女性バレエ講師の親指切断、被告は「侮辱された当然の仕返し」

2017年1月6日20時22分  スポーツ報知
  • 東京地裁

 昨年7月、東京・渋谷のバレエスタジオで20代の女性講師の右手親指を、たがねと金づちを使って切断したとして、傷害の罪に問われている無職・橋本浩明被告の被告人質問が6日、東京地裁(菅原暁裁判官)で開かれた。

 橋本被告は、2015年の5月から発表会で「ドン・キホーテ」を踊るために女性が指導するクラスに入ってバレエの練習をしていた。8月に入り自分だけが補講に呼ばれず、それを女性にとがめたのが原因で退会させられた。その後、「退会させられる理由が分からない」などと経営者にメールを送っていたが、退会処分を受けてから9か月後に犯行に及んだ。

 弁護側の質問に対し橋本被告は「怒っていたのは、彼女(被害女性)から侮辱されたこと。8月の時点で『(補講を)伝え忘れた。ごめんなさい』と言われれば、それで良かったのに…」。16年に入ってからはイライラが治まらずに仕事を続けられなくなり、2月末にはロシアにバレエ鑑賞に行っても好きなはずのバレエを楽しめず「あいつ(女性)が全部悪い」と思い、仕返しを考えるようになったとした。

 仕返しの方法については「パッと思い付いたのは、殴る蹴る。でも、ニュースで『殺すつもりはなくて殴ったが死んでしまった』というのを見て『死ぬまでのことはやってないな』と。それで思い付いたのが『切る』ということ。女性の顔を切るのがイヤなので、手の指を切ろうと思った」と淡々と説明。当初は小指を切り落とそうとしたが、指が細過ぎて薬指まで切れそうになったため、親指にしたという。

 行為については「侮辱された当然の仕返しだと思っていた」と罪悪感は全く無かった。また、実行すれば逮捕されることも覚悟していたそうで「間違いなく刑務所に行くとは思ったが、(侮辱されて)泣き寝入りするのは違うと当時は思っていた。仕返しすることしか考えていなかった」。自宅も引き払い、犯行に及んだ。

 逮捕後は「刑事や検察に『怒ったことは分かったがやり過ぎ』と言われ、留置場でも(他の勾留者)みんなが『怒るよな。でも、やり過ぎじゃねぇ?』と言うので、『そうか』と思った。切った後もスッキリした気分になれなかったし、今はやらなければ良かったと思っています」と、初めて後悔したという橋本被告。女性には謝罪文を書き、賠償金100万円を渡そうとしたが、受け取ってもらえていないという。

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