カプコンの歴史に燦然と輝くファミコン初期の名作アクション、ロックマン。
近年はまともな新作が出ていなかったが、2017年はそのロックマン30周年でアニメ化が発表されており、ロックマン復活の年。
その中で、初期6作が『ロックマン モバイル』の名前で一斉にリリースされ、最初の花火を上げたわけだが…精密な動きが必要なロックマンをタッチパネルに移植し、見事に失敗している。
このロックマンは、惜しいことに失敗作だ。
ロックマンは、移動キーとジャンプで障害物を避け、ショットを使って敵を倒し、悪の科学者Dr.ワイリーを倒すアクションゲームだ。
特徴的なのは、当時としても高めの難易度。
ロックマンはライフ制度を導入しており、攻撃を受けても1回では倒れない。だが、敵の攻撃が圧倒的に強くボスの攻撃を数回受ければ簡単に倒れてしまう。
また、障害物や雑魚も凶悪で、床のない場所に弾幕を張ったり(1回でも受けたら、たいてい落下して即死)、道中の判定がなくなるリフトや、消えては出現する床に多くのプレイヤーが涙した。
コンテニュー回数が無限でなければ、誰もクリアできなかったかもしれない。
▲ガッツマンのリフトで何人が泣いたか。
とはいえ、当時は凶悪なアクションも珍しくなかった。ここまでは普通と言えるだろう。だが、ロックマンには素晴らしい特徴が2つあった。
1つ目の特徴は、倒したボスの武器を奪って使えること。
各ステージの奥には必ずボス敵が待ち構えており、凶悪な攻撃でプレイヤーを襲ってくる。
しかし、一回ボスを倒せば、それまでプレイヤーを苦しめていた武器を使えるようになるのだ。
ボス攻略後、新しい武器を使う瞬間はとてもとても楽しいものだった。
▲カットマンを倒したら、カッターが使える!やったぜ!
2つ目の特徴は、プレイヤーの任意の順番でステージを攻略していけること。
簡単なカットマンステージから攻略してもいいし、難しいアイスマンステージに挑戦してもいい。
すべてはプレイヤーの自由だ。
▲背後に文字が出るのでガラケーの移植と思われる
各ボスは凶悪なほど強かった(数回ダメージを受けるとライフがなくなるほど)が、各ステージのボスには弱点が設定されており、「エレキマンを倒して武器を奪ってからアイスマンに行った方がいい」など、プレイヤーのスキルや知識に合わせて攻略を組み立てる楽しさを生み出していた。
▲ボンブマンにはファイアーが効く、とか。
1987年当時、この自由度は画期的で少年たちは必死に攻略ルートを議論しあった。
そして、攻略ルートを定めて通常ボスを倒した少年たちに前に立ちふさがるのは、回復がほぼない状態でのボス連戦。ボスをノーダメージで倒すパターンを作った者だけがエンディングに到達し、達成感を得られた。
攻略ルートパターンを作り、ボスの攻略パターンを作り、極悪難易度を攻略する。パターンづくりの楽しさに目覚めるゲームだったといえるだろう。
▲ラストの方は本当に凶悪
そして、現代に蘇ったロックマンは…よくない。
本作は、ロックマンを少しクリアしやすくアレンジしたガラケー版の移植作品となっている。
そのため、フレームレートが低くて動きがなめらかではない。見た目から辛い。さらに、通常状態ではゲームスピードを落とすオプションが働いており(クリアしやすくはなるが)、チラつきを加速させている。
第一印象からして悪い。
また、クリアしやすいアレンジ自体は良いのだが、スマホ向け出ないアクションは操作性に問題が発生する。
タッチパネルの十字キーにかなりの慣れが必要だからだ。しかも、ロックマンでは左キーだけスライド入力しないとクイックに反応しない仕組みが入っており、左に移動したいとき反応しないことがある。
単にタッチパネルというだけで操作しづらいのに、この仕組みはまったくの厄介者である。
▲障害が多いステージではとっさに左が押せなくてダメージを受けることも多い。十字キーの作りはスマホとしては悪くないが…。
で、操作性が悪くなることへの解決策として、ロックマンは難易度を落とすことを選択した。
敵の耐久力が減ったり、床のない場所で弾幕を張らなくなったり、ボス連戦時に回復アイテムが出るようになったりしていて、ステージが簡単になっている。
さらに、新設のノーマルモードでは敵から受けるダメージが少なく、ミスした場所の近くからコンテニューできるので力押しで進める。
▲床がないのに弾幕が張られていた難所。今作では弾幕はない。
操作性が悪くても、難易度を落とせばクリアできるわけだ。それはわかるが、パターンづくりが楽しいゲームではなくなり、操作性を乗り越えてごり押しするゲームになってしまっている。
それでも操作性がよければアレンジゲームとして楽しめたはずなのだが、戦う相手が操作性では面白いとはとても言えない。
▲難所、消えては出るブロック。ここはブロックをすり抜けられるようになっていたここはかなり好印象
全体的に見て、細かい修正点は評価できるが操作性の悪さとチラつきを考えると単なるベタ移植以下。
これならベタに凶悪難易度ゲームとしてリリースすれるか、欲を言うならリメイクFFのように完全に変えて欲しかった。
現状ではとてもおすすめできないし、ファンとしてガッカリである。ロックマン30周年は、ロックマンダッシュ3が出るまで盛り上げて欲しいので、早く作り直していただきたい。
作り直せないまでも、原作通りの難易度でコントローラーに対応させてくれればファンアイテム、アーカイブとしての価値が出る。もしくは、動きの滑らかさと操作性を改善すれば簡単にクリアできるアレンジロックマンとしての価値がでる。
どちらか一方まではやりきって欲しいと思う。
なお、これは初代作品の紹介である。2作目から6作目まではもしかしたら面白いかもしれない。奇跡的な確率で。
評価:4(良くはない)
おすすめポイント
気になるポイント
課金
なし
(バージョン1.0、ゲームキャストトシ)
アプリリンク:
ロックマン モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
ロックマン2 モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
ロックマン3 モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
ロックマン4 モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
ロックマン5 モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
ロックマン6 モバイル (itunes 360円 iPhone/iPad対応)
2017/01/16 21:30修正
勢いに任せて強いタイトルをつけてしまったので、少し柔らかくしました
操作性はまずまずですが、ロックマンとしては楽しめないレベルというのはおっしゃる通り。
モンハンの移植が良かったので、ロックマンも期待してたんですけどね。