大手広告代理店 電通に勤める高橋まつりさんが「過労死自殺した」と大手メディアは大騒ぎ。

でも、本当に多くの方がすでにコメント欄で気付いてらっしゃる通りで、そもそもこのメディアの伝え方は全然的を射ていないですし、これはそんなニュースではありません。
なのに、いつも通りの表層だけをなぞったニュースに対して、今度は表層だけをごまかす対応策で世間はそのまま終息に向かっているというあまりに情けない事態。

当ブログでは、まず「前提」だけはちゃんと抑えましょう。

1、言うまでもなく「100時間」程度じゃあない

今回は裁判によって過労死が認定されたということで、あくまで「裁判上」で認定された…つまり「完全な証拠が残っている状態で証明できた労働時間」が100時間なのであって、高橋さんは確実に100時間どころじゃない労働を強いられています。
ネット上で「たかが100時間程度で自殺するなんて…」という素直過ぎて将来あるある詐欺に確実に引っかかりそうな人のコメントも見られましたが、んな訳ないでしょうが、と。
そもそも私も大手のマスコミにいた人間ですが、残業が100時間程度で済むんだったら、めちゃめちゃ休んでいる範囲です。そんなもんで普通の人間は心を壊したりしません。絶対。

2、なので言うまでもなく「過労死」じゃあない

誰が見ても分かる通りで、残業をしたから自殺しました、なんて話じゃあありません。もう一度言いますが「裁判上」で「証拠があって」「認定された」のがあくまで「残業100時間」だったのであって、高橋さんを追い込んだ別の理由は全然ほかにも複数存在することは確かだと推定されます。
単に今回はご遺族が『電通』を相手取った裁判だった、そして、その中で最も裁判の手続き上、訴えやすかったのが「証明できた残業100時間」だったにすぎません。
あれだけきれいな人です。恋愛で何かあったのかもしれない。上司からの暴言や追い込みも多数あった可能性はある。
大手のマスメディアにいた人間として、断言できることが一つだけあります。僕らの仕事は、普通にしている限りでは超楽しいです。これは部署や仕事内容によって差はあるものの、通常の会社でデスクワークなどをされている方々とは本当に意識の違う所だということを断言させてください。

電通さんで言えば、クリエイターさんの場合、日本を動かすレベルのCMを作っています。自分の力で何100億が動くと思います?営業さんの場合でもまだ若手の20代の人間が1日に何十億円を動かすと思います?
極めて刺激的で、責任感があると同時に、やりがいも感じる仕事内容です。少なくとも私は電通社員に何十人も知り合いがいて、現在も続く飲み仲間だけでも10人以上います。
彼らの口から
「仕事、大変です」
という言葉は何度も聞いていますが、
「仕事がつらいです」
というセリフをただの一度も聞いたことがありません。それくらいの会社です。年収もフ素晴らしいし。

もう一度言います。残業が100時間とか150時間あったところで、周囲の環境に恵まれ、人間関係に恵まれてひーひーーー言いながら働いたところで、在京キー局や電通に働いている人間は、通常ですと「絶対に」自殺なんてしません。本当に「楽しい仕事」だからです。
裁判で認められたことが「全部の真実」だなどと思わないことは、少なくとも当ブログの読者の皆さんには愚問でしょう。

が、そんなところをテレビや新聞は叩きません。
当然です。
私たちは電通さんにあまりに大きな恩義があります。現段階で電通さんを遠慮なくたたけるのなんて日テレさんくらいのものです。しかし、日テレさんは電通さんとは兄弟のようなものです。本社がほぼ隣同士と言ってもいい距離にありましてね、キー局の中で一番仲がいいんです。
その他のテレ朝やフジ・TBSテレ東は電通の営業メンバーさんに足を向けてなど寝られません。それくらい、昨今の全然売れないCMを必死になって売りさばいてきてくれています。そのお蔭でおまんまが食べられています。

「電通の中に高橋さんをねちねちイジメていたサイテーの社員がいるぞ~」

なんて分かっちゃいるけれど、言えるわけもないので、しょうがないから「裁判上で認定された程度の話」をして「タブーである電通叩きをしていますよ」感を出しているだけってのがこの一連の報道の真実だったりします。アホらしい。

で、そのテレビの内容をまんま受け取って、表面上だけの「22時以降は完全消灯」と言うギャグレベルの対応をしてお茶を濁そうとしているのが現在の電通上層部です。私は最初にその話を聞いたときに吉本新喜劇の突っこみ待ちのボケかと思いました。それくらい笑えるレベルの対応。

ここからは実際に「現在電通で働いている現役社員のみなさん」の声を聞いていただきましょう。私が話すよりもずっと説得力あるし。


【質問】全館消灯22時になりましたけれど、どう思いますか?

Aさん「あれだけの事件を起こしてしまった以上、やむを得ない対応なのかな、と思います」
Bさん「まぁ…僕たちは何も変わらないですよね。家にPCを持って帰れば仕事の続きが出来ますので、どのみち仕事してます。無料のサービス残業が増えただけです」
等の声の中で一番私が説得力を感じたのが「上層部が何にも分かってくれていないのだな、と痛感した」と語るCさんです。

「一番腹が立ったのは、上層部は僕たちの仕事内容を全然把握してくれていないことです。少なくとも、僕らテレビ担当をしている人間は仕事の波があって、22時どころか20時には絶対に帰れるような月だってある。でも改変期の前などは、本当に22時に帰ってほしいのであれば、それはもう人員を2倍か3倍に増やしてくれなければ不可能な仕事量になる。じゃあ人員を増やすのか?と言えば絶対に増えない。そんな単純にいきなり増やされても教育しなければいけないだけなので仕事量が増えるだけですしね」

「長谷川さん、僕たちだって好きで22時以降に働いてると思いますか?もしブログに書かれるのであれば、これだけは絶対に書いてほしいんですけれど『22時以降に仕事してる』ってことをもっと理解してくれ、と。何を言ってるかと言うと、20時までの残業なのであれば、実は早めに来たり(出社したり)効率化することで対応出来たりする。でも『22時以降まで働いてるやつ』って『本当に仕事量が多すぎて帰れない奴』しかいないんです。それを全館消灯にされたとしても、仕事自体は『そこにある』訳だから帰ってやるしかない訳です。かといって人員を増やされたとしても、じゃあ改変期以外の時はどうするってことになる。改変期に22時までに仕事が終わる人数で仕事してたら、通常期は下手したら、毎日昼の2時には仕事が終わっちゃう時が出てくる。」

「僕らの中では高橋さんの悲しい一件は『残業100時間だから』で報道して欲しくないんですよね。僕らの職場が狂ってることは分かるけれど、見せしめのように弊社だけ叩いて、それで日本の労働環境なんて変わりますかね?もっと根本的なところを改善しないと、高橋さんは死に損になってしまうと思う。もちろん、高橋さんのことは忘れずに、少しでもいい職場環境にしていくことは、残された我々の大切な務めだとは思っていますけれど、いくらなんでも最近のネットやテレビの叩き方はおかしい」



Cさんの話の中で説得力があったのが「22時以降の残業」は「本当に仕事が多すぎるからやってること」だという話。要は残業代が欲しいな~みたいな感じでダラダラ仕事をしているのでは絶対になくて、もう、朝から全力で働いているにもかかわらず、本当に終わらない人間しか「22時以降」って時間は働かないって部分です。

つまり、電通さんの対応策の一つである「22時以降消灯」っていう対応策は「完全に的外れ」と言わざるを得ない、と現場にの人間は感じている、という部分です。それは確かにそうだなぁ…と。

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じゃあどうするんだって話なんですが、私はとても単純で簡単な解決方法があると考えています。

最近読んでいる本で…あ、そんなに難しい本じゃないですので、良かったら皆さんもリラックスしながらご一読していただければと思えるお勧めの本なんですけれど、こちら↓

会議でスマートに見せる100の方法
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Sarah Cooperさんと言うヤフーでもグーグルでも働いた経験のある女性の書いた本…と言うよりは非常にユーモアと皮肉の効いた「あるある本」の部類なんですけれど、実は読んでいるとクスリ笑いの中にけっこう勉強になる話が満載でお勧めの本です。

で、この本の冒頭部分に書かれている文章が端的に示しているんですが、

労働時間の実に75%が会議に費やされているそうだ。しかし、それらの会議のうち3分の1以上は次の会議の計画に使われる。そして全体の6分の1がボンヤリしていたせいで、今言われたことを聞き返すために使われ、さらに6分の3は本来メールで済ませるべきだったことに使われる
(Sarah Cooper著「会議でスマートに見せる100の方法」より)

私は、元来何度も言ってきていることですが
「改善するならまずは大きなところから」
が鉄則だと思っています。

日本の予算も同じですね。まずは細かい防衛費の問題とかをアーダコーダ言うのも悪いことではないんですが、やはり全体の支出の半分以上という膨大な量を占める社会保障給付費にメスを入れなければダメでしょう、と何度も訴えたわけです。

日本の会社の無駄の象徴は「会議」です。

上記した紹介のようにアメリカの会社であったとしても、膨大な量の「ムダな会議」があることが分かります。そこで、提案したい。

政府に「原則として会議を禁止する」という非常に革新的に思われるかもしれないダイナミックな法令を作って欲しいのです。

何をバカなことを言ってるんだ、と思われたそこのあなたは絶対に思い違いをしているので、目を覚ましてください。皆さんが思考停止している間に、とっくに日本は前に前に進み始めているのです。私がもう一つのブログを開設しているサイバーエージェント社などは「NO MTG DAY」をとっくの昔に導入していますし、その動きはどんどん広がりつつあります。

「会議禁止なんてーーーー」

と言っているあなたの脳の中が、とっくの昔に成長できていないのです。
私は現在、地元で保護者会の仕事をしているのですが、基本は2か月に1度くらいは集まりをするものの、メンバーをLINEでグループ登録し、全ての情報を共有するようにしています。

全然それで困りません。

ちなみに、大手のIT企業などはすでにその改革を進めていて、一番お勧めされているのが「LINE」ではなくFacebookのサービスである「メッセンジャー」機能です。

LINEの場合は「既読機能」があるのは素晴らしいのですが、5人のグループだったとした場合、「既読3」としか通知されないんですよね。要は「誰が読んでいないか?」までは分からない。
そこを補強したのがメッセンジャー。
使っている人は分かるでしょうが「誰が読んで誰が読んでいないか」まで表示されるようになっている。まさにビジネスのためのツールです。

私の上記提案を笑う前に、どうか皆さん自身が「すっかり思い込みをしてしまっている」ことを自覚すべきです。
本当に「会議」を無くして、メッセンジャーだけでやり取りしてみてください。

本当にほぼ何一つ仕事は停滞しないから(断言)。

サービス業や接客業など一部の職種を除けば、そもそも、会社に行かなければ仕事が始まらないというシステム自体、すでに昭和の時代で終わっているのです。
わざわざ満員電車に揺られて会社。
わざわざ紙を無駄遣いして会議。
わざわざ上司のために資料作り。
全部ムダです。一つ残らず、やめても何一つダメージはありません。あると勘違いしているだけです。このあたりの話は『本気論・本音論TV』でもご紹介した堀江貴文氏の

99%の会社はいらない
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にももっと痛快に書いてあります。絶対に反論できないことばかり。

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政府が本気で「働き方改革」をしたいのであれば、簡単な方法があって、
強制的に
「会社に行かないくていい日」
「会議をしない日」
を作らせて1部上場企業の意識を変えてしまうことが大事です。どれだけ日本人が「思い込み」でやらなくていいことをやっているか痛感するはずです。
結局「株式会社」なんてものは「会社に利益をもたらせばそれでいい」という大原則に立ち戻るべきです。私はそもそも「育休」とか「産休」なんて制度自体が全然いらないと考えている人間ですが、まぁその話はいずれしますね。

今回の話と通じる話です。