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新年企画「ハッピー」

(9)美星天文台

写真:「星が見えた」と喜ぶ子ども=井原市美星町大倉 拡大「星が見えた」と喜ぶ子ども=井原市美星町大倉

 山あいの坂道を抜けるとドームが見えてきた。井原市美星町大倉の美星天文台。澄んだ空気。辺りは足もとを照らすかすかな光しかない。美星町は1989年、全国で初めて光害防止条例をつくった「星空のまち」。2011年には沖縄県石垣市、長野県南牧村とともに「日本三選星名所」に選ばれた。

 天文台の目玉は101センチ反射望遠鏡。県内で一般公開されている望遠鏡で、最大級の反射レンズを備えている。「人の目の約2万倍もの星の光りを集められます」と綾仁一哉(あやにかずや)天文台長。肉眼では見えない遠く暗い星でも見える。

 望遠鏡をのぞくと、北西の空に「ガーネット・スター」が赤く輝いていた。天文台によると、太陽の約1400倍の大きさがあるとされる恒星で、そろそろ超新星爆発を起こすそうだ。

 ドームの外のベランダに出た。冬空に、織姫星(ベガ)とひこ星(アルタイル)で知られる「夏の大三角形」が見えた。天の川が広がっていた。

 南西の空に、「火球」のようなオレンジ色の筋が見えた。

国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」だ。光はゆっくりとのぼり、真上あたりで姿を消した。

 「一番星が見えた」。家族3人で来た広島県福山市の柳田秋人君(6)が声を弾ませた。昨年9月に天文台を訪れて以来、星が好きになり、天気予報を欠かさず見るようになったという。

 総社市の小野智史さん(36)と岡山市北区の明比亮子さん(32)は天文台を初めて訪れた。今月、2人は結婚する。亮子さんは星を眺めるのが好きで、以前から、智史さんと一緒に来たかったという。

 「心があったかくなりました。明るくきらきらした家庭を築きたい」。2人は満面の笑みを見せた。(高億翔)

 *

 <美星天文台> 井原市美星町大倉1723の70。開館時間は午前9時半〜午後4時。夜間は金、土、日、月曜のみで午後6〜10時。休館は木曜と祝日の翌日。300円。 電話 0866・87・4222

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