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2017年1月6日(金) NEW

メルカリ 山田進太郎社長 スマホの“個人間取り引き”で世界へ 

阿部
「私たちの暮らしを大きく変えるかもしれない、新たなサービスについてお伝えします。」

和久田
「それは、スマ-トフォンを使い、個人どうしがいらなくなったものなどを売り買いするサービスです。」

 

横浜市に住む会社員の池上香子(いけがみ・かこ)さんです。
一昨年(2015年)から、スマホを使って個人でものの売り買いを始めました。



 

池上香子さん
「主人の財布を出品してみました。




すぐ売れました、1万2,000円です。
私のお小遣いになりました。」

スマホを使えば、どこにいても簡単に取り引きをすることができます。

まず内蔵のカメラで売りたいものを撮影。





サイズや希望する販売価格などの情報を打ち込み、登録します。

池上香子さん
「出品完了です。」


 

この間、わずか3分ほどです。





池上さんが出品したシャツは、すぐにスマホを通じて全国の利用者に公開されます。
従来のオークションの場合は、複数の購入希望者が入札を行い、もっとも高値をつけた人が落札します。

しかし、このサービスでは、池上さんがつけた値段に納得する人がいれば、すぐに売ることができるのです。
池上さんがこれまでに売ったものは、冷蔵庫やブランドものの財布、スーツなど35点。
全部で14万円ほどになったということです。

池上香子さん
「出品して1時間もしないうちに、すぐ購入者がつくこともあります。
ゲーム感覚みたいなところはありますね。
自分が出品した物が全部売れるゲームみたいな。」


 

和久田
「今、スマホやタブレット端末を使ったインターネットでの取り引き額は年々増加し、業界団体の調査によると、その金額は2015年には3兆円近くに達しました。
特に成長が見込まれると注目されているのが、先ほど紹介したような個人どうしの取り引きです。
今、新たな市場を目指し、各社が独自のアプリケーションを製作し、シェア拡大を狙っています。」

阿部
「『2017飛躍の年に』。
日本国内で急成長を遂げ、世界進出を続ける『メルカリ』の社長に話を聞きました。」

手軽さで大人気! スマホで“個人間取り引き”

業界の最大手、メルカリの山田進太郎(やまだ・しんたろう)社長、39歳です。
山田さんは4年前に起業。

開発したアプリケーションのダウンロード件数は、すでに4,000万を超えました。
サイトには、毎日100万点以上が掲載されています。




炊飯器に…。





おもちゃ。





こちらはなんと、使いかけの化粧品。
そして、こんなものまで…。



 

阿部
「どんぐりですか!」

メルカリ 山田進太郎社長
「『インテリア・飾りつけの素材として活用して下さい。食用ではありません』。」

阿部
「ちなみにこれはいくらで売れたんですか?」

メルカリ 山田進太郎社長
「500円ですね。」

阿部
「500円で売れましたか!」

この会社のサービスで、ひと月に取引される金額は、およそ100億円に上ります。
 

メルカリ 山田進太郎社長
「化粧品のケースとかもそうだが、今まで捨てていたようなものに価値が出てきた。
パッと簡単に出品ができて、すぐに反応があって、買うときも気軽に、さくさく見てパッと買えるので、口コミで広がっていくような感じで、どんどん使ってもらえたのかなと。」

個人どうしが売り手と買い手になるこの市場。
ネットでの通信販売の不安解消をはかったことも、成長につながっているといいます。

このサービスではまず、購入を希望する人は会社宛に代金を支払います。




 

入金を確認すると、会社が売り手に連絡。
商品が発送されます。



 

買い手が商品を確認した上で、代金が売り手に渡るという仕組みです。
会社は、この代金の10%を手数料として受け取ります。

大ヒットのサービス きっかけは世界旅行

山田さんがこのサービスを立ち上げたのは、35歳の時。
視野を広げようと、仕事を1年休んで出かけた、世界旅行がきっかけでした。
インドや南米などを旅する中で、多くの人が先進国のような豊かさを求める姿を目の当たりにしました。


 

阿部
「世界をまわっていた時の経験や感じたことが、メルカリの設立にどうつながるんですか?」

メルカリ 山田進太郎社長
「資源をもっと大事に使っていく必要性があると思っているし、途上国の人も循環的な社会でみんなが総体として豊かになれる。
もしここで成功すれば、すごく大きなマーケット、ビジネスになるのではと思ったので、失敗するかもしれないけど、ヒットをねらうというよりホームランをねらって、三振したらまた違うことをやればいいと始めた。」

日本発のサービスを世界に 欧米市場をねらえ

サービスを通じて社会を変えたい。
そのために山田さんが目指しているのは、世界進出です。
3年前には、アメリカでサービスを開始。
今年(2017年)はイギリスに進出し、今後はヨーロッパ全体にも拡大したいと考えています。

アメリカ市場ではすでに強力なライバルがいる中、この会社のアプケーションは2,000万件以上ダウンロードされ、順調に成長を続けています。
アメリカの利用者に、その魅力を聞きました。


 

ダイアナ・シェックさんです。
これまでアメリカのネット・オークションを使っていましたが、手軽なこちらのサービスを使うようになりました。
特に、気に入っている機能があります。


 

例えば、このぬいぐるみを出品する際、迷うのが値段の設定です。




 

ここでは、自動で過去のデータから商品の相場を提示してくれ、値段をつける時の参考になるのです。

ダイアナ・シェックさん
「物を持て余していて整理したいという友達に、このアプリを勧めています。
私の買い物生活に欠かせません!」



 

阿部
「海外に打って出るということの意味とは、どういうことなんでしょうか?」

メルカリ 山田進太郎社長
「インターネットのサービスなので、世界中でできる可能性があると思っていて。
結局、日本だけで頑張ってやっていても、アメリカで同じようなサービスが出てきて日本に進出して来られたら、アメリカの方が当然市場がでかいので、資金力も全然違う。
そうならないように、逆に『攻撃は最大の防御』じゃないが、アメリカで先に成功することが必要かなと思っていて。
日本だけでやるより、世界でやった方がより多くの人にサービスできると思っているので、そこを積極的にとりにいきたい。」

“もったいない精神”で社会に新たな価値を

山田さんは将来、アジアやアフリカなどまで世界中をこのサービスでつなげ、大きな市場を生み出し、人々の暮らしを変えたいと考えています。

阿部
「日本の中では昔から『もったいない精神』というものが言われていますが、そういう気質と、このビジネスモデルが合致したという面もあるのでしょうか?」


 

メルカリ 山田進太郎社長
「じゃぶじゃぶ買って使って捨てるというのが豊かだとは思っていない。
人々の感覚として、エコというか、物を新品で買って、いらなくなったら捨てるのではなく、誰か価値を感じてもらえる人がいるなら、譲って大切に使ってもらいたいという、新しい価値を生み出せるのではと思っている。」

“個人間取り引き” 消費の未来は?

和久田
「私もこれまでは、必要がなくなるとものを捨ててしまうことが多かったのですが、これまで眠っていた、こんなに大きな市場に目をつけるという、その発想が斬新ですよね。」

阿部
「個人間の中古品のやりとりは、意外なものもありましたが、ここまで広がっているとは驚きました。
今後、より広がっていけば、不要になったものを活用するという意味では環境に優しいとも言えますよね。
これまで捨てていたものに新しい価値が生まれ、それをやりとりする、そんな新たな消費の形が定着しつつあると感じました。」
 

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