家事だけでなく災害援助もダンスもできるロボットを開発

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by 長倉克枝 (更新 )

ヒューマノイドロボット/東京大学情報システム工学研究室/左から災害対応向けの「JAXON」、東大助教の浅野悠紀さん(28)、生活支援をする「HRP-2」、人の筋骨格を再現した「腱悟郎」(撮影/写真部・長谷川唯)

ヒューマノイドロボット/東京大学情報システム工学研究室/左から災害対応向けの「JAXON」、東大助教の浅野悠紀さん(28)、生活支援をする「HRP-2」、人の筋骨格を再現した「腱悟郎」(撮影/写真部・長谷川唯)

AIでロボット制御/早稲田大学尾形哲也研究室/小型の人型ロボットNAOに、「左のベルを押して」と指示。すると、ベルの場所が変わっても指示通りに押してくれた(撮影/高井正彦)

AIでロボット制御/早稲田大学尾形哲也研究室/小型の人型ロボットNAOに、「左のベルを押して」と指示。すると、ベルの場所が変わっても指示通りに押してくれた(撮影/高井正彦)

 不老長寿、難病治療、災害救助──。一昔前ではSF小説の世界でしか見られなかった技術が、現実の世界で身近になりつつある。より人間らしく幸せに生きられる最新技術を探った。

*  *  *
 ロボットが、日常生活を変える。そんな日も遠くはない。

 ロボットを操作してタオルを折りたたむ「練習」を何度もする。そうすると、ロボットが折り方を「学習」して他のタオルも折りたたむことができるようになった──。

 早稲田大学教授の尾形哲也さん(47)らは、自ら学習して行動するロボットの「頭脳」を開発している。

 実は、人間が簡単にできることほど、ロボットにとっては難しいという。通常のロボットだと、あらかじめ決まった同じ色や形、素材のタオルしか折りたためない。

 それを克服しようとしているのが、ディープラーニング(深層学習)と呼ばれる人工知能だ。尾形さんらが開発したロボットは視界や音の情報、入力した言葉、ロボット自身の動きの情報などをもとに、ディープラーニングによって、環境を認識して自らの動きを作り上げることができる。ロボットは、タオルの色や形、素材が変わっても折りたためるというわけだ。さらに、

「タオルの代わりに本を開いて置いてみたところ、これを閉じました」

 と尾形さん。ロボットがまるで、親をまねる子どものような動きをするのだ。

●アルゴで発情を推定

 一方、等身大の人型ロボットの開発も進む。

「うちの実家は田舎で、庭の草むしりが大変。私が東京にいても、遠隔操作でロボットが草むしりをしてくれたらいいですよね」

 と東京大学教授の稲葉雅幸さん(58)がほほ笑む。

「もともと家の中で家事を手伝ってくれる人型ロボットを開発してきた」という稲葉さんら情報システム工学研究室(JSK)が開発した身長188センチの人型ロボット「JAXON」は、家事だけではなく屋外での災害救助もできる。故マイケル・ジャクソンのような足さばきができるようにと名前をつけた。災害現場で車に乗ったりドアを開けたり消火器を上手に扱って火を消したりできるよう研究が進められている。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年1月2-9日合併号

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