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死骸見つけたら連絡を 鳥インフル、注意点は

異常のある野鳥がいないか監視する県職員=豊橋市佐藤町の幸公園で

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 豊橋市で三日に見つかった渡り鳥の死骸から、簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出た。昨年十二月の東山動植物園(名古屋市千種区)から、家禽(かきん)農家が集積する東三河に飛び火した形で、官民挙げた防疫は至上命令だ。緊迫感も高まる中、鳥インフル問題を整理した。

 −そもそも鳥インフルエンザって

 「A型インフルエンザウイルス」による家禽などへの感染症だよ。もともと水鳥が宿主なんだ。ニワトリなどの間でウイルスが感染を繰り返し、鳥インフルのなかでも特に毒性が強い「高病原性」に変化するとされるよ。

 −感染はどう広がるんだろう

 水鳥は、高病原性になったウイルスにも比較的強い。感染したまま飛び回り、接触やふん、生息地の水を介して他の鳥にうつしてしまうんだ。死んだ鳥を食べたイタチやテン、ふんを体につけたネズミが媒介することもあるよ。

 鳥取大の山口剛士教授(獣医衛生学)によると、感染したスズメが口をつけた水場から、ニワトリにうつった実験例もあるんだ。

 −人間にもうつるのかな

 少なくとも日本でヒトの発症が確認されたことはないし、鶏肉や鶏卵を食べて、感染することはない。厚生労働省は「通常、感染することはないが、濃厚接触をした場合など、きわめてまれに感染することがある」としている。

 −「濃厚接触」って?

 鳥を大量に飼育したり、自分で毛をむしってさばいたりするイメージかな。山口教授によると、中国で、ハクチョウから羽毛をむしる仕事をしていた人にうつった例がある。ただ、のどの奥深くまでウイルスを吸い込まないと感染しないらしいから、日常生活ではまずないね。

 −三日に死んだ鳥が見つかった場所はどこなの

 近くにある家禽農家への風評被害を心配して、県は詳細を公表してないよ。県の担当者は「感染した野鳥のふんを靴の裏につけてウイルスを他の場所にまき散らさないため、近づかないでほしい」とも呼びかけている。報道陣も取材には注意を要するね。

 −感染した鳥を、ネコが食べても大丈夫かな

 ネコは感染しやすいんだ。韓国で昨年十二月に死んだ野良猫からウイルスが検出されている。山口教授は「犬も死んだ野鳥を大量に食べると感染する可能性がある」と言っているよ。

 −農家は、どんな対策が必要なの

 農場内で感染が確認されると、家畜伝染病予防法に基づいて鳥を殺処分しなければならない。農家は、農場内に消毒用の消石灰をまいたり、感染した野鳥が入り込まないように防鳥ネットを設置したり、ずっと対策に心を砕いているよ。

 −県は四日、半径三キロ圏内にある家禽農家に立ち入り検査した

 飼っている家禽に異常はなく、予防態勢にも問題がないことが確認されたよ。立ち入り検査の対象にはならない小規模な施設も三キロ圏内に四カ所あるんだけど、異常は確認されてないね。

 −一般の県民はどうすればいいの

 もし死んだ野鳥を見つけたら、決して触らず、市町村や県に連絡しよう。大村秀章知事も四日の年始会見で「緊張感をもって対応する」と話し、県民にも協力を呼びかけたよ。

 野鳥は一日で百キロ以上飛ぶから。四日に西尾市で見つかった、死んだ野鳥からも簡易検査で陽性が出たね。今後も、どこで感染が起きても不思議はない。今回の陽性はともに簡易検査で、一週間後には確定検査の結果が出る。ウイルスが拡散しなければ、本当、いいんだけど。

 (竹田佳彦)

 

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