毎日新聞は3日、主要企業124社を対象にした景気アンケートをまとめた。景気の現状について、「踊り場にある」と答えた企業が60%(74社)で最多だったが、昨年5月にまとめた前回アンケートの70%からは減少。「緩やかに回復している」と答えた企業が40%(49社)で、前回の20%からほぼ倍増した。景気の停滞感は根強いものの、円安進行や輸出の持ち直しにより、明るさも見えつつある。
アンケートは昨年12月に実施した。景気の現状について「緩やかに後退している」と答えたのは1社だけで、景気後退懸念は遠のいている。昨年は一時、急激な円高が進み、輸出企業の収益が伸び悩んだが、11月の米大統領選でのトランプ氏勝利後、円安・株高が進行。海外経済の回復もあって輸出が持ち直しており、「景気の足踏み状態を抜け出しつつある」(東レ)との声が多かった。一方、個人消費の長期低迷などを理由に「踊り場」とみる企業も依然6割を占めた。
2017年の景気については、現在より「良くなる」が49%(61社)と最多で、「横ばい」44%(55社)、「悪くなる」3%(4社)と続いた。足元の円安で「企業収益が改善する」(自動車)との見方や、昨年10月に成立した第2次補正予算に盛り込まれた大型経済対策など「各種政策の効果で緩やかな回復が続く」(三井不動産)との期待が目立つ。
また、今月就任するトランプ次期米大統領の経済政策について「どちらかと言えば期待」「どちらかと言えば懸念」「どちらとも言えない」の3択で尋ねたところ、「期待」が25%(31社)で「懸念」19%(23社)を上回った。「どちらとも言えない」は45%(56社)だった。
「減税を中心に景気刺激的な政策が実施される可能性」(新日鉄住金)を挙げ、米国の景気加速が日本経済にも波及するとの期待がある一方、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱方針を受け、「経済のグローバル化を妨げる」(富士フイルムホールディングス)との懸念も聞かれた。【小川祐希】