【社説】大荒れ韓国外交、「親日か反日か」を問う前に代案を示せ(下)

 中国との関係も非常に複雑だ。韓国にとって最大の貿易相手国であると同時に、南北の平和統一に向けて協力を進めていかねばならない相手だが、一方で北朝鮮という独裁的かつ暴力的な政府の最大の支援国でもある。この中国からの安全保障上の懸念に対応しながら、同時にその関係を良好に保つ知恵がわれわれには求められているが、その際にはわが国の基本的な立場だけは絶対に忘れてはならない。それは国民の生命を守ることが最優先であるということと、韓米同盟がその基盤であるという厳然たる事実だ。

 文氏は今月2日「北朝鮮が今後も核兵器開発とミサイル開発を進めるのであれば、北朝鮮に未来はない」と発言した。また共に民主党の秋美愛(チュ・ミエ)代表も「安全保障に与野党は関係ない」と述べた。ところがその言葉とは裏腹に、彼らが実際に口にする安全保障政策は「THAAD配備の再検討」「韓日軍事情報保護協定の見直し」「開城工業団地と金剛山観光の即時再開」など理解に苦しむことばかりだ。開城工団と金剛山観光を再開すれば、年間数億ドル(数百億円)の現金が北朝鮮に転がり込むことになり、それによって国際社会が一致して取り組んでいる対北朝鮮制裁を韓国自ら崩壊させる結果をもたらす。またこれによって北朝鮮が核兵器開発を放棄する理由もどこにもない。

 今後どの政党、あるいは誰が政権を握っても、今年が韓国の外交・安全保障政策において大きな試練の年となることだけは間違いない。これに比べると今の大統領弾劾問題などむしろ小さな問題だ。そのため全ての政党と大統領候補者たちは、外交・安全保障問題においてだけはいたずらに大衆を刺激し煽るような言動をただちにやめ、責任を持って代案を模索し提示しなければならない。

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