「下請けGメン」発足へ 不当な取り引き監視強化

「下請けGメン」発足へ 不当な取り引き監視強化
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中小企業庁は、大手企業が下請け企業に支払う代金を一方的に減額するような行為を防ごうと、「下請けGメン」という組織を新たに発足させ、不当な取り引きが行われていないか監視を強化する方針を固めました。
大手企業が優越的な地位を乱用して下請け企業の経営を圧迫する違反行為は、昨年度(平成27年度)でおよそ7000件に上っていて、人手不足などで厳しい環境にある中小企業にとってさらなる打撃となっています。
このため中小企業庁は、「下請けGメン」という新たな組織を発足させ、大手企業による不当な取り引きへの監視を強化する方針を固めました。
具体的には、新年度からおよそ50人の調査員を全国各地の中小企業1000社以上に派遣し、大手企業から一方的に支払い代金を減額されたり製造コストを引き下げられたりすることがないか聞き取ります。そして、「下請け法」に違反する行為が確認されれば、大手企業に行政指導を行うとしています。

大手と下請けの取り引きをめぐっては、自動車などの業界団体が適正な取り引きを目指す自主行動計画の策定を進めていますが、中小企業庁は「Gメン」の導入で計画の実効性を高めたい考えです。
中小企業庁取引課の安藤保彦課長は、「現場の声を聞き取ることで不当な取り引きを是正し、中小企業が賃上げや設備投資などに資金を投じることができるようにしていきたい」と話しています。

「下請け法」違反の具体例

昨年度(平成27年度)に中小企業庁と公正取引委員会が「下請け法」に違反する行為だとして勧告や指導を行ったのは合わせて6939件に上っていて、ここ数年、増加傾向にあります。

この中には、大手スポーツ用品店が店頭で値引きセールを行った際、商品の仕入れ先の企業に支払う代金から値引き分を不当に差し引く「減額」と呼ばれる行為。
また、下請け企業に船舶の修理を委託した企業が、実際にはわずかな仕事しか発注しないにもかかわらず、大量発注を前提にした見積もり価格で金額を決める「買いたたき」もあります。
さらには、下請け企業に対して、商品の製造に必要がない金型を長期間にわたって保管させたり、下請け企業が開発したソフトウエアの知的財産権を無償で譲渡させるなどの違反行為などがあり、再発防止の対策が急がれています。