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味も上々、博多の特産物に…今秋試験販売へ

順調に成長している砂ゼロアサリ=福岡市提供

 干潟ではなく陸上の水槽などで育てる「砂ゼロアサリ」の養殖実験が福岡市で進んでいる。市によると、全国初の取り組みで、今秋には試験的に販売できる見通しだ。調理の際の砂抜きが不要となるのはもちろん、味も折り紙付きという。アサリは全国的に漁獲量が減っており、関係者は「博多の新たな特産物に」と期待を寄せる。【合田月美】

     農水省によると、アサリ類の漁獲高は干潟の減少や魚類による食害などで2004年の約3万6500トンから、14年は約1万9400トンにまで減少。福岡市内でも14年は11トン余と08年の10分の1にまで落ち込んだ。

     養殖実験はその対策の一つとして15年度、福岡市が事業費約700万円で市漁協に委託して始めた。熊本県上天草市で二枚貝の養殖を研究している藤芳義裕さん(63)のアドバイスを受け、福岡市東区志賀島で車エビの養殖に使われていた直径15メートル、深さ約1メートルの水槽を使い、15年7月から実施している。

     養殖は無菌化した海水が入った水槽で産卵させ、ふ化した種苗(幼生)を4カ月ほどかけて約1ミリの稚貝に育てる。その後、プランクトンを含んだ通常の海水に替え約半年間で1センチほどになったら、かごに入れて湾内のいかだにつるしてさらに成長させる。魚がアサリを食べる食害を防げるメリットもある。

     産卵は順調で、種苗は15年秋に10万個、16年の春は50万個、秋には数百万個と増加。16年12月には大きい物は3センチ近くまで成長した。アサリは低めの水温を好むため、夏場は特に水槽の温度管理に気を使ったという。

     サイズはまだ小さいが、砂ゼロアサリは味も上々という。「水底でプランクトンの死骸も食べている通常のアサリと違って、水中で生きたプランクトンしか食べない」(藤芳さん)のが理由とみられる。市の担当者も「うまみと甘みが全然違うとプロの料理人が太鼓判を押した」と話す。

     養殖技術をマニュアル化すれば若者や女性の新たな就労も望め、アサリによる海の浄化も進むと期待が高まっている。福岡市水産振興課は「試験的な販売ではまだ量は望めないが、将来多くの市民に味わってもらいたい」と普及を目指す。

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