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「私の父はAirbnbに殺された!」急成長サービスの“死角”を被害者の息子が暴く!

From Matter (USA) 「マター」(米国)より
Text by Zak Stone

PHOTO: HENRIK SORENSEN / GETTY IMAGES

PHOTO: HENRIK SORENSEN / GETTY IMAGES

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手頃な宿泊施設の検索サイトとして、また不動産を活用した新たなサイドビジネスとして、日本でも話題の民泊仲介サイト「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」。

創業から8年ほどで、ヒルトンの時価総額を超えるほどの急成長を遂げたこのサービスが、実は傷害、死亡、盗難、火災などのさまざまな事件を引き起こしていることはあまり知られていない。

Airbnbで予約した民家に滞在中、父親を事故で亡くした筆者が「シェア経済界の寵児」の闇を暴いていく──。

感謝祭の休日が一瞬にして「悪夢」に…

庭のブランコは、とても魅力的だった。

「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」のサイトに掲載されていたその写真が決め手となり、私たち家族は2013年の感謝祭の休暇をそのコテージで過ごすことにした。場所はテキサスだった。

まるでだぶだぶのジーンズみたいに無造作に木から吊り下げられたそのブランコは、南部のホスピタリティと楽しい休暇の象徴のような存在だった。

だから、まさか父がそのブランコに乗った途端、ロープが結ばれていた木の幹が折れるなんて想像もしていなかった。
落ちてきた幹は父の頭を強打し、脳の機能を一瞬で奪った。

母が悲鳴をあげたとき、私はまだベッドのなかにいた。彼女の声を聞きつけて慌てて庭に出ると、倒れた木のそばで横たわる父が目に入った。

私はひざまずいて、父を抱き起こした。大量の血と落ち葉が、私の青いスウェットシャツを汚した。
父の頭は人間のものとは思えないほどグニャリとしていた。右目は飛び出し、口からは血があふれ、苦しそうに呼吸をするたびにグルグルと舌が回った。

救急車を待っている間どうしていいかわからず、私はタオルで血だらけの父の顔を拭き、姉に外に出てこないようにと言った。姉は血を見ると失神してしまうからだ。

「お父さんが呼吸をしたら、逐一教えて下さいね」と電話に出た救命救急士が言っていたので、私は藁にもすがる思いでその助言に忠実に従った。

「息を吸いました、吐きました。吸いました、吐きました、吸いました、吐きました、吸いました、吐きました……」

このフレーズを大声で繰り返すことで、私は少しだけ落着きを取り戻すことができた。
だが、この“呪文”は父の役に立っているのだろうか? 少しでも力になりたくて人工呼吸法を試みたが、口からあふれる血の量が多すぎて、あきらめざるを得なかった。

到着した救命士は父の顔の血を吸引し、傷の具合を見た。
「呼吸はあるし、心臓も動いています。しかし、非常に深刻な状態です」

彼らはヘリコプターを呼んで父を乗せると、我々には車で近隣の都市オースティンにある病院に向かうように指示した。

私は唇についていた血を落とし、汚れた青いスウェットシャツを脱いだ。興奮しているせいか、まるでコンタクトレンズをつけ忘れたときのように、すべてがぼんやりとしていた。

私はコンタクトレンズを入れて、車に乗った。

PHOTO: TODD WARNOCK / GETTY IMAGES

PHOTO: TODD WARNOCK / GETTY IMAGES


米国人ジャーナリストのロン・リーバーは2012年、米紙「ニューヨーク・タイムズ」にAirbnbの安全管理に関する記事を発表した。そのなかで、彼はさまざまな懸念事項を挙げ、「何か恐ろしいことが起こるのも時間の問題だ」と書いた。

私の父の身に起きたことこそ、その「恐ろしい何か」に違いなかった。

私はこの事件を公表しようと考えた。だが、それが本当に意味があることなのかどうかは、確信がなかった。

この事件を世に広めたからといって、いまや企業評価額300億ドル(約3兆5100億円)にものぼる世界的企業が、何百万人ものゲストが滞在する物件ひとつひとつの安全対策に力を入れるとは思えなかったからだ。

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