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【千葉】<大人って…成人年齢引き下げ>18、19歳のホンネトーク (下)将来の夢は何?若者は未来にどんな印象を抱いているのだろう。 船橋市などを拠点に活動するご当地アイドル「りなたん」(19)は「次の日に何が起きるか分からないから、ワクワクしてます」と言葉を弾ませた。千葉商科大一年の山内寛也さん(18)も「毎日大学に来るのが楽しい。講義も面白い」。 一方で上智大一年の葛巻朱里(くずまきあかり)さん(18)は「ワクワクしていない。社会は明るいようで暗いところもある」と語る。四月に社会人になる館山総合高三年の鎌田麻里さん(18)は「働いたことがないから不安が大きい」とする。 ただ、統計的にみれば、最近の若者は他の世代より高い幸福感を持つ。内閣府の昨年の「国民生活に関する世論調査」では、現在の生活に「満足している」と答えた十八〜二十九歳は83・8%に上る。 幸福を感じる瞬間について鎌田さんは「映画鑑賞。(アニメ)『君の名は。』は主人公が同年代。共感できた」と話す。山内さんは写真やアイドルなどの趣味、「りなたん」と葛巻さんは、家族とのだんらんが幸せの素(もと)だという。 かなえたい夢も尋ねた。山内さんは世界で活躍する営業マンとして「日本製品を広めたい」。法学部で学ぶ葛巻さんは「弁護士など法律で人を助ける仕事をしたい」と語った。 鎌田さんは世界遺産巡りを挙げた。「日本は狭い。いろいろな文化に触れたい」。「りなたん」は「普通に幸せに暮らせたら」。 二〇一五年、一人の女性が生涯で産む子どもの数を示す合計特殊出生率は一・四六。安倍政権は一・八を目指している。 山内さんは「金がかかるから子どもは要らない」と語る。同じ意見の鎌田さんは「結婚はしたい。でも(大人から)『結婚したら子どもを産め』と言われるのは違う」と指摘する。 葛巻さんは「いずれ結婚し、子どももほしい。両親が楽しい思い出をつくってくれた。そんな経験を自分の子にもさせたい」 (服部利崇、中山岳、黒籔香織が担当しました) ◆新しい生き方理解を常見陽平さん(42)千葉商科大専任講師(労働社会学)時代や価値観の変化を浮き彫りにできた有意義な座談会だった。若者は全員平成生まれ。1990年代からの低成長という厳しい現実から逃げず、元気に生きていると感じた。 選挙権年齢引き下げは歓迎したが、18歳成人には慎重だった。義務の押しつけと思ったかもしれない。 18歳成人は、大人の自覚を促す利点もあるが、労働現場で若者の即戦力化を助長する懸念もある。注意しないと、若者を長い目で育てる社会から、ますます遠ざかりかねない。 若者の地元志向も確認できた。内向きと批判する人もあろう。でも古い友人も大切に、仲のいい親のそばに住んで働くのは、新たな人脈づくりに苦労せずに済むという若者なりの合理的な判断ともいえる。 社会の責任世代である40〜50代は昭和生まれ。努力した分だけ豊かになれた「昭和」は歴史的にも珍しい時代だ。 地元でアイドル活動をしたり、きついアルバイトにやりがいを感じたり、彼らは新しい楽しみ方、生き方を実践している。大人は昭和の論理で「けしからん」と言う前に、若者の現実を理解しよう。 (談) PR情報
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