韓国の輸出が減り続けているのは、もちろん中国経済失速の影響だ。
中国は相変わらず7%前後の経済成長率を「発表」し続けているが、現実には資本流出が始まっているありさまである。中国共産党は「人民元流出の抑制」と「金(ゴールド)の輸入制限」を同時に実施し、資本流出を阻止する措置を強化している。
数年前には想像もできなかったが、現在の中国は人民元高ではなく、人民元安におびえているのが実情なのだ。資本流出により、人民元の外貨への両替が激増しているため、中国人民銀行は外貨準備を取り崩し、人民元を買い支える通貨「防衛」を強いられている。
中国の外貨準備高は14年の初めに約4兆ドル(約472兆7200億円)に達したが、すでに25%も減少してしまった。
人民元の為替レートは16年だけで、対ドルで5・8%下落した。年間の下落率としては、史上最大だ。
このタイミングで、中国の対米貿易黒字を露骨に批判していたドナルド・トランプ氏が米大統領に就任する。
17年の東アジアは、まさに「激動」としか呼びようがないパラダイムのシフトが起きるだろう。 (経済評論家・三橋貴明)