2016年11月1日から6日にかけ、中国広東省珠海市にて東アジア最大規模のエアショー「第11回中国国際航空宇宙博覧会」が開催されました。
【写真】対人比で見る本家「グローバルホーク」の大きさ
中国製J-20ステルス戦闘機の量産型とみられる機体が初めて一般公開され飛行展示を実施し、また将来型中国製旅客機の開発がアナウンスされるなど注目の新型機が目白押しになったことから、その入場券は7500円と現地におけるタクシー初乗り料金の30倍以上という高値にも関わらず、連日多数の観客を集めました。
「中国国際航空宇宙博覧会」の本来の目的は、航空、宇宙、防衛産業の見本市です。会場は航空機だけではなく、戦車やさまざまな戦闘車両、銃器など多数の兵器類も展示されました。こうしたなかにあって、中国国産ドローン(無人機)の充実ぶりは特に目を見張るものがあり、中国軍や輸出市場へ向けた無人機の開発、販売への高い意欲をうかがい知ることができました。
数あるドローンの展示において最も注目を集めたといえる機種は、このイベントで初めて実物大モックアップが一般公開された、成都飛機工業「雲影」でした。
「雲影」は、輸出も念頭に置いたジェットエンジン搭載型の高高度・長時間滞空無人航空システムであり、全長9.1m、全幅17.8mの機体に対して、レーダー、通信、可視光・赤外線センサーなどの諜報監視偵察システムを最大200kgまで搭載できます。
自衛隊へも導入予定となっている、アメリカ製ノースロップ・グラマンRQ-4「グローバルホーク」になぞらえ「中国版グローバルホーク」と報道するメディアもありましたが、「雲影」はかなり小さく、諜報監視偵察システムの搭載量は「グローバルホーク」のおよそ4分の1です。しかしながら「グローバルホーク」には存在しない武装偵察型「雲影」もあり、こちらは主翼下に最大400kgまでの誘導爆弾やミサイル類を懸架することが可能です。
「雲影」は620km/hの巡航速度で長時間(恐らく10時間以上)の飛行が可能という、広大な海洋の監視に適した性能を持っています。同機ないし同種の高性能ドローンが遠からず東シナ海上空へ頻繁に現れるようになることはほぼ間違いありません。中国機とみられる国籍不明のドローンが、すでに尖閣諸島近辺において日本の領空へ接近する事案も発生しています。
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