リリース:本体 / 毎日新聞社による報道
国内事例としては非常に珍しく、思いっ切り明瞭な(目標とはいえ)数字データ付の人工知能導入告知系リリースが突如公開されました。しかも一般にはレガシーと言われる生命保険業界から。
タイトルからしてかなり衝撃的ですが、以下ちょっと詳細に解説していきましょう。
まず今回発表された計画ですが、ざっとまとめると以下のような感じ。
正直『マジか…』という感じもしちゃいますが、確かにこれこぞまさしく『AIが得意とするジャンル』ですもんね。
あんまり詳しいわけじゃないですが例えば…
カルテから名前抽出して病院やら薬局やらの各DBで名寄せ ⇒ 病歴やら入院期間やらを検索 ⇒ 手術名探り出したらその手術に対する直近の支払い金額やら期間やらもろもろ確認 ⇒ 現行の法律やら規約、年中ボコボコ生まれまくる保険商品の約款と照らし合わせて給付金の金額査定………
とか、そんな感じでしょうか?
それはもう どうあがいても人間がやったほうが効率悪い ですし、だからって全DBの連結検索システム作ろう!なんて思ったら、それこそ何十年先になるかわかったもんじゃないはず。
むしろ逆に、そこまでややこしい業務だったからこそ『経験者オンリーの派遣・契約社員さんでOK!』てな部分も多かったんでしょう。リリース曰く『年間1.4億円程度の人件費コスト削減効果アリ』と見越して、契約満了時の後任補充を行わない…ってな方針を採用。17年3月末までに34人を削減予定なんだとか。
ちなみにAIエンジンは「やっぱりな」て感じですが、IBMのWatsonが採用された模様。具体的には「IBM Watson Explorer」による「診断書査定自動コード化システム」を構築しての実行らしいので、以下ちょっとだけ公開された仕様から抜粋。
つまり査定結果を自動算出してコード化。これにもろもろのデータが紐付いた状態で確認できるようにすることで、継続的な業務効率化を狙っていく。みたいな感じでしょうか?
生成されるコード自体は人的査定の支援に使うみたいですが、情報の確認とすり合わせの部分はWatsonが担当。導入後も『条件 × 最終査定結果』を学習して精度を上げていくので、以後もどんどん人間の作業量は減っていく…と。
同じ保険業界としては既に導入済みの第一生命、かんぽ生命、日本生命なんかがWatson導入を進めてるらしいですが、まだ「人間によるチェック」を捨てきれず人員の大幅削減は出来てないらしいですし、そういう意味でも今回の事例には注目が集まっているわけです。(※かんぽと日本生命はまだ実証実験段階らしいけど)
人による確認を重要視する『これまでのやり方のシステム化』を狙うべきか
一部を完全に代行させていくなど『システムに合わせたやり方に変えていく』べきか
Watson 一強なのがなんかアレですが、面白くはなってきた感じしますよね。なんとなく。
さて、年始からいきなりでこういう話が出てくると(リリース自体は昨年末ですが)、いよいよ『人工知能による雇用激減がはじまった!』なんて感じる方も多いかも ですよね。
上図は2015年末に野村総合研究所がまとめたグラフ。国内610の職業に対し、ロボット・人工知能による代替可能率を示したもの。米国&英国に対するデータは同条件で2014年にデロイトトーマツコンサルティング社が報告
一昨年頃からやたらとこの手のレポートがあっちゃこっちゃで公開されましたが、どのレポートにも共通してたのが『だいたい半分くらいの仕事がAIやロボットに奪われるぞー!』てな内容(雑)
それこそ昨年は何度もニュースサイトのネタになっていましたし、行き過ぎて都市伝説のノリで扱われることも多かったような気もします…。
が、フコクの計画しかりこういった事例がこのまま進むのであれば、これはもう『現実的に検討すべき企業にとっての課題解決手段』になってきます。
さて、じゃあ僕らデジマなフィールドで仕事してる人たちは何をどう考え、どう行動していくべきなんでしょう?
願わくば『怖い!』とか『どうしよう!』なんてマイナスなノリじゃなく、『このパワーをどこに使ってやろうか?』と、より具体的に進める側として脳みそ使っていきたいもんですね。
ではまたー。