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富裕層の節税術にメス、もはや国外にも逃げ場はない

ダイヤモンド・オンライン 1/4(水) 6:00配信

● 国税庁のトラウマ 武富士事件が最大の原動力

 国税庁を突き動かすのは、言うまでもなく税の公平性を保つことだ。だがそれ以上に、国税関係者が今でも苦々しく思う、ある敗北の記憶が最大の原動力だと指摘する声は多い。

 1999年、消費者金融最大手だった武富士の創業者は、オランダ法人を介して香港在住の長男へオランダ法人株と武富士株を譲渡した。海外資産を海外在住者に譲渡しているため、日本の課税ルールは及ばなかった。

 「隙を突かれた、という空気が国税庁にまん延していた」

 ある国税OBは当時を振り返る。

 翌年、その隙を埋めるべく冒頭の5年ルールが作られたのだが、後の祭り。2005年、国税庁は創業家に贈与税の申告漏れを指摘し、合計1600億円の追徴課税に踏み切ったものの、11年、最高裁は追徴課税を取り消す判決を言い渡した。創業家は追徴課税で1600億円を納付していたため、判決後に国税庁は還付加算金を加えた総額約2000億円を創業家へ還付。完全な敗北だった。

 国税OBで、国際税務の専門家である立石信一郎・エヌエムシイ税理士法人税理士は、国税の最近の動きを「すぐに法律を変えて対応している。隔世の感がある」と舌を巻く。

 もはや国外に逃げ場はない──。10年間へ延長する国税庁の“宣戦布告”が聞こえてくるようだ。

週刊ダイヤモンド編集部

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最終更新:1/4(水) 6:00

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