2016秋アニメ ステラのまほう 
2017/01/02 Mon. 14:16 [edit]
■ステラのまほう http://magicofstella.com/
高校新入学の本田珠輝(ほんだ・たまき)は同人ゲームを制作する「SNS部」と出会い、絵描き担当の不足を知り、自分にもできることがあると感じて入部を決意。絵を描く技術に不安はあるものの、個性豊かな先輩たちとともに、集団作業のゲーム作りにまい進する。文化系部活もの。
原作は芳文社雑誌連載中の人気漫画、派手さはないが起伏はそれなりにある日常系、志茂文彦さん構成らしくお話は手堅く安定しています。2016年は「New Game!」のヒットがありました、この作品も同系統のライトトーンな金魚鉢かと思いきや、僕にとって意外だった、良かったのはその美術と色彩でした。今回はそっち方面の話をしようと思います。
#01


冒頭部。床面と立ち上がりのエメラルドグリーンの差し色。これ面白い発想ですよね。
エメラルドグリーンというか、ターコイズブルーというべきか色の名前はややこしいんでアレなんですが
伝統的家屋の趣と、不思議な透明感が同居している奇妙な印象
#02

ここもそう。つまり赤みやオレンジ系の背景にスカートの色がぽつんとあると浮いちゃうんで、差し色でバランスを取る感じ。キルシュマンの法則というのがありましてね、色対比の効果が大きくなり過ぎてしまう、それを回避するためだと思います。それにしてもこの緑の色使いは大胆というか攻めてますね。本来ないはずの光源だけど違和感ないのが凄い。床や制服の黄色がうまく中間にはさまるからですね。



そう思って見てみると、美設さんが描いたと思われるキーになるロケーションには要所に差し色として緑青が配置されていて、制服スカートを履いた女子がそこを通ることを想定しているのがわかります。キャラクターが全体的にソフトなトーンなので美術はさらにライトに仕上げる必要がある、そこで立ち絵をなじませ落ち着かせるためにこういう工夫を随所でしているわけです。それに加えて何でもない日常的な場所にすら透明感をともなう明るさがプラスされる。
もちろん川面監督の指示によるものと思われますが、美監さんのセンスと色彩設計さんとのコンビネーションあればこそですね。過剰に高密度でない背景だとこういうことが自在にできるのがいい。これは、京アニやサンライズにはできないことなんですよ。ジブリにもできない、新海さんにもできないことをこの作品はやっている。
美設はクレジットないので美術監督さんが兼ねていると思う、その美術監督は、僕はよく知らなかったけど谷川広倫さんという方(アトリエブーカ)、そういえばブーカの責任者である金子英俊さん(この方は大ベテラン、凄腕)もさりげない差し色で効果の最大化するのを得意としている。でもここまで大胆なのは見た覚えがないな

次に色指定の話です。色彩設計は重冨英里さんという方、「のうりん」や「田中君~けだるげ」などライトトーン使いで、川面監督が重用している方ですね。もともとシルバーリンクの仕上げさんなのかな。
本田たまきを始めとして各キャラクターにパーソナルカラーが設定されていて、それはOPなどを見ればわかるようになっていますね。本田たまきの場合は黄緑色。

色分析してカラーバーをつけてみたんでわかりやすいと思う。(よく考えたらつけなくてもわかるなこれ)
絵師初心者としての緑、田舎町在住の緑、畳の色や、抹茶の色などがたまきの緑を象徴してますね。
ピンクのリボンはアクセントカラーで対照色。主人公が緑の子ってけっこう少ないです。

他のメンバーはこんな感じ。関先輩とユミネは少し被ってるけどユミネはSNS部員ではないので。暖色系は擁護者、寒色系は指導者に割り当てられてるようです。テルは紫色

この画像だと黒が強いんですけどね。この黒はテルの持つリドル(謎)の部分なんだろう
OPは松根マサトさんのテクニックについても触れたいとこだけど、長くなるのでもういいや。
各メンバーの個人色を12色相環に当てはめるとこう。これだと今イチよくわからないですが

村上先輩を中心に据えるとこう↓なって、部員同士でわりとバランスのよい配置になってる

ここにテル先輩を加えると

こういうのをヘクサード配色といいまして、左上の緑青の部分が空席なんで、たぶんここには将来このカラーを個人色とする新キャラが入るんじゃないかな?
※こういう配色自体が優れているという意味ではないですよ。この作品では調和やバランス重視を選択したということで。
PCCSなんか無視して巧みに外していくのもまた色彩設計さんのテクニックです。誤解なきよう

このテルとたまきの関係ですが、緑に対して紫は補色とか反対色とか言ったりする、ようするに反対側になる色なわけです。テルはたまきが迷ったり困ったときなどに現れて助言を与えたり、逆に混乱を与えたりする役。テルが現れる時というのはたまきにとっては不利な環境であったり不都合な状況であることが多い。つまり紫色はたまきにとって「アウェイの色」ということになる。
#04



この紫色がテル空間
#06




同人ゲーム即売会の会場なんかもアウェイですね。この各話は徹底していて、同人好きのお姉さんがたまきに声を掛けてくるところとかは紫のテル空間なんだけど、関先輩やユミネと話しているカットでは紫の比率が下がった色使いやアングルになっている。わざわざクロスをピンク色にしているのも、アウェイ感を中和するために計算してやっていると思う。

10話で部室を飛び出してからPCを落とし、テルと会い、村上先輩に謝罪するため尾行する一連もテル空間
ここは美術も気合入ってた
#10


紫はアウェイの色であり試練の色でもあるわけです。この色のカットを乗り越えるたびに、たまきが少しずつ成長する。視聴者はそういう印象を言葉やストーリー以外の部分で、色のイメージから受け取っている。

もちろんすべての紫がアウェイを意味しているわけではないです。紫は制服の黄色に対しても対照色なので、生徒が遠くに立っていてもよく映える、だから校舎の廊下は紫色に指定されている。紫がすなわちアウェイなのではなく、アウェイ的状況が紫であるということです。まあ、わかると思いますが

制服の黄色が映えるための廊下なら青系色でもいいんですが、部室の床がピンクなんで廊下が隣色の紫になるんですね。暖色は先輩たちのカラー、先輩たちがいる大切な場所、ホームの色というわけです。
ところで
#06

この手前の青いテーブル(クロス)かなりの存在感があって、向こう側の関とたまきがいるピンクのクロスとの対比で奥行感を作ってると思うんだけど、カラーバーで見ると青系色の比率って15%もないんですよね。色って奥が深いですね

あけましておめでとうございます。
今年もボチボチでやっていきます。
高校新入学の本田珠輝(ほんだ・たまき)は同人ゲームを制作する「SNS部」と出会い、絵描き担当の不足を知り、自分にもできることがあると感じて入部を決意。絵を描く技術に不安はあるものの、個性豊かな先輩たちとともに、集団作業のゲーム作りにまい進する。文化系部活もの。
原作は芳文社雑誌連載中の人気漫画、派手さはないが起伏はそれなりにある日常系、志茂文彦さん構成らしくお話は手堅く安定しています。2016年は「New Game!」のヒットがありました、この作品も同系統のライトトーンな金魚鉢かと思いきや、僕にとって意外だった、良かったのはその美術と色彩でした。今回はそっち方面の話をしようと思います。
#01
冒頭部。床面と立ち上がりのエメラルドグリーンの差し色。これ面白い発想ですよね。
エメラルドグリーンというか、ターコイズブルーというべきか色の名前はややこしいんでアレなんですが
伝統的家屋の趣と、不思議な透明感が同居している奇妙な印象
#02
ここもそう。つまり赤みやオレンジ系の背景にスカートの色がぽつんとあると浮いちゃうんで、差し色でバランスを取る感じ。キルシュマンの法則というのがありましてね、色対比の効果が大きくなり過ぎてしまう、それを回避するためだと思います。それにしてもこの緑の色使いは大胆というか攻めてますね。本来ないはずの光源だけど違和感ないのが凄い。床や制服の黄色がうまく中間にはさまるからですね。
そう思って見てみると、美設さんが描いたと思われるキーになるロケーションには要所に差し色として緑青が配置されていて、制服スカートを履いた女子がそこを通ることを想定しているのがわかります。キャラクターが全体的にソフトなトーンなので美術はさらにライトに仕上げる必要がある、そこで立ち絵をなじませ落ち着かせるためにこういう工夫を随所でしているわけです。それに加えて何でもない日常的な場所にすら透明感をともなう明るさがプラスされる。
もちろん川面監督の指示によるものと思われますが、美監さんのセンスと色彩設計さんとのコンビネーションあればこそですね。過剰に高密度でない背景だとこういうことが自在にできるのがいい。これは、京アニやサンライズにはできないことなんですよ。ジブリにもできない、新海さんにもできないことをこの作品はやっている。
美設はクレジットないので美術監督さんが兼ねていると思う、その美術監督は、僕はよく知らなかったけど谷川広倫さんという方(アトリエブーカ)、そういえばブーカの責任者である金子英俊さん(この方は大ベテラン、凄腕)もさりげない差し色で効果の最大化するのを得意としている。でもここまで大胆なのは見た覚えがないな
次に色指定の話です。色彩設計は重冨英里さんという方、「のうりん」や「田中君~けだるげ」などライトトーン使いで、川面監督が重用している方ですね。もともとシルバーリンクの仕上げさんなのかな。
本田たまきを始めとして各キャラクターにパーソナルカラーが設定されていて、それはOPなどを見ればわかるようになっていますね。本田たまきの場合は黄緑色。
色分析してカラーバーをつけてみたんでわかりやすいと思う。(よく考えたらつけなくてもわかるなこれ)
絵師初心者としての緑、田舎町在住の緑、畳の色や、抹茶の色などがたまきの緑を象徴してますね。
ピンクのリボンはアクセントカラーで対照色。主人公が緑の子ってけっこう少ないです。
他のメンバーはこんな感じ。関先輩とユミネは少し被ってるけどユミネはSNS部員ではないので。暖色系は擁護者、寒色系は指導者に割り当てられてるようです。テルは紫色
この画像だと黒が強いんですけどね。この黒はテルの持つリドル(謎)の部分なんだろう
OPは松根マサトさんのテクニックについても触れたいとこだけど、長くなるのでもういいや。
各メンバーの個人色を12色相環に当てはめるとこう。これだと今イチよくわからないですが
村上先輩を中心に据えるとこう↓なって、部員同士でわりとバランスのよい配置になってる
ここにテル先輩を加えると
こういうのをヘクサード配色といいまして、左上の緑青の部分が空席なんで、たぶんここには将来このカラーを個人色とする新キャラが入るんじゃないかな?
※こういう配色自体が優れているという意味ではないですよ。この作品では調和やバランス重視を選択したということで。
PCCSなんか無視して巧みに外していくのもまた色彩設計さんのテクニックです。誤解なきよう
このテルとたまきの関係ですが、緑に対して紫は補色とか反対色とか言ったりする、ようするに反対側になる色なわけです。テルはたまきが迷ったり困ったときなどに現れて助言を与えたり、逆に混乱を与えたりする役。テルが現れる時というのはたまきにとっては不利な環境であったり不都合な状況であることが多い。つまり紫色はたまきにとって「アウェイの色」ということになる。
#04
この紫色がテル空間
#06
同人ゲーム即売会の会場なんかもアウェイですね。この各話は徹底していて、同人好きのお姉さんがたまきに声を掛けてくるところとかは紫のテル空間なんだけど、関先輩やユミネと話しているカットでは紫の比率が下がった色使いやアングルになっている。わざわざクロスをピンク色にしているのも、アウェイ感を中和するために計算してやっていると思う。
10話で部室を飛び出してからPCを落とし、テルと会い、村上先輩に謝罪するため尾行する一連もテル空間
ここは美術も気合入ってた
#10
紫はアウェイの色であり試練の色でもあるわけです。この色のカットを乗り越えるたびに、たまきが少しずつ成長する。視聴者はそういう印象を言葉やストーリー以外の部分で、色のイメージから受け取っている。
もちろんすべての紫がアウェイを意味しているわけではないです。紫は制服の黄色に対しても対照色なので、生徒が遠くに立っていてもよく映える、だから校舎の廊下は紫色に指定されている。紫がすなわちアウェイなのではなく、アウェイ的状況が紫であるということです。まあ、わかると思いますが
制服の黄色が映えるための廊下なら青系色でもいいんですが、部室の床がピンクなんで廊下が隣色の紫になるんですね。暖色は先輩たちのカラー、先輩たちがいる大切な場所、ホームの色というわけです。
ところで
#06
この手前の青いテーブル(クロス)かなりの存在感があって、向こう側の関とたまきがいるピンクのクロスとの対比で奥行感を作ってると思うんだけど、カラーバーで見ると青系色の比率って15%もないんですよね。色って奥が深いですね
あけましておめでとうございます。
今年もボチボチでやっていきます。
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category: アニメ
コメント
すげー
こんなん気づかんかった
EDの曲が良かったなぁという印象でした
URL | 詠み人知らず #-
2017/01/03 00:20 | edit
Re:
あーほんと、ED良かったですよね。毎回映像が微妙に違ってるのが謎でした。06話はテレビが壊れたかと思いました。
URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2017/01/03 01:10 | edit
中村亮介監督の「あいうら」っぽい感じですね。
金子英俊さんが美術監督でアトリエブーカです。
URL | オタク #-
2017/01/03 16:09 | edit
Re:
「あいうら」がありましたね・・・。完全に失念していました。
あいうら→グリムガル→ステラっていうタッチの変遷というか流れみたいなのはありそう。
URL | 管理人 #pBoZlR9Y
2017/01/03 19:10 | edit
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