医療ミス「認めぬ江戸川病院、逃げ回る医師」内部告発で火葬直前に警察解剖

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   「とくダネ!」は1年近くも取材していた。東京・江戸川区の江戸川病院で、昨年11月(2011年)に死亡した患者が「医療ミスによるもの」と内部通報があったのだが、病院は否定し医師も無言で逃げ回るばかりだ。

カテーテル抜去数分後に倒れ死去―執刀医は「よくあること」

   死亡したのは60代の男性で、重度の腎不全で昨年10月29日に妹をドナーに腎移植手術を受けた。11月3日に医師がカテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり7日に死亡した。家族によると、手術の経過はよく、男性がベッドに座って家族と話をしていたとき、執刀の医師が来て首についていた透析カテーテルを抜いた。男性はその数分後に倒れ込み、心臓マッサージなどをしたが回復しなかった。医師は家族に「よくあること」といっていたという。

犯人探しとは…

   死亡診断書には「肺梗塞」とあったが、原因は空欄だった。遺族は患者の最後の様子から「医療ミスではないか」と主治医に聞いたが、「医療事故なんかじゃありません」と否定され、そのまま解剖もせず火葬に回された。

   ところがその直前、匿名で「医療事故です。いますぐ警察に司法解剖を依頼してください」と遺族に通報があって、火葬を中止して警察に知らせた。解剖の結果は肺動脈空気塞栓症。血管に空気が入って毛細血管に達すると、血流が止まり肺組織が壊死する。これが「肺梗塞」で病院の死因と同じだったが、解剖では原因は「カテーテルの抜去」とされた。

   専門家によると、カテーテルは太いので空気の流入を避けるため、通常は座ったままでは行なわないという。医療ミスが疑われるケースだが、取材に病院は一切答えなかった。主治医も答えず、いまは鹿児島にいる執刀の医師(カテーテルを抜いた)も電話に「不適切ではなかった」とだけしかいわない。

「とくダネ!」にも電話「「隠蔽体質だ。医療者としてどうかなと思って…」

   実は「とくダネ!」には早い時期に別に内部告発があった。複数の関係者が、「いいたくなるほどずさんだということ。世間に知ってもらわないと 病院もことの重大さを認識できない」「隠蔽体質だ。医療者としてどうかなと。やることが悪いし遅い。結果に責任を持たない。これでは医療は成り立たない。やっていけない」と話していた。

   この1月に病院は事故を受けた新たなマニュアルを作って「患者を臥床させる」「抜去時セキをしないよう説明」などとしていた。しかし、病院はこうしたことを一切公表せず、逆に院内での密告者探しが行なわれて、電子カルテを開いた記録を洗ったりしたという。

   日本移植学会は江戸川病院に対して、原因が判明するまで生体腎臓移植をしないようにと異例の勧告を出している。病院も9月に事故調査委員会を開いてはいる。

   取材にも加わった医療ジャーナリストの伊藤隼也は、「近年珍しいくらいひどい事件だなと思う」

   司会の小倉智昭 「カテーテルの抜き方に問題があったわけですよね」

   伊藤「重力がありますから寝かして慎重に抜くのが基本。委員会も構成メンバーに問題があったり、当の医師が出て来ていないとか。守秘義務を振りかざしたりもしている」

   小倉「しかも(内部告発の)犯人探しをしてる」

   伊藤「ミスを認めて改善するという常識がない。告発の電話がなければ、お葬式して終わりだった」

   これではやはり病院の名前を覚えておきたくなる。

文   ヤンヤン | 似顔絵 池田マコト
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