いつも大晦日は紅白歌合戦で年越しと決めている。
歌はもちろん、巨大なセットや紅白ならではのゆるい演出、すべてひっくるめて好き。紅白歌合戦って名前こそ「合戦」だけど、「お祭り」だと思っている。わっしょいわっしょいである。
で、去年の紅白歌合戦。なんかいつもと違う感じだったのだ。理由はいろいろあれど、一つは「前提の説明抜き」でいろいろやってたなーと。ご存知でしょう的なスタンスのものもあれば、説明が足りなくて「?」もなるものも。説明の時間がない分、物事がスピーディに進むけど、ちゃんと説明したら面白いのになぁ、もったいないなぁ、というのもあった。
というわけで、ここはみんな知ってたら余計楽しかったな、と感じたところをメモ。
◼︎紅組の勝利とふるさと審査員
たぶんみんな一番「?」ってなったところ。対戦ごとに投票できた視聴者審査でも、麻布大学野鳥研究部が数えた会場審査でも、大差をつけて勝っていた白組。しかし勝者は紅組に。うっかりマイクが拾った有村架純の「えっ⁉︎」という声はお茶の間を代弁した声だった。
実は視聴者審査も会場審査も、勝ったほうが得られるのは「ボール2個」。ゲスト審査員10名がボール1個ずつ、視聴者から選ばれたふるさと審査員がボール1個を投票するので、計15個ボールで集計される。
ゲスト審査員+ふるさと審査員の投票結果の内訳は紅組9票、白組2票。ここに視聴者審査と会場審査の2票ずつを加えて紅組9票、白組6票で紅組の勝ちだった。
ちなみに、「ふるさと審査員」は3組6人で紅白どちらかを決め、1票を投じる。タモリとマツコデラックスはこのふるさと審査員になった、という体でNHKホールに入ろうとしていた。だが、ふるさと審査員の席を見ると、6人分は既に埋まっていて、タモリ&マツコは「4組目」になっていた。というわけで、最後まで2人は着席できなかったけれど、本番のふるさと審査員の審査には影響がない。
◼︎PUFFYのウラトークに西川貴教
バナナマンが務める副音声の「紅白ウラトーク」。毎年西川貴教が乱入しては、歌いすぎて退場になるのがお約束。
今年は出場歌手ではないにも関わらず、最初からウラトークにスタンバイ。舞台上には紅組トップバッターのPUFFY。西川貴教に「PUFFYの2人だったらどっちが好き?」と振る設楽統。「どちらから言えば吉村さん」と答えながら変な汗をかく西川貴教。それもそのはず、PUFFYの吉村由美は元嫁。ほぼ嫌がらせのようなキャスティング。西川貴教はきちんと熱唱して、「あとでLINEするね!」と言ってました。
◼︎睨み合ってるピコ太郎と中田敦彦
RADIO FISHの「PERFECT HUMAN」が始まるまで、ピコ太郎と中田敦彦がおでこをつけて睨み合ってる場面が2回あった。
事情を知らないとサングラス同士の悪ふざけに見えるこの場面、両者が紅白にたどり着くまでの道のりを知っていると味わい深い。オリエンタルラジオ率いるRADIO FISHは2015年12月にテレビ初披露した「PERFECT HUMAN」が、2016年2月にブレイク。以後、紅白歌合戦に照準を合わせ、戦略的にこの1年を過ごして来た。
一方、ピコ太郎は8月に公開したPPAPが思わぬ大ブレイク。世界中でヒットを飛ばしあれよあれよと急上昇した。RADIO FISHからしたらブームを上書きされて「先輩なにしてくれてんですか」という状況である。
ただ、この睨み合いはお互いがお互いの人気を利用したもの。「PERFECT HUMAN」歌唱後はがっちり握手&ハグし、全員が歌う「ふるさと」では1本のマイクを仲良くシェアするほどに。
※RADIO FISH とピコ太郎の詳しい軌跡は以前エキレビに書いておりました。
◼︎武田アナ関連
渡辺直美とピコ太郎によるハーフタイムショーが終わり、ニュースを挟んでNHKホールに戻って来た場面。白組司会相葉雅紀が「武田さん、ここでニュース読めばよかったんじゃないですか?」と振る。
今回初めて総合司会を務めたNHK武田真一アナ。昨年まで紅白の合間のニュースは武田アナが担当していたのである。今回は高瀬アナが紅白前のニュースも含めきっちり仕事をこなしてました。
前述の相葉雅紀の振りに「何が起こるかわからないんで」と武田アナが答えたのは、もちろんこの後襲来するゴジラへの振り。まさかマイクとゴジラをくっつけるとまでは思わなかったけども。
あと、武田アナが訂正していた「夜桜お七」の作詞作曲者のテロップ。誤って表示されていたのは「詞 吉岡治 曲 弦哲也」。これは「天城越え」の作詞作曲者である。
◼︎「シン・ゴジラ」パート、映画と同じところ違うところ
後半に縦軸として何度か挿入されていた「シン・ゴジラ」のパート。内閣副官房長官・矢口蘭童(長谷川博己)はもちろん、大河内総理(大杉漣)や泉修一政調副会長(松尾諭)、巨大不明生物特設災害対策本部のメンバー(津田寛治、吉田ウーロン太、塚本晋也、谷口翔太)も映画キャストそのまま。やってることはパロディなのに本人が演じるのズルいなぁ。尾頭さんも出たらいいのに。
紅白ではゴジラの上陸地点が横浜のみなとみないだった。映画では第3形態の上陸地点は湘南。若干東になったのは紅白の放映時間内に渋谷に着けるようにという配慮なのかな。
あと、会見の時のL字テロップはさすがにNHKの本物のL字テロップと色味や形が違っていた。本当にゴジラが来たと思っちゃうもんね。それでも映画を観てない人、特にちびっ子は「本当⁉︎」と怖い思いをしたかも。
関係ないけど、ゴジラを倒したあと高橋真梨子の「ごめんね…」だったので、ゴジラに謝ってるみたいだった。
◼︎AKBの紅白選抜、いつもの総選挙と勝手が違う理由
今回、AKB48は「夢の紅白選抜」と題して、紅白歌合戦に向けた人気投票を行い48人を選抜。さらに上位16人を舞台上で発表した。
この紅白選抜の投票はスマホサイト&アプリで行われたので、いつもの総選挙のように資金力に物を言わせた組織票が起きづらかった。その結果、「ひるおび」「ミラクルナイン」で地上波の露出がある大家志津香が12位、YouTubeでメイク動画をアップし続け10万人以上の登録者を持つ吉田朱里が6位と、総選挙とは異なる波乱が起きたのだった。
◼︎恋ダンス、東京事変
星野源「恋」のクライマックスで恥じらいながら踊る新垣結衣。TBSドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』でブームになった「恋ダンス」。NHKなのに「逃げ恥」効果でガッキーを審査員に⁉︎と思ったら、ちゃんとNHKでガッキー出演のドラマが始まるのだった。ぬかりない。
東京都庁前の特設ステージで魅せた椎名林檎。特に説明がなかったけど、バックバンドが東京事変だったのはビックリした。披露された『青春の瞬き』は東京事変解散ライブのラストを飾った曲。東京事変が解散した日は2012年2月29日。閏年に再び集結したわけで、次の閏年はといえば2020年。言わずと知れた東京オリンピックの年だ。粋だなぁ。
◼︎SMAPの不在
今回の紅白歌合戦、タモリ&マツコのパートをはじめ、例年になく「ゆるい」進行が多かった。いつもあんなにキツキツで対戦をこなしてるのに。
やはりSMAPをブッキング出来なかったことが響いたのだと思う。出場歌手を減らしてまでSMAPのために空けておいた時間。なにかしらの企画で埋めなくてはいけない隙間。
そこに急遽決まったのがタモリ&マツコのパートだと考えると、あのブラリと夜更かししている感じもさもありなんと思う。
ネットニュースとかで「全体から浮いていた」と評されている時間は本来SMAPのもので、そこをカッチリ埋めつくすとSMAPの不在すらも埋めてしまうような気がする。
今回の紅白、なんか変だったよな。
なんかいつもと違ったのよな。
なんか物足りなかったよな。
その「なんか」の正体をたどると、SMAPに行き着くのではと思う。
コメント一覧