韓国最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)元代表は5日、「権力の積弊(積年の弊害)清算のための緊急座談会」で、「大統領執務庁舎を(大統領府から)光化門(にある政府庁舎)に移す。大統領府とその北側にある北岳山は国民に返し、国民の憩いの場にする」と述べた。これに対して一部から、「国民と積極的に意思疎通を図るという考え方そのものは望ましいが、警護などの問題上、実現可能なのか」との指摘が出ている。
文在寅氏は同日、「光化門政府総合庁舎で勤務する大統領になる」と言った。しかし、どこで生活し、どのように庁舎に通うのかなどについては明らかにしなかった。大統領府を国民に返すというが、全面的なのか、それとも一部の空間に限定してのことなのかもあいまいだった。同氏の側近議員はこれについて、「大きな枠組みで見ると、大統領の業務は光化門庁舎で行われ、睡眠や休息は大統領府官邸で取る形になるだろう。大統領府を開放すると言っても、官邸のセキュリティーは維持する」と言った。だが、専門家は警護や業務効率の面で問題が生じる可能性がかなりあると見ている。
大統領リーダーシップ研究院のチェ・ジン院長は「文在寅氏の構想通りにすれば、(北側に北岳山がある大統領府とは違い)四方が開けている光化門一帯はすべて警護の対象にしなければならず、問題がある。敏感な外交・安保事案に関する協議が多い大統領業務を開放された空間で行うのも懸念が多い」と批判した。文在寅氏は「先進国のほとんどは大統領直属の警護室がない。韓国も権力の象徴である大統領府警護室を警察庁傘下の大統領警護局に変更し、その地位の高さを調整する必要がある」と言った。これについても専門家らは「大統領警護のノウハウが蓄積された大統領府警護室をあえて廃止し、警察庁がその業務を代わりに担うというのは実質的な効果がなく、名分だけのための措置になる可能性がある」と懸念している。「『大統領の24時間』も公開する。大統領の日々の動静が国民に透明性を持って報告されるようにする」という同氏の主張にも否定的な意見が出ている。
仁川大学のイ・ジュンハン教授は「大統領の業務の多くは国家機密に該当するので、24時間をすべて公開するというのは事実上、不可能だ。過去の政権とは違い、大統領が一般国民と定期的に意思疎通を図る場を設けるだけでも共感を得られるだろう」と語った。