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【2016現場から(11)】闇に埋もれた〝猟奇〟事件 なぜ犯人特定に7年も? 消えない捜査過程への疑念

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【2016現場から(11)】
闇に埋もれた〝猟奇〟事件 なぜ犯人特定に7年も? 消えない捜査過程への疑念

事故死していた男を書類送検し、記者会見する島根県警の河村英夫刑事部長(左)と広島県警の酒井敏行刑事部長=12月20日午前、島根県警浜田署 事故死していた男を書類送検し、記者会見する島根県警の河村英夫刑事部長(左)と広島県警の酒井敏行刑事部長=12月20日午前、島根県警浜田署

 捜査機関の記者会見の最中、頭の中から「なぜ」の文字が消えなかった。

 平成21年11月、広島県の山中で島根県立大1年の平岡都(みやこ)さん=当時(19)=の切断遺体が見つかった事件。島根・広島両県警合同捜査本部は12月20日、殺人などの疑いで、遺体発見直後に交通事故死していた会社員、矢野富栄(よしはる)容疑者=同(33)=を容疑者死亡のまま書類送検し、捜査を終結した。

 送検後に開かれた捜査本部の会見で、島根県警幹部は事件解決の成果を強調する一方、なぜ容疑者特定に7年余りもかかったのか、という核心に迫る説明はほとんどなされなかった。

 遺体の状況などから猟奇的な犯行ともささやかれた事件。捜査は発生当初から難航を極めた。物証や目撃証言など手がかりは乏しく、「ゼロベース」(島根県警の杉原知行・捜査1課長)からの捜査だった。決め手となったのは、矢野容疑者の関係先で10~11月に押収したデジタルカメラとUSBから得られた画像だ。復元すると、平岡さんの遺体や切断に使用したとみられる包丁が写っていた。ただ、会見では画像に行き着くまでの詳細な経過は「捜査に支障をきたす」と伏せられた。

 捜査本部は当初、平岡さんが車で連れ去られたとみて不審車両の走行歴、それに性犯罪歴を重視。前歴があったとされる矢野容疑者は捜査初期段階で捜査線上に浮かんでいたという。だとすれば、事件の「筋読み」に誤りがあったのでは-という疑念も生じる。

 捜査本部は当初、遺体の切断状況を踏まえ、解体などにたけた人物の可能性を視野に絞り込みを進めたとされる。

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