韓国政府の外国人労働者の取り締まり・追放に積極協力、民主労総が謝罪

 全羅北道全州市内の建設現場で働いていた外国人労働者たちが昨年11月、不法就労の疑いで摘発・国外追放されたことに関連して、全国民主労働組合総連盟(以下、民主労総)が正式に謝罪した。民主労総傘下の全羅北道地域建設労組が「仕事量を奪われている」として政府に外国人労働者の取り締まりを要求し続け、事実上、政府と合同の取り締まりを行ったことに対し謝罪したものだ。

 民主労総は「(全羅北道建設支部が)未登録の移住労働者(外国人労働者)の取り締まり・国外追放を行政機関に要求し、積極的に協力していたことが分かった」として、先月30日に謝罪声明を発表した。全羅北道建設支部は昨年11月、「建設現場で働く不法就労の外国人労働者を取り締まれ」と全州市庁前で拡声器を使い抗議デモを行うなど、取り締まりを繰り返し要求していた。全州新都市「エコシティ」内の工事現場で働く不法外国人労働者は約500人だが、「政府は現場取り締まりにより外国人労働者を追放し、これらを雇用した雇用主と建設会社を処罰せよ」と求めたものだ。

 これを受けた全州出入国管理事務所は昨年11月末、現場取り締まりを実施し、外国人労働者8人のうち5人を強制退去させた。全羅北道建設支部は、現場取り締まりの公務員が外国人労働者を確認しやすいように現場の出入口を狭くするなど、取り締まりに積極的に協力していたという。民主労総は声明書で「事実上、同支部が(政府と)合同で取り締まりをしたのも同じ」と述べた。

 こうした事実が明らかになると、全羅北道地域の人権団体は「明らかな人権弾圧だ」として民主労総側に正式に抗議、このため民主労総が「生活が根底から破たんし、強制退去になった外国人労働者に心から謝罪する」と声明を発表することになった。労働界は今回の件について、産業現場における韓国人労働者と外国人労働者の間にある潜在的な対立が表面化したものと見ている。現在、韓国で働く外国人労働者の数は100万人近くに達しており、韓国人労働者と外国人労働者が同じ雇用先をめぐって争うケースが増えている。

キム・ギホン記者 , 孫章薫(ソン・ジャンフン)記者
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