福島県広野町下北迫の「高野病院」院長、高野英男さん(81)方で昨年12月30日に発生した火災で、県警双葉署は3日、焼け跡から見つかった男性の遺体はDNA鑑定の結果、高野さんと判明したと発表した。死因は焼死だった。東京電力福島第1原発が立地する双葉郡で唯一診療を続ける病院で、高野さんは原発事故後も避難せず入院患者らの診療を続けていた。
高野病院は現在、帰還した住民や原発の廃炉作業に携わる人たちの診療も担っているが、町によると、同病院の常勤医は高野さんだけで、死去により医師の人繰りが難しくなったという。
このため町は3日、入院患者約100人の対応や外来診療をするため、9日まで同県南相馬市立総合病院などから医師派遣を受けると発表。同病院に勤務する有志の医師たちも「高野病院を支援する会」を発足させ、フェイスブックなどで医師派遣などの協力を呼び掛け始めた。
町は医療体制を維持するため全国からボランティア医師を募り、交通費や宿泊費を町が負担する方針で、担当者は「高野病院の患者は双葉地方広域にわたっている」と国などに支援を求める考えを示した。【高井瞳】