現在の考えを整理しておきます。

まず株式市場とドナルド・トランプの「ハネムーン期間」は終わると考えています。

市場参加者は「トランプも選挙戦では過激なことを言っていたが、大統領になれば、少しはマトモになるだろう」と期待していました。

しかし彼のツイートを見る限り、挑発はトーン・ダウンされるどころか、さらに勢いづいている印象さえあります。とりわけ貿易や関税に関するツイートは、ハラハラさせるものが多いです。

それでもウォール街がトランプに期待している理由は、30年ぶりの税制改革という大材料がぶら下がっているからです。

株式の投資家は減税という材料が大好きです。

しかも今回は5兆ドルにものぼる大型減税になると言われています。

1月20日の大統領就任式の後、下院はすぐに税制改革に着手して欲しい……投資家は、そう願っています。

株式市場にとって最も居心地の良いシナリオは、議会における税制改革論議が、他の議案をクラウディングアウトし、相場にとって都合の悪い材料がシャットアウトされるシナリオです。

ただトランプの政策は、大統領令(EO)というカタチで実行に移される可能性もあるので、大統領就任式の直後にこれが連発されるかどうかに注目したいと思います。

また1年近くも空席になっている最高裁判事任命問題も、放置し続けることは出来ません。

ジャネット・イエレンFRB議長の仕事ぶりに関しては、ドナルド・トランプは不満を持っています。だから2018年早々に彼女の任期が満了したら「再任はしない」と公言しています。イエレン議長のレームダック化が起こる可能性もあります。

減税は景気を刺激しますし税収の目減りは国債の増発で補わなければいけないため、基調として長期金利は上昇するでしょう。

ドルに関しては2017年を通じて+7%程度の上昇を見込んでいます。

S&P500採用銘柄の売上高の3割は海外です。するとドル高はS&P500のEPSにとってマイナス要因です。このことから1月下旬から始まる第4四半期決算発表シーズンでは、各社の2017年ガイダンスが下がることを予想しています。

米国株のバリュエーションはリーマンショック直後の不況でEPSが蒸発した結果、PERがバカ高くなった一瞬を除けば、今が最も割高となっています。

保護貿易主義、長期金利上昇、ドル高、すでに高い水準にある株式バリュエーション……これらから考えて、市場関係者が酔いから醒めるのは、案外、早いのではないでしょうか?

そんなわけで2017年の米国株には弱気です。一年を通じて、-10%程度を予想しています。

ただ「ブルマーケットは、どこかに常に存在する」という格言のごとく、全てがダメというわけではないと思っています。

2017年の参考銘柄を選ぶにあたっては、それぞれの分野でトップクラスのスケールを持った企業で、キャパシティに余力があり、オペレーティング・レバレッジが高い銘柄を中心にピックアップしました。

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