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【2017欧州選挙】
仏独蘭で重要選挙「大衆迎合vs主流派」の構図強まる 「欧州の新たな出発か、終焉の始まりか」
【ベルリン=宮下日出男】欧州では今年、フランスやドイツ、オランダなどの主要国で重要な国政選挙が行われる。いずれも既存政治の打破を掲げる右派の大衆迎合主義(ポピュリズム)的勢力が主流派政党に挑む構図だ。英国の欧州連合(EU)離脱決定をふまえ、欧州の秩序を揺るがす事態が続くかどうかを占う試金石となる。
皮切りは3月15日のオランダ下院(定数150)選挙だ。先月下旬の世論調査では、ルッテ首相の与党で中道右派の自由民主党が議席を大幅に減らす一方、野党の極右、自由党が議席を3倍に増やし、第1党に躍進すると予想される。
自由党は単独過半数に届かないとされるが、自由民主党も今の連立相手だけで多数派を形成できず、自由党政権阻止のため幅広い勢力の結集を迫られそうだ。
欧州の行方に最も影響を与えるとみられるのが4~5月のフランス大統領選挙(2回投票制)だ。オランド大統領の不出馬表明を受けて与党、社会党など左派は1月に統一候補を選ぶが、支持は低迷している。
決選投票は中道右派の統一候補フィヨン元首相と極右、国民戦線(FN)のルペン党首の一騎打ちとなり、フィヨン氏が勝つ公算が大きいとされる。
ただ、保守色の強いフィヨン氏が、決選投票で「反極右」を旗印に左派など幅広い層の支持を得られるか疑問視する向きもあり、番狂わせも否定しきれない。