除染費用3兆円超に 専門家「効果得られたか検証を」

除染費用3兆円超に 専門家「効果得られたか検証を」
k10010828221_201701040440_201701040441.mp4
東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年になることしは、福島県の帰還困難区域以外の地域で行われてきた除染が終わる見込みです。これまで除染に投じられた費用は3兆円を超える見通しで、専門家は、この費用負担が復興につながっているのか検証する必要があると指摘しています。
原発事故で出た放射性物質を取り除く除染作業は事故のあと、関東から東北にかけての8つの県の合わせて101の市町村で行われてきました。

環境省によりますと、去年11月末の時点で、福島県と栃木県、宮城県、それに岩手県の合わせて30の市町村で除染が続いていますが、来年度から国費での除染が始まる福島県の帰還困難区域を除くと、ことし3月末までの今年度内に終わる見込みです。

この除染や仮置き場の設置などにこれまでに投じられた費用は、3兆円を超える見通しですが、福島県の避難区域の中には国の調査に対し、住民の半数以上が帰還しない意向を示した自治体もあるなど、除染を終えたあとの復興を見通せないケースもあります。

これについて避難区域の復興に詳しい大阪市立大学大学院の除本理史教授は「除染は住民の帰還に向けて放射線量を下げることが目的だったが、避難生活の長期化で戻らない決断をした人も多い。復興につながるなら除染の費用負担は必要だが、それに見合うだけの効果が得られたのか検証する必要がある」と指摘しています。