中央区は「35歳以上未婚女子」が集う街だった

「働く女子たち」は東京の街を変えるのか?

中央区では、35歳以上の年齢で未婚男性よりも未婚女性の数が多くなる(写真:HAKU / PIXTA)

過去30年ほどの日本の人口動態で一貫して進んできたのは、言うまでもなく「未婚化」「晩婚化」である。

しかし、2016年10月末に発表された2015年の国勢調査を見ると、晩婚化の傾向は止まりつつあるようである。全国で見ても東京都で見ても、男女ともに30代前半の未婚率は2010年時点からほとんど増えていないからだ。

30代の未婚化は止まった?

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たしかに、20代の未婚化はまだ進んでいるし、40歳以上でも拡大している。ただ40代以上の未婚化の拡大は、これまで未婚のまま暮らしてきた人々がそのまま年をとっただけのこと。

が、30代の未婚化については、止まったように見えるのだ。言い換えると、20代までは独身暮らしを楽しみ、30歳を過ぎると一気に結婚するという傾向になってきたのだろう。

未婚者の実数を年齢別に見ると、団塊ジュニアが40代になったことによって40代の未婚者が増加し、40代男性未婚者は2010年の212万人から2015年には252万人に増加、女性も124万人から160万人に増加している。

 

また、50代、60代の未婚者も増えているため、40代から60代を合計すると、男性は414万人から491万人、女性は232万人から290万人に増加、男女合計では646万人から781万人と135万人増である。こうして中高年の未婚者が増加する一方、20~30代の未婚者は男女合計で1659万人から1464万人に減っている。

次に、配偶者がいる人口を年齢別に見ていくと、これまで未婚化が進んできたことで、20~40代の有配偶人口は2957万人から1796万人に減っている。他方、団塊世代である65~69歳の有配偶人口が全年齢で最も多く721万人となっている。1985年を見てみると、団塊世代にあたる35~39歳で、やはり最も有配偶人口が多く707万人だった。つまり、団塊世代は、結婚していわゆるニューファミリーを作り、その後ずっと夫婦を軸とする家族像を担ってきたことがわかる。

しかし団塊世代は、世代全体の人口が多いために、結婚した人も多ければ結婚をするチャンスを逸した人も多い。そのため、未婚人口も現在の65~69歳では、男女合計で63万人いる。1985年時点での65~69歳では、未婚人口が7.8万人に過ぎなかったのだから大変な増加だ。

60代後半の一人暮らし世帯は、20代より多い

こうして未婚者が高齢化し、さらに配偶者と離別、死別した高齢者が増えてくると、必然的に一人暮らしの高齢者が増加する。一人暮らし世帯数を年齢別に見てみると、すでに65~69歳の一人暮らし世帯数は135万世帯であり、進学や就職などを機に一人暮らしを始める20~24歳の129万世帯を抜いて、全年齢中最も多くなっている。このように今後は高齢の未婚者や1人暮らしも相当な数がいるということは忘れてはならない。

次に、東京23区の主な区ごとに女性の未婚化の傾向を見てみよう。

前回の記事でも見た、近年人口増加の激しい中央区の場合、東京都の平均値よりも若い世代で未婚率が低く、一方40代以上では未婚率が高い。これは30代の子育て世帯が多い反面、40代以上の一人暮らしや子どものいない夫婦世帯が多いためであろう。私の知る限りでも、都心で深夜までハードに働く新聞記者、広告代理店などの女性社員は、月島、勝どき(ともに中央区)などのタワーマンションに住むことが多いようである。

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