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そうして次回の講義のお知らせとその優待チケットが配られ、講座は終了した。 約2時間。長い時間だったようにも思えるし、もっと短かったようにも思える。 他の母親達が、目を輝かせてさっきの講座の感想を交わしているのを、居心地の悪い思いをしながら由美香は眺めている。 ・・・そりゃ、話はたしかにもっともらしかったけど・・・いくらなんでも・・・。 まあ、ごちゃごちゃ考えても仕方が無い。こんなところ二度と来なければいい話だ。帰って美優を迎えにいく準備をしなくては。 由美香が麻衣を探そうときょろきょろとしていると、 「・・・・・・由美香さん、でしたか」 帰りかけたところで、突然、講師−−猪山に呼び止められる。 「・・・少しお話があるのですが、お時間はよろしいですか?」 「え・・・でも・・・子供を迎えに行かないと・・・」 「ほんの少しです。今日の講座にご無礼があったかもしれないので、そのご説明も兼ねまして・・・瑞希さんも、お呼びしていますので、お二人だけに話があります」 ・・・瑞希さんも、か。 ちょうどいい。ここで瑞希の弁護士としての能力を生かしてもらって、この講師に少しお灸を据えてもらおうか。 「・・・わかりました」 由美香は彼とそのアシスタントに先導されて、『特別カウンセリングルーム』と看板の掲げられている部屋に入った。 その部屋には来客用のソファーが二セット向かい合わせに並べられ、中央にテーブルが配置するオーソドックスな接客室のつくりになっていた。 瑞希は既に着席している。 「では、お飲み物を取って参りますので、しばしお待ち下さい」 猪山はそう言うとドアを閉じた。 由美香が瑞希の隣に座ると、瑞希がちらりと由美香の方を見た後、話しかけてくる。 「・・・由美香さん。あなたも呼ばれたんですか?」 「瑞希さんは何で?」 「・・・私は、・・・あなたには特別なレッスンが必要だからって・・・」 「・・・って瑞希さん、あんな男の言うこと真に受けて一人でこんなところに来たら大変なことになりますよ?」 「・・・え・・・そうですか・・・?」 瑞希の目はどこかまだ熱っぽく、白い頬もうっすら上気している。 「でも、じゃないです!今日やらされたこと、よく考えてくださいよ・・・」 私は彼女を説き伏せるように今日起こったことを順繰りに説明していく。妙なビデオを見せられて、気がついたら眠っていて、全員が赤ん坊の真似事させられて、初対面の女性相手に胸をむき出しにさせられて・・・。 「・・・そういわれれば・・・変ですよね・・・」 「変、変、大いに変です!」 由美香の熱弁を受けて、彼女の瞳に次第に光が戻ってくる。と、同時に彼女の顔が赤くなったり青くなったりする。今日自分がやってきたことを改めて思い出してきたのだろう。 うん、大分彼女は正気に戻ってきた。 由美香は心理学を大学の教養課程で選択していたので、少し社会心理学や催眠に関する知識がある。あの男のやり方はいわゆる集団心理や催眠のトリックをつかった誘導だろう。そうでもなければ自分は勿論、あの瑞希があんなことを唯々諾々とさせられてしまうわけがない。 「・・・で、私がここにきたのは、あの人の話をきくためじゃありません。逆にとっちめてやろうと思ってるんです。瑞希先生、こういうのって、どういう罪になるんですか?」 「・・・先生はやめてください。こんなところで・・・」 瑞希は形の良い顎を指でつまむように少し考えた後、 「可能性があるところでは準強制わいせつ罪・・・あるいは無断で催眠をかけたということで傷害罪。他にも条例レベルの話や民事にひっかかるでしょうか・・・」 「・・・えーと、私は難しいことはわからないけど、そこら辺で行きましょう」 瑞希はこくりと頷いた。 「・・・なるほど、お二人とも先ほどの講座のやり方に異論があるというわけですか」 「異論もなにも・・・こんな内容だとは聞いていませんでした」 「確かに。前もって内容を申し上げると効果が薄いので、入門講座の体験者の方には未経験者の方に内容を申し上げずに勧誘するようにお願いしています」 ということは麻衣も「体験者」だったというわけか。 ・・・確かに彼女の今日の講座への没入っぷりを見るとそれも納得がいく。 「それに・・・あなた方はもちろん、他の方々も自分から進んでおやりになっていましたでしょう。これは決して無理やりではありませんよ」 瑞希は艶やかな髪の毛をかきあげ、冷ややかに猪山をねめつける。いつもなら由美香には不愉快な癖だが、今度ばかりは非常に頼もしく見える。 「・・・猪山先生、でしたかしら。相手を催眠状態に陥れて無理やり猥褻なことをさせると、準強制わいせつ罪が適用されますよ。常識や公序良俗に照らしても、こんないかがわしいセミナーは如何なものかと思います。・・・もし先生がこうしたセミナーを続けるようでしたら、自分たちのことは勿論、このような被害を受ける人間がこれ以上出ないよう、こちらとしてもそれなりの手続きを進めることも検討しようかと思っていますが」 瑞希の静かなる恫喝にも、猪山はあくまで冷静だ。まあまあ、と言わんばかりのジェスチャーをする。 「さすがは若くて切れる弁護士として有名な方だけはありますね。正直、私は法律は不勉強なのですが。・・・瑞希先生。さきほど、猥褻なことをさせられた、と仰いましたね」 「・・・植松、で結構です。・・・はい、申し上げました」 「猥褻といいますと・・・先ほど上着を脱いでおっぱいを由美香さんに上げたことをおっしゃっているのですか?」 「・・・そうです」 瑞希が少し顔を赤くして頷く。 「ですが、たしか法律で言う猥褻は、他者に性的な劣情を催させたり、性的羞恥心を催させたりする行為に当てはまると聞いたことがあります。・・・例えば、公園でお母さんがおっぱいを赤ちゃんにあげるためにおっぱいをむき出しにしても、おそらく公然猥褻罪は適用されませんよね・・・」 猪山は笑みすら浮かべている。 「・・・そういうケースでは・・・確かに適用は難しいかもしれませんけど・・・」 「正に先ほどあなた方なさった行為は、そうした親子の崇高な愛情行為です。決して性的な劣情を催させる猥褻なものではありませんよ」 「で、ですが、そもそも無断で催眠にかけること自体が傷害罪の・・・」 少し声を荒げかかる瑞希の顔を猪山の手が覆う。 「・・・瑞希さん、少し落ち着いて・・・眠りましょう・・・」 猪山が手を下にずらすと、瑞希の瞼はすっと落ちてそのままソファーに沈み込むように眠る。 「ちょ・・・猪山さん。あなた・・・!」 猪山の視線が由美香を射抜き、その声が由美香の鼓膜を叩く。 「由美香さんは、しゃべれない」 「・・・・・・・・・・・・!!!」 由美香は口をぱくぱくさせて声を出そうとするが、全く声がでなくなってしまう。 「そう、由美香さんは身体が重くなる。手も足ももう動かない。そう、そのソファーは磁石。由美香さんは釘。由美香さんはそこから動くことができない・・・」 立ち上がろうとした由美香は途端にそのソファーに引きずり落とされるようにしゃがみ込み、全く動くことができなくなってしまう。 「・・・落ち着いてください、由美香さん。無理な抵抗さえしなければ、貴方の身体は楽になります。ですが、無理に立ち上がろうとしたり、私に殴りかかろうとすると、途端に身体は重くなってしまいます。だから、楽にしてください・・・」 由美香は数分間無駄な抵抗をしていたが、自分の身体が完全に猪山の支配下にあることを理解したのか、大人しくなった。しかし、その視線は怒りに燃えている。 「・・・猥褻・・・猥褻ですか・・・うーん、私には分かりかねますねえ、そうした法律の線引きは・・・」 猪山は瑞希の頬を撫でながらとぼけたようにうそぶく。 「・・・そうですね、折角ですから、弁護士先生の考える猥褻を見せていただければ、いい勉強になるかもしれませんね」 猪山は瑞希の耳元で囁く。 「瑞希さん、目を開けて立ち上がりましょう・・・ただ、目を開けてもあなたの心は深い眠りについたままです・・・貴方には私の言葉しか聞こえない・・・ただ私の声に従う操り人形です。いいですね・・・さん、にぃ、いち、はい」 猪山が手を叩くと同時に瑞希の目はゆっくりと開かれ、ソファーから立ち上がる。瞼は半開きで、その瞳はガラスのように何も映し出しておらず、口元は少しゆるんでいる。 猪山は彼女を由美香の前に立たせる。 「・・・瑞希さん、由美香さんが見えますね」 「・・・はい・・・」 瑞希は虚ろな声で猪山に答える。 「これは由美香さんに似ていますが、由美香さんではありません。由美香さんにそっくりのお人形です。本当の由美香さんは、貴方がトイレに行っている間に家に帰ってしまいました・・・」 「・・・お人形・・・」 猪山の唇が片方だけ笑う形になる。 「そう、今から瑞希さんは、私に『猥褻』とは何かを聞かれます。そうしたら、瑞希さんは由美香さんの姿をした人形と自分の身体を使って、『猥褻』ということを私に教えなくてはいけません。そうしないと彼は納得しませんし、弁護士としての職務を達成することができません。いいですね。瑞希さん。貴方の考える最上級に『猥褻』なことをしてください」 「・・・わかりました・・・」 従順にこくん、と頷く瑞希。 「さて、と」 猪山は今度は由美香に向き直り、耳元で囁く。 「由美香さん。貴方は今から瑞希さんにえっちなことをされます。それは今まで貴方が経験してきた全てのえっちな快感の何十倍も何百倍もの快感を貴方にもたらします。・・・わかりましたね?」 由美香は首を横にふり、いやいやをするような仕草をする。 「・・・いやですか。まぁ、我慢できるんであれば我慢していただいて結構ですよ。こちらとしてはそっちの方がかえって面白い結果になるような気がしますから。ただ、貴方は意識ははっきりしていますが、身体も、表情も、お人形さんになってしまいます、ですから、自分から積極的にしゃべることはできませんし、怖い顔もできません。一応声を出すことができますが、出せる声は喘ぎ声だけで、言葉をしゃべることはできません。そして瑞希さんの動きを拒否するような行動は愚か、手足を動かすこともできません。ただ、瑞希さんになされるがままのお人形になります。・・・さあ、私の手を見て・・・私の手が由美香さんのお腹を押すと・・もう・・・由美香さんの身体はいつもより十倍も百倍も敏感なお人形さんになってしまいます・・・・・・ほら!」 猪山の手がスカート越しに由美香の下腹部に触れると、由美香は「あ・・・」と声を出しながら一瞬身体をびくっとさせたが、それ以上動くことはできない。その白い頬が少しだけ赤く染まり、瞳から怒りの色がすぅっと薄れ、ガラスのような瞳に変わる。・・・ただ、意識ははっきりしているはずだ。腹の底は猪山への怒りで煮えくり返っているに違いない。 猪山は奥の戸棚からテーブルクロスを持ってくると、由美香の身体を覆うようにかぶせ、瑞希に着席させる。そして虚ろな瞳をしている瑞希の目の前で手をパンと叩くと、瑞希の瞳に光が戻る。 「・・・あ・・・」 「・・・どうなさいましたか?瑞希さん」 「・・・あれ・・・私・・・」 「お疲れですか?」 首を少しひねりながら、瑞希は答える。 「いえ・・・頭はすっきりしているんですけど・・・あれ?由美香さんは?」 きょろきょろと辺りを見渡す瑞希。当然、隣のソファーに掛けられたテーブルクロスの下に本人がいるとは思いもよらない。 「由美香さんは瑞希さんがトイレに言っている間に帰ったじゃないですか」 「え・・・ああ・・・そうでしたね・・・」 なんでそんなことを忘れていたのだろう。瑞希は自分でも疑問に思う。 「それより瑞希さん、さっきの話の続きですが・・・」 「さっきの話?」 「『猥褻』の話です」 猪山が楽しそうに笑いながら言った。 「・・・私は講座でロールプレイを重視するので、時として、瑞希さんが不愉快に感じられたことを受講生の方々にやらせてしまうことがあるわけです。私は大変このプレイは重要で、多くの受講生の方には納得していただけていると信じているのですが、確かに瑞希さんの仰るとおり、時として『猥褻』扱いされて、ことによっては当局からにらまれたり、一部の受講生の方から誤解を受けてしまうのではないか、と危惧もしています」 「そこまでわかっているならさっさとこんなことは・・・」 「いえ、これは私の研究の結果、母親に真の愛を取り戻していただくには絶対に必要なことなんです。・・・ただ、私はいつも疑問だったんですよ。何が猥褻で、何が猥褻でないのか。そこで先生」 猪山はコップの水を飲むと、 「・・・先生が思う『猥褻』を、私に見せてはもらえませんか?」 「え?」 瑞希は狼狽する。 「・・・そんなもの・・・見せるものでは・・・・・・」 「いえいえ、わかっています。ですが、瑞希先生。実際に目の当たりにしないとわからない、ということもあるんですよ。・・・女性であり、母親であり、かつ優秀な弁護士でもある瑞希先生が、何が猥褻にあたるのかを実演して頂ければ、私も今後受講生の方々を困らせることも無いと思うんです。・・・助けると思ってお願いできませんか?」 あまりにも非常識な猪山の申し出だったが、瑞希は真剣に悩んでいる。 ・・・確かに・・・実際に『猥褻』が何かを見せたほうが・・・いいのかもしれないけれど・・・でも・・・。 瑞希は落ち着きのなさそうに黒いスーツの裾をいじり始める。 「・・・瑞希先生」 猪山の瞳が瑞希の瞳を捉える。 「・・・あ・・・」 猪山の瞳を見た途端、瑞希の頭からすぅっと何か大事なものが抜け落ち、代わりに与えられた暗示が浮かび上がってくる。 ・・・そうだ。確かに・・・見せたほうがいい。彼のように・・・そういう常識的な善悪が分からない人間もいる。・・・そういう人間に社会の秩序のあり方をきちんと理解させるのも・・・法曹たる自分の仕事のうちだ・・・。 沈黙は1分ほどだっただろうか。 「・・・わ、・・・わかりました・・・。で、でも・・・ここで・・・・・・ですか?」 瑞希は落ち着きなくあたりを見る。少し広めの応接間には自分と猪山しかいない。 「そうですね。じゃあ私の前に立ってもらえませんか?」 「は、はい・・・」 瑞希は猪山に言われるままに立ち上がる。 「・・・では・・・まずは普段絶対に見知らぬ男の人には見せないような、瑞希先生の部分を見せてもらえませんか?普段見せない部分・・・それは猥褻の一要素である気がします」 「・・・見せない・・・部分・・・」 瑞希はごくりと唾を飲み込んだ後、つつっと両手をタイトスカートの裾に寄せる。そのまましばらくたった後、彼女はゆっくり、ゆっくりとその裾をめくりあげていく。 膝上十数センチのところまで来て、彼女の手が止まる。ちらりと猪山の方を見る。猪山は・・・ソファーに座ったまま腕を組み、淡々とした表情で瑞希の振る舞いを見守っている。 瑞希はその視線の圧力に気圧されるかのように裾を捲り上げた。 形のよいすらっとした、それでいてボリューム感のある太腿。そして瑞希の大事な部分を覆うベージュ色の下着・・・それらが黒い艶のあるストッキングにつつまれ、猪山の眼前に晒される。 「・・・瑞希先生、今の状態を説明してください」 彼の視線を浴びていると、瑞希はなぜか拒否することができない。 「・・・あ・・・わ・・・私は・・・今・・・猪山先生に・・・猥褻ということは何かを教えるために・・・スカートを・・・捲り上げてます・・・」 「・・・それは、猥褻なのですか?」 「・・・わ、猥褻でしょう!」 瑞希の怒鳴り声に猪山はうーん、と考え込む。 「・・・しかし、風でスカートが捲れてしまい、スカートの中が見えてしまうことなんてよくあることですよね。あの方々は公然猥褻でつかまってしまうのですか?」 「それは・・・」 「・・・もっとわかりやすい例を見せてもらえませんか?」 ごくん。瑞希はあせりを隠すかのように片手で髪の毛をかきあげ、意を決したかのようにストッキングとショーツをずり下げる。彼女が恥ずかしそうに隠していた手をどけるとうっすらと淡い陰りが現れ、彼女の白い肌の表面に漂っているのがわかる。その白さとは逆に、瑞希の頬は羞恥で真っ赤に染まっている。 猪山は何も言わない。 その暗黙を不服ととったのか、瑞希はすとんとソファーの上に座り込み、そのまま太腿をソファーの手すりにかけるかようにゆっくりと広げる。 ・・・おそらくは、夫以外に、いや、あとは過去の数名の恋人以外に見せた事がないであろう、彼女の秘裂と、菊座が猪山の前に晒された。 「・・・なるほど、これが『猥褻』というものですか・・・」 「・・・あ・・・だ・・・駄目・・・」 猪山がソファーから腰を浮かし彼女に向かって手を伸ばしかけた瞬間、彼女は股を閉じ、瞬時に下着とストッキングをはきなおし、スカートを元に戻す。 猪山はわざとらしく肩をすくめる。 「困りますね・・・瑞希先生。それでは何が猥褻だったのかよく分からないではないですか」 「で、でも・・・い・・・いくらなんでも・・・」 本当に困った様子の瑞希。 ・・・そう、これはこれでいい。 こうやって彼女の心理に負い目を持たせるのが、猪山の指示の目的だった。 「・・・ご、ごめんなさい、猪山先生。私やっぱり・・・」 歯切れの悪い瑞希に、猪山はあくまでにこやかに、 「ああ、私もそこまで無理は申しませんよ。ただですね、実は、我々の講座では母子の愛の更に次のステップとして男女の愛を講義する講座がございまして・・・」 猪山は瑞希の隣のソファーにかけられたテーブルクロスを取り除く。 「こういう人形を用意しております」 瑞希は、そこに座らされている由美香−−いや、よく似ているが由美香の人形−−をまじまじと見つめる。 「・・・・・・これって・・・その・・・」 「・・・ああ、ご存知ですか。そう、独り身の男性が慰めるのに使う・・・いわゆるダッチワイフの高級版ですが」 瑞希は由美香の頬をおそるおそる触ると、由美香がぴくん、と反応する。 「あ!」 「ああ、びっくりなさいましたか。最近のは非常に性能がよくてね、優しくしてあげると反応を返すんですよ。ご存知ありませんでしたか?」 「・・・そんなこと、私が知るわけないじゃないですか!!」 瑞希が声を荒げる。 「ああ、失敬。それもそうでしたね。・・・で、女性型しか用意できなかったので申し訳ありませんが、この人形を使って実演していただけませんか?」 「・・・え・・・」 「・・・先ほどの実演では、よくわかりませんでしたので、ね」 瑞希としても、さっき猪山に「猥褻」を見せられなかった自分の不甲斐なさが負い目になっている。・・・彼女は、既に猪山の詐術と暗示にずるずると引きずりこまれつつあった。 「・・・・・・・わかりました」 瑞希は少し声を震わせながらゆっくりと由美香の方へと身体を寄せ始めた。 「・・・・・・」 瑞希はしばらく躊躇した後、思い切ったように目を瞑って由美香に黙ったままキスをしかけるが、猪山はそれを止める。 「あ、ちょっと待ってください。その人形は偶然『由美香』という名前なんです。だから、そう呼びかけてもらえませんか。そうすると人形も喜ぶんで」 喜ぶだなんて、そんな馬鹿な・・・と思いつつ、瑞希は彼の言うことに従う。 「・・・由美香・・・さん・・・」 つい、普段の癖で「さん」をつけてしまう。瑞希は由美香の軽くウェーブのかかった髪の毛を撫でると・・・唇をそっと合わせる。柔らかく湿った由美香−−の人形−−の感触が、瑞希の唇に伝わる。 ・・・すごい・・・人形なのに、体温がある・・・。瑞希は由美香の頬をそっと押さえて、丹念にベーゼをしていく。 「・・・んふ・・・」 「!」 人形である由美香が突然鼻にかかった声を出し、瑞希は思わずのけぞる。猪山が近づいて瑞希に注釈をいれる。 「・・・リアルでしょ。本当の人間とそっくりなんです。だから、一々驚かず、優しく、本物の由美香さんに接するように『猥褻』なことをしてあげてください。ね?」 「・・・か、彼女に猥褻なことだなんて・・・」 改めて瑞希は由美香の顔を見つめる。 由美香さんって・・・こんなに綺麗な顔してたんだっけ・・・。瑞希は戸惑いつつも唇を再び寄せる。 さっきよりもより激しく・・・舌先で由美香の唇を割り、ねちょねちょと彼女の口腔を貪る。 あ・・・由美香さんの舌・・・柔らくて・・・甘い・・・。 同性との、しかも普段見知った顔とのキスをしている背徳感が、瑞希の理性を次第に麻痺させていく。瑞希はより一層自分の舌を捻りこんでいくと、心なしか由美香の舌が彼女の舌に反応してまとわり付いてくるようだ。 どれくらい長いキスだっただろうか。瑞希が名残惜しむかのようにゆっくりと唇を離すと、互いの舌が解け、混じり合った唾液が唇と唇からあふれ出す。 瑞希が視線をふと落とすと、洋服の上からもはっきりとわかる由美香の胸が視界に飛び込む。 瑞希はごくっと唾を飲みながら、由美香の上着のボタンを外しブラをずり下げ、そのふくよかな胸を曝け出す。 「由美香さん・・・おっきい・・・」 瑞希が下から包み込むように由美香の乳房を揉みくだすと、白く大きな由美香の乳房は形を次々と変えていく、瑞希は自分と由美香の唾液でべとべとになった自分の唇を由美香の薄紅色の乳首に擦り付ける。由美香の乳首が次第に勃ちあがり、瑞希の舌先の動きに合わせてくにゅくにゅと動く。瑞希は乳首からさらに乳房全体へとキスの範囲を広げ、舌を這わせ、没頭するかのように舐めまわす・・・。 さっきまでキスをするのも躊躇していた奥手ぶりはとうに消えている。猪山を啓蒙するという目的も忘れ、ただその柔らかい肌と肉の感触に瑞希の官能が支配されていることは、彼女の潤みきった熱っぽい瞳を見れば明らかだった。 ちゅぱ・・・じゅぶ・・・じゅる・・・。高級なソファーの上で楚々とした女性が人目をはばかることなく美女を嬲る姿・・・。それは確かに、猥褻という言葉に相応しいものかもしれない。 瑞希は由美香の片方の胸の乳首を左手でこりこりとつまみ上げ、右手は由美香のスカートをまくりあげ、ショーツとストッキングの上から彼女の花芯と淫裂をこすり上げる。 「ん・・・あ・・・あああ・・・」 さっき、母親と赤ん坊になりきった時とは違う、より濃厚な瑞希の責めに、堪えられなくなった由美香が少しずつ喘ぎ声をあげ始める。・・・もとより、100倍の快楽が、行動を著しく制限された彼女の内面を駆け巡っているはずだ。もし言葉と動きを封じられていなければ、もっと激しく喘いでいる事は間違いないだろう。 「由美香さん・・・由美香さん・・・」 そんなことは知る由もない瑞希は、さらに由美香の下半身に『猥褻』なことをするべく、床にへたりと座り込むと、由美香のストッキングに包まれた白い脚を広げさせソファーの上に乗せる。短めのスカートが捲くれ上がり、その空間に充溢していた由美香の雌の香りが瑞希の鼻腔をくすぐる。 「・・・由美香さんも・・・こんな風なのかな・・・」 瑞希が由美香のストッキングとショーツを脱がすと、彼女の濡れそぼった淫裂が瑞希の眼前に現れる。その卑猥さとグロテスクさが混じりあった形状の由美香の秘部からは、瑞希のキスと愛撫を受けて蜜がとろとろとあふれ出している。女性の性器をまともに見るのが初めてな彼女は、赤面しつつも思わずマジマジと見つめてしまう。 「・・・ん・・・んは・・・」 やがて瑞希は舌先で由美香の肉襞の皺を一本一本広げるかのように舐めまわし、一方で爪を立てないように慎重に由美香の雌蕊を刺激する。 「・・・んなあぁ・・・あふぅ・・・んあぁ・・・!!」 その瞬間、瑞希の喘ぎ声が間欠泉のように漏れ出し、とろりとした粘性のある愛液が次から次へと瑞希の舌先に零れ落ちてくる。由美香の身体が震え始める。その陰に潜んだ淫性がにじみ出てくるかのように、光を失った由美香の瞳からは涙が溢れてくる。 「・・・もっと・・・もっと気持ちよくなって・・・由美香さん・・・ん・・・」 「あ・・・あ・・・んあ・・・あ・・・あああああああああ!!!!」 瑞希の指が膨れ上がった由美香の雌蕊を絞り上げた瞬間、由美香は絶叫し、そのまま糸の切れた人形のように動かなくなった。 絶頂に達した由美香を前にして、呆然と・・・あるいは陶然としている瑞希に、猪山はぱちぱちと拍手を送る。 「・・・素晴らしかったです。なるほど、これが猥褻というものですか。いや、非常に勉強になりました。さすがは優秀な弁護士先生。分かりやすい説明も心得ていらっしゃる・・・」 「・・・これで・・・わかって・・・もらえましたか・・・」 瑞希はきっと猪山を睨みつけたつもりだったが、彼女の頬も興奮で紅潮し、目はとろんとして、唇は唾液と愛液でぬらぬらと艶やかに濡れている。表情、仕草、その醸し出す雰囲気・・・。その何もかもが、手慣れた高級娼婦のように、典雅でありながら淫猥なものと化している。 「・・・ええ・・・ですが、少し自信が無いので・・・瑞希先生」 「・・・はい・・・?」 猪山は床に座り込んでいる瑞希を立ち上がらせて、抱きしめると耳元で囁く。 「・・・・・・私が本当に猥褻を理解したかどうか、瑞希先生の身体を使って確かめたいのですが、よろしいでしょういか?」 淫猥な空気に呑まれ、理性の麻痺した瑞希の脳髄に、猪山のお願いを装った命令が絶対的なものとして染みこんでいく。 「・・・わかりました・・・。どうぞ・・・私の身体を使って・・・あなたの思う猥褻を・・・私にしてみてください・・・」 「いいんですか?私は貴方の夫でも恋人でもありませんよ?」 あえて意地悪な質問をする猪山。 「・・・いいんです・・・これも弁護士の務めです・・・夫も・・・分かってくれます・・・」 瑞希は熱に浮かされたようつぶやきながら、とろんとした目を猪山に向けて、嫣然と微笑む。 猪山は瑞希の胸を白いブラウスの上から撫で回す。 「んふぅ・・・」 瑞希の口元が緩んだ瞬間、猪山は彼女の唇を奪い取る。 「・・・んんん・・・んぁ・・・」 一瞬抵抗するかのような仕草をするが、すぐに彼女の身体は弛緩し、猪山に全ての体重を預けてくる。猪山の舌が瑞希の唇の中を蠢くと、瑞希の舌が、違う生き物のように−−それも発情期の雌が雄を見つけたかのように−−猪山の舌に絡みつく。 その間にも猪山の手は彼女のブラウスを剥ぎ取るように前をはだけさせ、ブラの下に手をもぐりこませ、乳首の先をこねくりまわしつつ、彼女の乳房の柔らかさを愉しむ。 ごく・・・ごく・・・ごく・・・。 猪山は瑞希の口の中に唾液を注ぎこむと、彼女はそれをあたかも甘露を与えられたかのように、いとおしげに飲み干す。 猪山が口を離すと、彼女は荒く息をつく。 「ぷはぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」 「・・・瑞希先生、由美香さんのお人形の前に手をついてもらえますか?」 「・・・こ・・・こう?」 由美香はさっきイッたときのまま、股を大きく開いてソファーに座っている。瑞希がソファーに手をつくと、由美香の光を失った瞳が目の前に来る形になる。一方、彼女の形の良い臀部と脚は、その芸術的な曲線美をアピールするかのように猪山の前に突き出される。 「・・・・・・」 「・・・ね・・・ねぇ・・・何を・・・」 猪山はゆっくりと彼女のスカートをめくり上げ、黒いストッキングだけをずり下ろすと、その白い太腿に垂れ落ちる液を掬い取り、濡れた指を瑞希の前に突きつける。 「・・・これは・・・何ですか?瑞希先生」 「・・・あ・・・それは・・・私の・・・恥ずかしい・・・液です・・・」 瑞希は猪山が指示もしないのに、唇で猪山の人差し指を咥え、その液を舐め取る。 「・・・おやおや、もう感じてしまったわけですか。私はキスしかしてないのに・・・」 「・・・で・・・でも・・・猪山先生の・・・キス・・・すごく・・・わいせつ・・・」 甘く鼻に掛かった声を出して媚びる瑞希。 「・・・駄目ですよ、先生。これからが本番ですから・・・」 猪山が瑞希をじらすかのようにゆっくりとスラックスを脱ぐと、彼の屹立した陰茎が彼女の目の前に突き出される。 「あ・・・あふ・・・お・・おっきい・・・」 由美香はその陰茎の先からあふれ出す液をちろちろと舌先で舐める。そんな瑞希の媚態に対して、猪山の声はあくまで静かだ。 「では、瑞希先生・・・私にお願いすることはありませんか?」 陶然とした表情の瑞希は、猪山に上目遣いをして、 「あ、・・・その・・・あの・・・し、してください・・・」 「瑞希先生、もっと猥褻にお願いします」 「あ・・・はい・・・。あ、あの・・・・・・い、いのやませんせい・・・その・・・太い・・・おち○ちんで・・・私の・・・ぐしょぐしょに濡れた・・・いやらしいお○んこを・・・ぐちゃぐちゃに突き刺してください・・・。そして・・・私の身体を・・・その白い液で・・・精子で一杯にしてください・・・いやらしい瑞希に・・・瑞希に・・・おち○ぽください・・・」 卑語交じりに懇願する瑞希。もし彼女の同僚がその言葉を聞いても、しれがあの瑞希の口から出た言葉とは誰も信じないだろう。 猪山は嘲るように、 「・・・中に、ですか。瑞希先生、子供ができたらどうするんですか?」 「え・・・あ、・・・でも・・・今日は・・・大丈夫な日だから・・・」 「へぇ、大丈夫な日なら中出しをねだるんですか。これは淫乱な弁護士先生ですね・・・」 「いや・・・そんな意地悪なこと言わないで・・・ねぇ・・・お願い・・・」 瑞希はこらえきれなくなったように腰をくねくねと動かし始める。 「・・・旦那さんはなんというんでしょうねえ、こんな瑞希先生を見て・・・」 「あぁ・・・そんな・・・今・・・夫のことは・・・言わないで・・・」 その背徳感がかえって瑞希の官能を刺激したのか、彼女のクレバスから液がたらりと垂れ白い太腿を伝っていく。 「・・・わかりました。まあ瑞希先生には今日非常にお世話になりましたから・・・淫乱な雌にご褒美を上げましょう・・・」 「はい・・・瑞希は・・・瑞希は淫乱な雌です・・・猪山先生・・・どうかお願いします・・・・・・」 瑞希は霞がかった目で、虚ろに呟く。 猪山は瑞希の腰に手をあてると、自分の猛ったモノを一気に彼女の淫裂に突き刺した。 「んあ!あぁ・・・」 その瞬間、身体を震わせ、欠けていた自分の部分が充足されたかのような表情をする瑞希。 ぬちゃ・・・ぬちゃ・・・ぬちゃ・・・。 猪山が前後に動くと、熱を持った彼女の膣の内襞は彼の動きに逆らうかのように蠢く。その動きが猪山にも痺れるような快感をもたらす。彼女の身体から吹き出る淫臭が、猪山の思考も麻痺させはじめたかのようだ。彼は、彼女の内壁を削りだすかのように腰を激しくグラインドさせる。 じゅ・・・じゅ・・・じゅ・・・。瑞希の愛液が一層激しく分泌され、猪山の陰茎の動きを滑らかにしていく。彼の手がまろびでた瑞希の乳房をはげしくこねあげると、瑞希の口から「あ・・・あん・・・なああ・・・」と嬌声が激しくあがる。パンパンパン・・・猪山の腰と瑞希の白い尻肉が激しく叩き合わされ、乾いた音をたてる。そのたびに猪山の亀頭が彼女の子宮口を突くかのような錯覚に彼女は囚われ、自分から腰を激しく動かす。 「・・・瑞希先生、旦那さんとどっちがいいですか?」 「・・・あ・・・あふぁ・・・そ・・・そんなの・・・いえない・・・」 瑞希はいやいやをするかのように暫く口元を閉じていたが、猪山が激しく突き上げると、あっさりと陥落する。 「あぁぁああ!!猪山先生のほうが!猪山先生の方がずっと・・・ずっといいです。猪山先生のおっきなのが、私の中でじゅくじゅくいって・・・あぁああ・・・」 「・・・ふふ・・・瑞希先生・・・由美香さんがいやらしい貴方の顔を見てますよ・・・」 「い・・・いや・・・由美香・・・見ないで・・・」 瑞希は虚ろな顔の由美香の頬を両手で挟むと、唇に自分の舌を突き刺し、激しく由美香の唇を貪る。「・・・んん・・・」と呻くように由美香の声が上がる。 猪山はその二人の様子を見て、暗示を更にかける。 「・・・由美香さん。わたしが三つ数えると貴方は声を自由にあげることができる。身体も動かすことができる。だけどもう貴方の頭は淫乱なことしか考えることができない。さっきの100倍の快楽がさらに100倍になって、貴方の身体からあふれ出す・・・いち・・・にぃ・・・の・・・さん!」 「あああああああああ!!!!」 由美香の身体がびくんと跳ね、瑞希の頭をかき抱き、むさぼるように二人は激しくキスを交わし、耳たぶを噛み、乳房を揉み、頬を舐め合う。 ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ・・・。その間も猪山のグラインドは一層激しさを増していく。瑞希の膝が快感のあまりガクガクと震え、由美香の手は一方が瑞希の乳房に、もう一方は自分の膣肉をこねくりまわす。 「さぁ・・・・・・私が瑞希の中に出すと・・・二人ともいってしまうよ・・・もうすぐ・・・もうすぐだ・・・」 猪山もかすれそうな理性を振り絞って最後の暗示をかけると、自分の快楽を貪ることに没頭する。蠕動する瑞希の媚肉に彼の男根も翻弄され、限界に達しつつあった。 ずちょずちょずちょ・・・淫靡な音が何回か繰り返された後、最後、ずぶりと彼のものが杭のように瑞希の奥に叩きつけられ、白い精が、瑞希の子宮に注ぎ込まれる。 「・・・・・・・!!!」 「あ・・・あ・・・あ・・・ああああああああ!!!」 「んん・・・なぁ・・・あふああ・・・!!!」 瑞希の声に弾かれたように、由美香も絶頂に達し・・・二人の意識は今までに達したことの無い快楽の海に溺れていった。 気絶した瑞希をもう一方のソファに横たえると、猪山は激しく息をついている由美香に近づく。着衣は乱れ、乳房と性器を剥き出しにした彼女の白い肌のいたるところに、瑞希のつけたキスマークと唾液、そして愛液と汗がへばりつき、なめくじの這った跡のようにきらきらと輝いている。 「・・・由美香さん、如何でしたか?」 「・・・ふぁ・・・あ・・・は・・・気持ち良い・・・きもちいい・・・」 「・・・私のことを怒っていたのではありませんでしたか?」 「・・・ふぁ・・・な・・・なんで・・・それより・・・由美香にも・・・おち○ちん・・・」 由美香は猪山の股間に手を伸ばすと、精液と愛液でぬれそぼる猪山の男根をレロレロと舐め始める。今までに体験したことのない快感のショックからだろうか、猪山への怒りがそのまま情欲に転化したかのように、彼女は虚ろな笑みを浮かべている。 「・・・余計な心配は要らないようですね・・・」 瑞希の愛液に塗れた手で、猪山が由美香の首筋をさわさわと撫で回すと、由美香は「んあ・・・」と媚びた猫のような甘い呻きを漏らし、猪山の男根をいとおしそうに咥えこんだ・・・。 「・・・麻衣。感謝するよ。お前の友達は素晴らしい女性ばかりだ」 「・・・はひ・・・ふぁひふぁふぉふふぉふぁひふぁふ・・・」 夜。猪山の個室。 そのベッドの上で猪山はワインを飲みつつ、下半身をむき出しにして、麻衣に奉仕をさせている。トレードマークのポニーテールを下ろし、黒いレースのランジェリードレスにガーターストッキングを身にまとった麻衣は、その娼婦のような外見に相応しい技術で猪山のモノを刺激する。 昼間、あれだけの精を放った彼の陰茎は、再びたくましく屹立し、麻衣の甘い愛撫をうけてぬらぬらと濡れている。普段あどけない顔をしている彼女の瞳は、奉仕することの喜びを叩き込まれた淫乱な雌犬の情欲で潤んでいる・・・。 猪山は普段はごく真面目に教育講座の講師を務めているが、月に1度、こうした特別講座を開いては、自分の好みに合った女性を堕とすことを趣味としている。猪山の洗脳手法は催眠をベースにしつつ、化学物質や集団暗示等、様々なものをミックスした独自のものだ。先ほどの講座を手伝っていたアシスタントの女性達も、猪山がセミナーの受講生からスカウトした彼の操り人形である。 麻衣は以前にそのセミナーで猪山が目をつけて調教を施し、今や彼のお気に入りの愛奴の一人である。彼女はいまや夫とのセックスは一切しない。こうして自分のところで奉仕することと犯されることを何よりもの喜びとするように書き換えられている。猪山とのセックスは「真実の愛」だからだ。勿論、麻衣の夫も、こうして夜な夜な彼女が来て奉仕することを当然と思うように洗脳されている。夫婦の行いを彼等がしなくなって1年以上になる。おそらくこれからも永遠に無いだろう。 あの後・・・由美香にも肉棒を差し込んだ後、猪山は彼女達の替えの洋服をアシスタントに持ってこさせると−−いくらなんでもあそこまで体液に塗れたよれよれの服で子供を迎えに行かせるわけにはいかない−−記憶の整合性をとり、セックスの快感を彼女達の身体の奥底までしみこませた上で、暗示をいくつかかけた。−−今の快感は自分との交歓からしかもたらされないこと・・・自分とのキスと精液、セックスの味が忘れられなくなること・・・夫とのセックスを拒絶するようになること・・・自分がキーワードを囁くと洗脳状態に堕ちること・・・。 勿論二人はそんな記憶は一切残っていない。ただ、「非常にためになる講座だった」「今度また機会があれば行きたい」と思っているだけだ。今頃、愛する自分の子供と幸せな眠りについていることだろう。 しかし、その幸せは、もはや猪山に蹂躙されるためのかりそめのものに過ぎない。 「・・・これからも色々と楽しめそうだな・・・。麻衣。その時はお前も一緒だ」 「・・・はひ・・・」 とろ・・・と精液を唇からしたたらせて、麻衣は嬉しそうな笑みを浮かべた。 < 終 >
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