韓経:【コラム】2年先を進む大韓民国を作ろう

韓経:【コラム】2年先を進む大韓民国を作ろう

2017年01月05日11時28分
[ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版]
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  新年を迎えれば、自分に与えられる新しい1年という時間が贈り物のようで、期待、希望、ときめきのようなものを感じたりする。しかし2017年という新年は例年とは違い、そのような希望より、虚しさ、もどかしさ、さらには不安感まで感じるのは筆者だけだろうか。よく考えてみると、これは単に最近の政治的な不安定にのみ起因するのではないような気がする。その下にある経済的な不安感がその原因にあるようだ。

  最近、造船産業だけでなく韓国経済を支えている輸出企業の指標が良くないというのはすでに広く知られている。韓国の輸出は何といっても製造業がその基盤だが、製造業者の収益性が悪化し、中国など競争国の低価格戦略および技術成長のため競争力の維持が難しい状況だ。最近、輸出の功労が認められて金塔勲章まで受けたある中小企業の社長が工場をベトナムに移転しながら、これもいつまで持ちこたえるか分からないと述べたが、その言葉が耳から離れない。

  しかし新年を迎えて感じる不安感は単に現在の韓国経済の低い成績表ではなく、こうした状況を乗り越えて進んでいく希望が見えないということだ。構造改革をして労働市場をより柔軟にすることだけで、韓国の産業競争力がまた高まるのだろうか。

  いま人類は第4次産業革命と呼ばれるデジタル技術基盤の産業革命時代に入っている。アルファ碁のような人工知能技術、世の中のすべての機器をつないでデータを疎通させるモノのインターネット(IoT)技術、このようなデータから新しい情報を発見するビッグデータ技術などは、人類の産業技術競争力を完全にひっくり返している。

  こうしたデジタル革命の時代に我々、いや韓国がどのような戦略を持って進んでいくのかという点は大韓民国の未来の姿に非常に重要だ。1700年代の第1次産業革命当時、蒸気機関で代弁される機械技術の変化に速やかに適応した国とそうでない国が分かれ、今まで先進国と中進国のギャップを減らせずにいるからだ。当然、我々はデジタル革命の時代に変化を主導し、技術を先に獲得する方向で戦略を立てるべきだと、多くの人が話す。しかしそのようなことは他の先進国もすべて取り組んでいて、デジタル技術分野で米国などいくつかの先進国の力に追いつくのは厳しい状況だ。

  しかし一つ幸いなのは韓国は世界的に情報技術(IT)強国のイメージ、超高速通信網などデジタルインフラ、高い人口密度、新しい技術を好むアーリーアダプターが多いデジタル環境を備えているということだ。これは多様かつ新しい革新的デジタル技術が実験され検証されるのに良い環境だ。さらに韓国で新しい技術が成功すれば、隣の中国という巨大市場に進出しやすいという点も大きな長所だ。

  我々はこのような環境を積極的に活用する必要がある。デジタル革命を主導するために大韓民国を、あるいは一部の地域を、人類の巨大な第4次産業革命の前哨基地に作ろうということだ。第4次産業革命の進入期であるこの時代に数多くの革新的企業がデジタル基盤の新技術、すなわち人工知能、IoT、ビッグデータ、ブロックチェーン、無人自動車、ドローン、3Dプリンティングなどの技術を病院、銀行、公共機関、製造工場などで実質的に適用し、このような経験を基盤にさらに必要な追加の技術を開発し、活用性と市場性の問題を解決する前哨基地を、大韓民国が提供する。そして大韓民国に行けば、2年後の進んだ技術が通用する世の中を見ることができるようにしようということだ。これを実現するためには法制度の改革、人材養成、政策支援など多くのことが必要だが、デジタル環境が整った韓国が努力すれば不可能なことではない。そのような方向で変化できれば、先が見えない現経済状況でそれなりに未来を眺め、希望を抱けるのではないだろうか。第4次産業革命の混沌とした時代に大韓民国が2年先の世の中を先に経験して見せるデジタル時代の先駆者になる夢を2017年の新年に見る。

  パク・スヨン西江大教授・コンピュータ工学
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