的な競技団体の名称ですが、ほとんど個人活動に近いのにこの名称を使っていることで、トレイルランニングの世界では混乱が起きています。この名称を巡っては、「日本トレイルランナーズ協会」の石川弘樹氏が杉本憲昭氏(片山氏と共同代表)に名称を譲るように交渉しているとか(今年の1月11日開催のトレイルランニングフォーラム2016での情報)、杉本憲昭氏が関わっている「日本トレイルランニング会議」がこの春からこの名称にするとか(『Trail Running Magazine 2016』に記事あり)、いろいろな話があります。あくまでも私の推測ですが、片山氏は「日本トレイルランニング協会」の名称を確保し続けるために、ほぼ自費出版に近いかたちでこの書籍を出版して、活動実績があることにする悪あがきをしているのではないかと思います。

片山氏のこのエネルギーがどこから湧いてくるのか本当に不思議ですが、日本のトレイルランニングの発展には障害でしかないと私は思います。書籍自体はいかさま的なところを除くと言論・出版の自由の範囲内なので、不買運動を展開するつもりはありませんが、おすすめはしませんよ。

【参考リンク】

NPO野外活動(自然体験)推進事業団の「私たちの活動について」
http://www.npo-outdoor.com/about_us.html

日本トレイルランニング協会の「入会案内」
・立ち上げ時にご意見番として呼んだのかどうか不明ですが、石川弘樹氏が立って発言している写真を使っています。石川氏はいいように利用されたという感じでしょうか。
・アメリカトレイルランニング協会(ATRA)と連絡をとった時に返信メールを掲示して、自分たちが国際的なつながりを持った団体であることを誇示しています。
以上、うまいぐあいにやっているなという感じ。
http://www.trail-japan.com/nyukai/

Amazonのトップカスタマーレビューには「トレイルランニング知識検定なるものは存在しません。みなさんご注意下さい。内容も稚拙なものでした。」とコメントがありました。
http://www.amazon.co.jp/トレイルランニング知識検定-基礎編1-問題集-日本トレイルランニング協会-知識検定委員会/dp/4861132827