韓国企業の給料未払い問題は世界最悪水準、昨年は日本の10倍

韓国企業の給料未払い問題は世界最悪水準、昨年は日本の10倍

 韓国南東部・大邱の中小繊維メーカーの従業員31人は昨年3月から6カ月間、月給を全く支給されないまま働いていた。未払い給料は1人平均2000万ウォン(約200万円)を超え、総額6億7000万ウォン(約6500万円)ほどに達したが、従業員らは「会社の経営が苦しいので少しだけ我慢してほしい」という社長の頼みを聞き入れ、黙々と仕事を続けた。だが、社長は3月分の給料だけを支給すると行方をくらまし、2カ月ほど連絡を絶った。社長は先ごろ勤労(労働)基準法違反の容疑で雇用労働部(省に相当)の勤労監督官に摘発された。この会社で働いていた男性(52)は「社長の言葉を信じていたのに、裏切られた。会社を辞めてからローンで生活費を工面していたため、今も借金を返している」と言って肩を落とした。

 雇用労働部は5日、昨年1月から11月にかけての給料未払い額は1兆3093億ウォン(約1270億円)だったと明らかにした。通年では1兆4000億ウォン(約1360億円)ほどと、前年の1兆2993億ウォン(約1260億円)より1000億ウォン(約97億円)以上も増え過去最高を更新する見通しだ。リーマン・ショックの影響が色濃かった2009年(1兆3438億ウォン、約1310億円)をも上回る。

■零細企業に多い給料未払い

 雇用労働部によると、これまでに集計された給料未払いの原因は、一時的な経営悪化が57.0%で最も多く、次いで会社の倒産・廃業による未払いが15.5%となった。一時的な経営悪化による未払い額は05年の5200億ウォン(約510億円)から15年には7406億ウォン(約720億円)と増加を続けた。中でも造船所の多い南部の慶尚南道・統営は受注難に伴う構造調整のあおりを受け、未払い額の増加率が全国で最も高い248.7%を記録した。

 統営で勤務する雇用労働部のキム・ドングォン勤労監督官(48)は「この地域で13年にわたり勤労監督を担当しているが、ここ最近のような忙しさは初めて。午前7時から午後11時まで未払いの相談を受けており、息つく暇もないほど」と話した。

 給料未払いは零細企業に多い。従業員5人未満の会社で未払い件数全体の26.8%、5-29人の会社で40.7%を占める。

孫章薫(ソン・ジャンフン)記者
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