■年間未払い額は日本の10倍水準
1兆ウォンを超える給料未払い額もさることながら、金額の増加幅も問題だ。不況を理由に未払い額が年間1000億ウォン以上も急増するという事態は「経済協力開発機構(OECD)加盟国では韓国以外にない」と専門家らは口をそろえる。日本は経済規模が韓国よりも2-3倍大きいが、14年の給料未払い額は131億3502万円と韓国の10分の1ほどにすぎなかった。未払い額も毎年同水準を維持している。韓国労働研究院のオ・ゲテク研究委員は「給料未払い問題で見れば、韓国は世界最下位の後進国。民事訴訟で未払い問題を扱う米国や英国なども、(訴訟になる)事件の件数は年間20万件ほどにすぎない」と話した。
専門家らは、大企業が下請けを抱える製造業の産業構造、経営が悪化すればまず人件費を削ろうとする経営者の誤った認識が根本的な問題だと指摘する。ある勤労監督官は「発注側からコスト削減を求められれば、下請けの経営者は自然と給料を削る」と話した。
給料未払いを救済する制度の構築が急がれるとの声は大きい。梨花女子大学ロースクールのイ・スンウク教授は「今年は産業の構造調整が本格化し、不況が深刻化して給料の未払い額が昨年よりさらに増えるだろう」と述べ、給料を払っていない雇用主の銀行口座を差し押さえて事業中止命令を出し、未払い給料の支払い命令を履行しなければ損害賠償額を15%増額するという米国の厳しい規制を手本にする必要があると助言した。