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【千葉】

<大人って…成人年齢引き下げ>18、19歳のホンネトーク (中)こんなオトナは嫌だご

 大人や社会に対して言いたいことを率直に語ってもらった。

 「こんな大人は嫌」という例を挙げてもらうと、船橋市などを拠点に活動するご当地アイドル「りなたん」(19)は「イエスマンが嫌だ。間違っていることは間違っていると言える事務所の先輩に、あこがれる」と話した。

 千葉商科大一年の山内寛也さん(18)は、文句を言ってばかりでは前に進まないからと、「口ばかりの人」を挙げた。館山総合高三年の鎌田麻里さん(18)は「マナーを守れない人」、上智大一年の葛巻朱里(くずまきあかり)さん(18)は「平気で人を傷つける人」と答えた。

 山内さんは週に三日程度、回転ずしチェーン店で働き、厨房(ちゅうぼう)で軍艦巻きを作っている。「アルバイトは楽しい。混み合う土日の夜はすごく苦しいが、やり終えると達成感がある」

 一方で、山内さんは「同じ学部に、スーパーで週六日働く人がいる。休み希望も全く通らないと言っている」と明かす。

 司会で、若者の労働問題に詳しい千葉商科大専任講師の常見陽平さん(42)は、長時間労働を強いられ、学業に支障をきたす「ブラックバイト」に言及し、「若い人がバイトで使いつぶされている」と指摘する。

 「りなたん」は実家暮らしの専業アイドル。ステージ活動と、グッズを売る「物販」で稼ぐ。「チェキ(インスタントカメラ)撮影は一枚千円。ファンのありがたみを感じる」

 鎌田さんは春に就職を控える。進学も考え、高校生対象の大学見学会に数回足を運んだ。ただ「大学に進学しても就職できるか不安があった。お金もかかる」とギリギリまで悩み、地元の信用金庫で働くことにした。

 大学の学費高騰や親の収入低迷で、奨学金を利用する学生は多い。国の貸与型奨学金の二〇一五年度の利用者は約百三十二万人で、大学や大学院、短大など高等教育機関の学生の四割を占める。鎌田さんも「周りで大学に行く人のほとんどが奨学金を使っている」と明かす。

 政府は昨年十二月、返還不要の給付型奨学金の導入を決めた。しかし対象は住民税非課税世帯で、給付月額は二万〜四万円にとどまる。

 月百時間を超える時間外労働を強いられた、広告大手、電通の新入社員だった高橋まつりさん=当時(24)=の過労自殺は、若者にどう映ったのか。

 山内さんは「日本の社会構造に問題がある。サービス残業が当たり前、有給休暇を取らないのも当たり前。そこを変えないと(過労死は)なくならない」と訴える。「りなたん」も「優秀だったからだと思うけど、一人に仕事を過剰に背負わせすぎだ」と語った。

 鎌田さんは「働くのが少し怖くなった。(高橋さんと)同じ立場なら、上司や先輩の指示には言い返せない」と話す。さらに「大人は若者の意見を聞いているようで、結局、思い通りにしようとしていないか」と語る。

 「過労自殺の報道で社会は怖いと思った」と話した葛巻さん。だが、東日本大震災で、浦安市の自宅が液状化被害を受け、市川市の知人宅で避難生活を送った経験から、社会に対する希望は、捨ててはいないという。「水や電気が使えなくなり、助けてもらった。私もボランティア活動や、社会に出て人を助ける仕事をしたい」

 

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