公明党の対応が焦点
安倍晋三首相は5日の自民党役員会で、「共謀罪」の成立要件を従来より絞り込んだ「テロ等組織犯罪準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案に関し、20日召集の通常国会での提出・成立を目指す意欲を示した。ただ、公明党は国民の理解不足を懸念しこれまで慎重な姿勢を示してきた。法案提出の場合、公明党が重視する今夏の都議選前に審議入りする可能性が高く、同党の対応が焦点となる。
犯罪の準備段階でも罪に問える共謀罪は、日本が2000年に署名した「国際組織犯罪防止条約」批准に必要とされ、政府は20年の東京五輪・パラリンピックを念頭に成立を目指している。過去に3回、国会に関連法案が提出されたが、野党の猛反発のほか、国民の理解も得られず廃案となった。今回の法案では適用対象を「組織的犯罪集団」に限定するなど要件を厳しくし、理解を得たい考えだ。
菅義偉官房長官は5日の記者会見で、法案提出について「国会でさまざまな意見があったので、そうしたものを踏まえながら最終検討している」と述べた。
政府は昨秋の臨時国会でも提出を検討したが、公明の慎重意見などで見送った。首相は5日の党役員会では法案名に触れたが、その後の政府与党連絡会議では公明幹部を前に「大きな法案もある」と抑制した。同党の大口善徳国対委員長は記者団に「これから説明を受ける。態度はまだ決まっていない」と述べるにとどめた。【田中裕之】