ついに情報開示請求へ
「記事を無断転載したコピペサイトに損害賠償を請求するシリーズ」の続報です。
今回追及しているコピペサイトの多くが「ライブドアブログ」と「FC2ブログ」だったのですが、このたび「ライブドアブログ」を運営する「LINE株式会社」から連絡が来ました。
「ブログ運営者の情報開示請求を希望する場合はこちらの書類に記入して送り返してくださいね」と開示請求書のPDFが添付されていたので、後ほど記入して手続きを始めたいと思います。まだまだ時間はたっぷりありますからね~。
写真の無断転載に賠償請求して2万円を勝ち取る猛者あらわる
新年早々、痛快なニュースが入ってきております。
シリーズ第一弾である「『まとめサイト』にブログ記事が無断転載されていたので損害賠償を請求してみた結果」を参考に、自身が権利を所有する写真を無断転載したコピペサイトに対し賠償を請求、2万円を勝ち取った猛者が現れたようです。
【朗報】権利侵害通告でまとめサイトからマジで金貰えたwwwwwwwwwwwwwwwwwwww [無断転載禁止]©2ch.net [995935609]
いやーめでたいですねえ。いいお年玉になったんじゃないでしょうか。
しかもわざわざコピペサイトに強奪されそうなスレッドを立てて無断転載を誘発させてから金を回収とは……芸術点が高い。お見事です。
まったく法律知識のない人たちがコピペサイトを運営している
賠償金を勝ち取ったこの方、2chコピペサイト管理人が集う掲示板に煽りに行ったりもしていて、ますます芸術点を大幅加点せざるをえないのですが、この掲示板自体がまた面白いんですよね(笑)
コピペサイト側の意見を多数読んでみて気づいたことなんですが、この人たちって揃ってごく一般的なレベルの法律知識やリテラシーすらも持ち合わせていないようで、大変興味深いです。
今回2万円を回収できた方についても、
457 :名無しさん@おーぷん :2017/01/03(火)13:34:47 ID :uuj ×
- 自分で掲示板にアップロードしてるんだとしたら詐欺罪になると思うが結果が楽しみだな
- 引用:零細2chコピペブログ管理人スレ146(避難所)
なんてことを言っていますね。これを書き込んだ人に、
「あなた、それ著作権法や刑法の詐欺罪の条文、それらについての過去の判例を参照してからの発言ですか?」
などと問うたら絶対に困ると思います(笑)
<補足説明>
2万円回収に成功したこの方は imgur というサービスに画像をアップロードし、その画像がコピペサイトに無断盗用されていたようです。imgur の規約に「imgurにアップロードされた写真はすべてパブリックドメインとなり、誰でも自由に使用できるとします」といったような条文がない限り、とうぜん著作者は無断盗用に対して一定の権利の行使ができるわけですが、この457さんは「画像を自分でアップロードしたらそれは無条件でパブリックドメインになる」とか思っているのかな。
あとはこのパターン。
496 :名無しさん@おーぷん :2017/01/03(火)14:33:10 ID :Or6 ×
- 当たり屋みたいなモンだろうし不当請求の可能性もある
詐欺罪に恐喝罪の恐れもある
不当請求は他の連中にも言えることだから
しっかりと弁護士に相談するように- 引用:零細2chコピペブログ管理人スレ146(避難所)
これこれ(笑)
「自分の意思でネットにアップした画像や文章を無断で他人に使われたくらいで『著作権侵害!』などと騒ぎ立てて、さらには使用料まで請求する『当たり屋』がいる! こんなもの請求した側が詐欺罪や恐喝罪に問われるだろ!」
こういうことを本気で言ってくる人がいるんですよね(笑)
わたしのシリーズ第一弾記事のはてなブックマークにも、
「まとめサイト」にブログ記事が無断転載されていたので損害賠償を請求してみた結果 - エストニア共和国より愛をこめて
文章からは「裁判起こすきはないけど裁判ちらつかせたら金払うだろ」という思考が読み取れるんだけど、そうなると恐喝罪が成立するんだよね、例え損害賠償請求権利者であっても。
2016/12/07 22:25
なんてコメントがついていたりするのですが、「それって本当に判例を参照して言ってますか?」とか質問したらこの人絶対に困るだろうなあと思います(笑)
<補足説明>
「『期日までに○○が履行されない場合には、法的手段を取らせていただきます』などという要求は、実際に法的手段を取る予定がない場合には恐喝罪にあたる。だから『法的手段を取る』などと告知してはいけない」
などといった話がネットでは広範に流布しているみたいなんですよね。
「いい加減にしないと法的手段に出るぞ」「←はい脅迫罪成立!」
みたいな会話をしている人が本当にいたりします(笑)
これ、元ネタはどこなのかな、と思って調べたら、どうやらこの判例がいいかげんに拡大解釈されてしまっているようです。
"「お前の不正を告発するぞ」と言った場合、真実の追究が目的ではなく、単に畏怖させる目的であれば脅迫罪は成立する(大判大正3年12月1日刑録20輯2303頁)"
一般常識に照らしても、「法的手段に訴えますよ」と宣言しただけで脅迫になるんだったら家賃の督促状も未払い残業代の請求書も送れないことになってしまうわけで、素人が適当に言ってるだけなんだろうな、ということは明らかだと思うんですが。
※ただし、正当な範囲を超えた、相手を畏怖させるとみなされるような言動を用いて要求を行った場合は罪に問われることがあるので十分にお気をつけくださいまし。
「こいつら『訴えるぞ!!』とか言っておきながらどうせ訴えて来ないだろ(笑)」パターンの終焉
これらも2万円ゲットさんへのレスポンスのようですね。
450 :名無しさん@おーぷん :2017/01/03(火)13:26:50 ID :ZNI ×
- 訴えられた側がきちんと弁護士雇ったら勝てる要素ないからなコイツ
逆に恐喝で訴えられて枕を濡らせ- 451 :名無しさん@おーぷん :2017/01/03(火)13:28:00 ID :dwn ×
- 忙しいとか言いわけしてるけど
ごちゃごちゃ言う前に早いところ訴えてこいよw- 引用:零細2chコピペブログ管理人スレ146(避難所)
「『訴えるぞー!』とか言ってもこいつら絶対に訴えてこないから余裕余裕(笑)全部無視していればいいよどうせ訴状なんて届きやしないから」
ってわけですね。
2万円さんがどう出るかはご本人次第でしょうが、わたしの場合はほんとに一度裁判やって慰謝料勝ち取っている人ですからねえ。ただしコピペサイトではなくて、ヘイト本を出した出版社相手だけど。
反ヘイトスピーチ運動家への「名誉毀損」 出版社・青林堂が「お詫びと訂正」 - 弁護士ドットコム
しかも上の記事をご覧のとおり、司法記者クラブで記者会見までやってるし(笑)
「こんなもんみんな泣き寝入りで終わりだろ。訴えてくるやつなんていないだろ」
とか思っているんでしょうが、そうじゃない人も世の中にはいますからねえ。
「著作権」という概念そのものが理解できない人
もうひとつ。この人はコピペサイトの運営者ではないんですけれど、かつて2chで「記者」として(記者といっても独自取材をすることはない。2chでは『どこかの媒体から記事をコピペしてスレッドを作る人』のことを『記者』と呼んでいるらしい・笑)活動していた、「ニライカナイφ★」と名乗る人物がいます。
この人はまだ「記者(笑)」として活動していた時期に、わたしのツイッターでの発言を無断でコピペしてスレッドを作成したことが何度もありました。さらにそれらがコピペまとめサイトに転載されたことで、まるで害虫が湧くように大量のネトウヨからのリプライが押し寄せた、という被害が複数回あったのですよ。
この「ニライカナイφ★」は本当に凄いです。「最高裁判例によると著作権法○条で定める引用の範囲というのは~」みたいなレベルの話ではなくて、そもそも「著作権という概念自体が理解できない」らしいのです(笑)
手短にまとめると、
- 「ニライカナイφ★」が、ある評論家がメディアに発表した文章を2chに無断転載
- 評論家から抗議を受ける
- 「ニライカナイφ★」が『インターネット上に公開された著作物はインターネット・ユーザーの共有資産なのだから、著作権を主張するのはおかしい』と開き直る
いやーもの凄い理屈ですね(笑) この「ニライカナイφ★」という元・2ch記者(笑)ですが、長い年月にわたって社会から断絶している人みたいで、著作権関係以外の事項についてもまったく話が通じないようです。過去の発言から推察するに年齢もすでに初老に差し掛かっていると思われる人とのことで、なんか社会の闇を見てしまった気がしますな……。
まあそんな感じで、コピペサイト運営者も「2ch記者(笑)」とやらもごくごく一般的な法律の知識すらも持ち得ないような知的水準らしいので(そうじゃなかったらもう少しまともな生業を持っているはずだよね)、彼らのリテラシー弱者ぶりをうまく利用して、今後も遠慮なく手続きを遂行させていただきますね。
写真:雪に覆われるタリン港方面