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EV電池工場、米で本格稼働 テスラに出資

記者会見するテスラ・モーターズのイーロン・マスクCEO(中央)とパナソニックの津賀一宏社長(右)=米ネバダ州リノで2017年1月4日、土屋渓撮影

 【リノ(米ネバダ州)土屋渓】米電気自動車(EV)メーカーのテスラ・モーターズは4日、パナソニックとともに世界最大規模のEV電池工場「ギガファクトリー」を米ネバダ州で本格稼働させた。パナソニックは自動車関連事業を今後の成長の柱と位置づけ、工場の設備に1500億~2000億円を出資する。社の命運を左右する新プロジェクトについて、津賀一宏社長は「5年で投資費用を回収できる」と述べ、テスラのEV戦略に期待を寄せた。

     2003年にシリコンバレーの数人の技術者によって創設されたテスラは、08年にスポーツカータイプの初代EV「ロードスター」を発売。動力源としてリチウムイオン電池の提供に応じた唯一の会社が三洋電機だった。2代目の高級セダン「モデルS」(12年)からは同社を吸収したパナソニックが電池を供給。新工場で作られる電池は、年内に生産が始まる新型セダン「モデル3」に搭載される。効率化や量産化で生産コストを下げ、車両価格は既存車の半値以下の3万5000ドル(約400万円)に抑える。

     テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は記者会見で「バッテリーはEVの中核。パナソニックの先進的な技術によって、多くの人がモデル3を体験できる。クリーンなエネルギーの車が社会を変える」と語った。津賀社長は「各ラインの稼働率が上がれば、数年間で投資回収できる」と語り、ガソリン車やハイブリッド車に代わる本格的なEV時代の到来に自信を示した。

     テスラ車の昨年の生産台数は8万台規模。累計でも約19万台にとどまるが、低価格のモデル3の投入で来年は年産50万台を目指す。パナソニックは、環境規制の強化でEVが急速に伸びると見込む中国や欧州市場も強化する方針だ。テスラとは太陽電池事業でも提携しており、ギガファクトリーでは、住宅などの屋根で集めた電気を保管する蓄電装置に使う電池も生産する。

     電池の世界シェアはトップだが、韓国勢などとの競争は厳しさを増しそうだ。テスラとの契約はモデル3までで、その後継続できる保証はない。また、テスラの経営は先行投資がかさみ赤字続きだ。昨年5月には自動運転機能を搭載したモデルSが死亡事故を起こした。ドアが開かないトラブルや、カーブ時のハンドル操作がしにくいなどの苦情も寄せられている。

     テスラ担当者は「車のソフトウエアを更新してもらうことで、毎週20カ所ほどの改善を行っている」と説明するが、モデル3の量産に向けて、品質のさらなる向上が大きな課題となりそうだ。

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