2016年という年は、韓国にとって厄年であった。
特に、印象的だったイベントを3つ挙げると、(1)8月31日の韓進(ハンジン)海運の破綻(2)夏に始まった、サムスン電子のスマートフォン「ギャラクシーノート7」の発火・爆発事故の頻発と、生産中止(3)11月3日、親友で黒幕とされる崔順実(チェ・スンシル)被告の逮捕を受けた、同月29日の朴槿恵(パク・クネ)大統領の辞任表明−である。
マクロ経済面でも、今年の韓国は散々であった。
16年の韓国の輸出は、対前年比マイナス5・6%と予想されている。15年が対前年比マイナス8・6%であったため、2年連続の減少となる。韓国の輸出が2年連続で減少するのは、実に1957−58年以来、何と58年ぶりだ。
韓国経済の低迷は、特に低所得者層を直撃している。
例えば、韓国の所得下位40%層に属する世帯の可処分所得は、16年は第1四半期から3四半期連続で下落してしまった。さらに、所得下位20%層に絞ると、16年7−9月期の可処分所得は、対前年比で何とマイナス7・1%。
韓国のインフレ率は1%台後半であるため、実質賃金で見ると9%近い所得減となる。朴氏の弾劾騒動の際、あれほどまでの民衆が集まったのは、韓国国民の多くが所得減少により、鬱屈としたルサンチマン(=弱者がもつ、強者に対する憎悪や怨恨の感情)をため込んでいたためだろう。