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【千葉】

<大人って…18歳成人の課題>高校生も契約者に 悪徳商法にさらされる

昨年11月、キャッチセールスを題材にした寸劇で、モデルのスカウトをよそおう男を演じた富里高3年の石川孔明さん(左)=富里市の富里高で

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 「君たち、チョーかわいいね。実は僕、モデル事務所のマネージャーなんだけど…」

 昨年十一月、富里市の県立富里高校体育館。三年生で同高演劇部員だった石川孔明(みちあき)さん(18)らが、「キャッチセールス」や「ワンクリック詐欺」といった契約を巡るトラブルの寸劇を、三年生約二百三十人の前で披露した。

 石川さんは高校一年の夏、携帯電話のツイッターで、見知らぬ人から「お金かせげますよ」とメッセージが来た。間違って文面にあった連絡先(リンク)を押すと、突然「契約しました」と表示された。

 あわてて取り消そうとすると「契約したくなければ電話してください」と追加で表示された。ワンクリック詐欺の典型的な手口。電話すれば、悪質業者から不当な料金を請求される可能性があった。

 不審に思った石川さんは電話をせず被害には遭わなかったが、業者から電話がかかってくるのではと、今も不安に駆られることがあるという。

 寸劇は、富里高と県消費者センターが協力して開いた「社会人準備講座」で披露した。台本はセンターの相談員が作成。悪質商法の手口や、訪問販売などで契約を結んだ場合でも、一定期間内なら解除できる「クーリングオフ」制度を、理解してもらうのが講座の狙いだ。

 センター主幹の松原千栄里(ちえり)さんは「十八歳や十九歳は、進学や就職で一人暮らしを始める人も出てくる時期。社会経験が乏しい人が少なくなく、キャッチセールスやマルチ商法に狙われやすい」と指摘する。

 民法は、二十歳未満の未成年者が商品を購入したりサービスを契約する場合、親など保護者の同意が必要と定める。保護者の同意がないまま契約しても、原則として取り消せる。

 だが、今後、民法が改正され、成人年齢が二十歳から十八歳に引き下げられると、十八、十九歳が契約トラブルに巻き込まれた場合でも、解約できなくなる。悪質業者が十八、十九歳を狙って勧誘する危険もはらむ。

 県消費者センターが二〇一五年度に受け付けた二十歳未満に関する相談は、スマートフォンなどを使ったインターネット上の契約トラブルなどが二百七十九件。二十代になると、八百三十六件と約三倍に増える。相談内容も、数十万円のエステ契約や自動車購入を巡るトラブルなど、二十歳未満の相談より高額なケースが出てくる。

 松原さんは「高額な契約トラブルが今後、十八歳や十九歳で増えるのではないか」と危ぶむ。センターは引き続き、クーリングオフのほか、電話で自宅の郵便番号を知らせれば最寄りの相談窓口を案内してくれる消費者ホットライン=電188=の周知に力を入れている。 (中山岳)

 

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