第1回で注目するのは、私たちの命を奪いかねない、いわば「キラーストレス」とでも呼ぶべきストレスのメカニズムです。脳科学や生理学など最先端の研究によって、ストレスが血管や脳を破壊したり、がんを悪化させたりするといった、人を病に陥れる詳細なメカニズムが明らかになってきています。
キラーストレスが突然死やがんをどのように引き起こしていくのか。そして、ストレスの状態を把握するにはどうしたらよいのか。世界の最新研究から分かってきた効果的なストレス対策についてお伝えします。
●キラーストレスとは
脳の扁桃体が不安や恐怖を感じると ストレス反応と言われる反応が始まります。
ストレスホルモンが分泌されたり自律神経が興奮したりします。そのために心拍数が増える、血圧が高くなるといった反応が起こります。これがストレス反応です。
一つ一つは小さくても、多くのストレスが重なると、キラーストレスともいうべき危険な状態に陥ります。
血管が破壊され、脳卒中や心筋梗塞、大動脈破裂を引き起こします。
最新の研究では ストレス反応は、心臓の筋肉を流れる血液が減少し心不全を引き起こす、がんを悪化させる、体内に入った細菌を増やして血管の破壊を起こすなど、命に関わることがわかってきました。
●ストレスが関係する病
ストレスがかかると自律神経の興奮やストレスホルモンが過剰な状態に陥り、さまざまな病気を引き起こしたり悪化させたりします。
ストレスが関係する主な病は、以下の通りです。
●ストレス対策
アメリカ心理学会は5つの対策を勧めています。
1)ストレスの原因を避ける
2)運動
3)笑う
4)サポートを得る
5)マインドフルネス
です。
運動については、「少し息があがる程度の早歩きなどの有酸素運動」を行うと脳の構造が変化し、自律神経の興奮が抑えられることがわかってきました。30分を週3回が目安です。もちろん、多く行うほど効果が期待出来ます。
ゆっくり歩くのではなく、息が上がる程度の負荷をかけることが重要です。「話ができる早歩き」がペースの目安です。
※マインドフルネスについては第2回で紹介します。
一年間に経験したイベント(出来事)を合計して、どれくらいストレスが蓄積しているかを把握する方法です。大阪樟蔭女子大学の夏目誠さんたちのグループが、日本でおこなった調査を基に点数を定めました。
以下の表で、この一年間で経験した項目にチェックを入れてください。
「合計を出す」ボタンをクリックすると合計点が出ます。
似たような内容の項目がありますが、迷ったときには最も点数が高いものを選んでください。
この一年間に当てはまるものにチェックを入れて、下の合計ボタンをクリックすると点数が表示されます。
点
合計点
260点以上:ストレスが多い要注意の段階
300点以上:病気を引き起こす可能性があるほどストレスが溜まっている可能性がある段階
点数は目安です。自分自身がどんなストレスにさらされているか、客観的に見つめることが大切です。
←トップに戻る